「がんになったことは不運でも不幸にしてはいけない」
高濃度乳房は事実を伝えて対応策も説明

2018 年 6 月 22 日

司会

―今年3月に、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改訂され、心身の状態変化に応じて本人の意思は変化しうるもので、医療・ケアの方針やどのような生き方を望むかを日頃から繰り返し話し合うといった、英米諸国中心に普及しているACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性が強調されました。相良病院では、早くから取り組まれていますが、どのような成果があるのでしょうか。

相良理事長

―治療困難になった患者さんの70%位が自身で判断できなくなるというデータがあります。自分の意思がはっきりと伝えることができないのでACPが大事だといわれています。私たちは、がんが再発した段階で、「あなたが大切にしているものは何ですか」「これからどのような治療を望みますか」などを質問用紙にして、医療者が患者さんや家族と一緒に話し合ってプランを立てています。それを患者さんのいろいろな場面、場面で繰り返しながら、心の揺れとか、揺れ幅だとかに寄り添っています。

桜井さん

―私たちは患者支援団体として看取りにかかわっていくこともあります。そこでいつも出くわすのが、再発したのに家族に言わないことです。本当にしんどくなってから、ふたを開けてみたら、「えっ、どうして」ということがあります。

 本人が、いつか治るという気持ちを持つことと、治すことだけをゴールにしてしまうこととはちょっと違うと思います。ものすごくしんどいのに化学療法を受け続けてしまうことがあります。有効に過ごす時間を持てるのに、うまく使えなかったりします。よくよく聞いてみると、自分の意思を主治医に伝えていなかったりします。医療者との対話が少ないのだなと感じます。

 相良病院のACPの取り組みは知っています。ACPの語り合いの中で、お子さんの話が出てくれば、ちゃんとケアをします。自分がいつ死ぬのかの不安の原因は、自分がいなくなって子どもはどうなるのだろうということだったりします。女性は、それをすごく感じます。そこを、相良病院では、ACPの質問用紙で拾って、フォローするプログラムにちゃんとつなぐといったことをしています。

 たとえ話でよくお話するのですが、ACPの質問用紙は、「スタンプラリー」では決してないのです。これは聞きましたか?はい、あれは聞きましたか?はい、聞いたからできたではないのです。そこで答えられなかったことを拾い出し、すべてを考えていくことが必要だと思うのです。

相良理事長

―ACPは、一般的にがんが再発してしまったり、治療困難になってしまったりした患者さんに適用するのですが、診療情報を適切に提供して、この先の治療方法を一緒に考えるという概念は、早い段階、つまりそれは、検診の段階からもあるのだと思っています。

司会

―桜井さんがキャンサー・ソリューションズを立ち上げたのは、仕事を失うことは社会的アイデンティティや生きがいの喪失につながり、QOLが著しく損なわれるという問題意識があったからだと聞いています。

桜井さん

―今回のプレスセミナーのテーマが、「がん治療と仕事の両立」でしたので、仕事を続けるための課題をお話していますが、社会の中で役割を持ち、それを持ち続けるのが大切です。例えば、母親には、その役割があって、それががんになって奪われてはいけないと思います。

 最終的に亡くなるときには、それは奪われるかもしれませんが、お子さんの心の中では母親として生き続けます。その役割を、無情にというか、本人の意向と関係なく奪われていくことは不幸だと思います。がんになったことは「不運」ですが、「不幸」にしてはいけませんので、そういうことを支援したいとすごく思っています。

相良理事長

―桜井さんとは、がんになったことは「不幸」なのだけど、人間はいろいろな悲しみを背負って行くのだということをよく話します。病気もありますし、仕事のことや子どものことだとかいろいろあります。がんのことだけが解決されれば、その人が幸せになるかというと、そうではないと思います。がんは、その人が抱えているたくさんの困難や、悲しみの一つであることを、私たち医療者はしっかり認識すべきです。

桜井さん

―今回のASCOは、テーマに「Less is more(少ないほど、豊かである)」を掲げました。医療はこれまで、てんこ盛りになっている感じがしました。医療をどんどん進めていこうという考え方だったのが今、いろいろな治療方法が出てきて人はどこまで行ってしまうのだろうかという不安もあります。

 また、医療経済の問題もあります。患者は、的確なタイミングで的確な量で、しっかりと合意形成した上で的確な治療を受けることを望んでいて、それが「Less is more」 なのです。医療をいっぱいやることではなく、逆に無駄なこと、命を縮めるようなことはそぎ落として、QOLをmoreにしようという考え方です。そのためにも、医療者と患者が互いに語り合い、知り合っていくことが重要です。

