恵寿総合病院「ベビーカルテコ」プロジェクト始動―エコー画像をきっかけに母子のPHRを推進

2018 年 6 月 22 日

 「赤ちゃんのエコー画像で思い出をつくろう!」――。2018年3月30日、社会医療法人財団董仙会(石川県七尾市、神野正博理事長)恵寿総合病院の1階ホールには、こんな立て看板が置かれた。そこで開催された妊婦勉強会には、地域の妊婦のほかに、妊娠中の職員も参加した。当初、同階の会議室で開催予定だったが、参加者数が予定をオーバーしたため、急きょ、ホールに開催場所を変えた。

 同病院は昨年9月、メディカル・データ・ビジョンが開発した「CADA-BOX」を導入。「CADA-BOX」には、患者の診療・健診(検診)データの一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」が付帯されている。同病院を受診した患者は、診断名や処方された薬などをPCやスマートフォンなどで確認できる。昨年12月からは国際標準のDICOM規格のCTやMRIなどの医用画像も見られるようになった。

 「カルテコ」は患者だけでなく、妊婦も利用可能だ。妊婦健診のエコー画像で、胎児の成長を確認することができる。一昔前、妊婦は紙に印刷されたエコー画像を渡されたりしたが、感熱紙であったりすると時間の経過につれて変色してしまうことがあった。

(写真=同病院職員でカルテコを利用している柴田絵里香さん)

 一方、データで保管されている「カルテコ」には、そのような問題はなく、子どもの成人式といった記念の日などに見せることも可能。出産の思い出というと昔は、へその緒を連想するかもしれないが、これからはエコー画像になるかもしれない。「カルテコ」のIDとパスワードを共有すれば、両親などが遠くに住んでいても、胎児が成長していく喜びを一緒に分かち合うこともできる。

■胎児エコー画像で「新しい家族を迎える心を育むきっかけに」

 パーソナルヘルスレコード(=PHR、個人が自らの健康情報を生涯にわたり保存し、管理していく仕組み)を実現するために、国や自治体がさまざまな取り組みをしているが、成功事例は多くない。そこで、同病院の産婦人科の助産師たちが立ち上がった。母子のPHRを推進しようと、「カルテコ」を利用することにした。名付けて、「ベビーカルテコ」プロジェクト。同プロジェクトは3月30日の妊婦勉強会から本格的に動き出した。

 「ベビーカルテコ」プロジェクトは当初、妊婦のみが「カルテコ」を利用しているが、出産後には乳幼児の「カルテコ」利用を促し、母子ともにPHRを推進していこうというものだ。

(写真=同病院の助産師、右手前が宮田師長)

 助産師のリーダーを務める宮田雅子師長は、こう強調する。

 「ご家族にとっては、普段はお腹に隠れて見えない赤ちゃんを、胎児エコー画像で具体的にイメージできるため、新しい家族を迎える心を育むきっかけになると思います。出産後は、お子さんの受診記録や予防接種の情報なども、このサービスを使って保管してほしいと思っています。そうすることで、ご自分やご家族の体への理解が深まる上に、私たち医療者と同じ情報・価値を共有することで、病気や健康に対して一緒になって向き合うことができるからです」

 この日の妊婦勉強会に参加した、里帰りして同病院に通う一人の妊婦は後日、エコー画像をスマホなどで見られるサービスを利用した感想について、「遠くにいる夫や友人に、お腹の中の赤ちゃんを見せることができた」といった喜びの声を寄せてくれた。このように妊婦からの評判がよかったため、同病院では母子のPHRを定着させるために、妊婦勉強会をこれからも続けていく考えだ。

 

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