 デンスもそうで、私はこのような特色を持っているのだと知ること、そして、がんになり、治療が開始されたとしても、自分の治療はこのような理由で決まったのだなどと知ることが大事です。それがないと会社にも伝えられなくて、仕事を続けられるかどうかにかかってきます。患者としてはまず、「知ること」が第一歩で、それが今、医療現場にも、自分自身にも家族にも必要なことだと思うのです。

相良理事長

―医療現場においては、診療報酬が取れるからACPをしたりするのだとか、診療情報を患者さんと共有したりするのではなく、私たちは企業と違って営利を求めるのではないので、やはり理想を求めるべきです。たぶん、これからはそういう病院でないと、生き残っていけないのではないかと考えています。これが相良病院の目指すところで、そのような医療機関でありたいと思っています。

司会

―今年3月に、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改訂され、心身の状態変化に応じて本人の意思は変化しうるもので、医療・ケアの方針やどのような生き方を望むかを日頃から繰り返し話し合うといった、英米諸国中心に普及しているACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性が強調されました。相良病院では、早くから取り組まれていますが、どのような成果があるのでしょうか。

相良理事長

―治療困難になった患者さんの70%位が自身で判断できなくなるというデータがあります。自分の意思がはっきりと伝えることができないのでACPが大事だといわれています。私たちは、がんが再発した段階で、「あなたが大切にしているものは何ですか」「これからどのような治療を望みますか」などを質問用紙にして、医療者が患者さんや家族と一緒に話し合ってプランを立てています。それを患者さんのいろいろな場面、場面で繰り返しながら、心の揺れとか、揺れ幅だとかに寄り添っています。

桜井さん

―私たちは患者支援団体として看取りにかかわっていくこともあります。そこでいつも出くわすのが、再発したのに家族に言わないことです。本当にしんどくなってから、ふたを開けてみたら、「えっ、どうして」ということがあります。

 本人が、いつか治るという気持ちを持つことと、治すことだけをゴールにしてしまうこととはちょっと違うと思います。ものすごくしんどいのに化学療法を受け続けてしまうことがあります。有効に過ごす時間を持てるのに、うまく使えなかったりします。よくよく聞いてみると、自分の意思を主治医に伝えていなかったりします。医療者との対話が少ないのだなと感じます。

 相良病院のACPの取り組みは知っています。ACPの語り合いの中で、お子さんの話が出てくれば、ちゃんとケアをします。自分がいつ死ぬのかの不安の原因は、自分がいなくなって子どもはどうなるのだろうということだったりします。女性は、それをすごく感じます。そこを、相良病院では、ACPの質問用紙で拾って、フォローするプログラムにちゃんとつなぐといったことをしています。

 たとえ話でよくお話するのですが、ACPの質問用紙は、「スタンプラリー」では決してないのです。これは聞きましたか?はい、あれは聞きましたか?はい、聞いたからできたではないのです。そこで答えられなかったことを拾い出し、すべてを考えていくことが必要だと思うのです。

相良理事長

―ACPは、一般的にがんが再発してしまったり、治療困難になってしまったりした患者さんに適用するのですが、診療情報を適切に提供して、この先の治療方法を一緒に考えるという概念は、早い段階、つまりそれは、検診の段階からもあるのだと思っています。

司会

―桜井さんがキャンサー・ソリューションズを立ち上げたのは、仕事を失うことは社会的アイデンティティや生きがいの喪失につながり、QOLが著しく損なわれるという問題意識があったからだと聞いています。

桜井さん

―今回のプレスセミナーのテーマが、「がん治療と仕事の両立」でしたので、仕事を続けるための課題をお話していますが、社会の中で役割を持ち、それを持ち続けるのが大切です。例えば、母親には、その役割があって、それががんになって奪われてはいけないと思います。

 最終的に亡くなるときには、それは奪われるかもしれませんが、お子さんの心の中では母親として生き続けます。その役割を、無情にというか、本人の意向と関係なく奪われていくことは不幸だと思います。がんになったことは「不運」ですが、「不幸」にしてはいけませんので、そういうことを支援したいとすごく思っています。

相良理事長

―桜井さんとは、がんになったことは「不幸」なのだけど、人間はいろいろな悲しみを背負って行くのだということをよく話します。病気もありますし、仕事のことや子どものことだとかいろいろあります。がんのことだけが解決されれば、その人が幸せになるかというと、そうではないと思います。がんは、その人が抱えているたくさんの困難や、悲しみの一つであることを、私たち医療者はしっかり認識すべきです。

桜井さん

―今回のASCOは、テーマに「Less is more(少ないほど、豊かである)」を掲げました。医療はこれまで、てんこ盛りになっている感じがしました。医療をどんどん進めていこうという考え方だったのが今、いろいろな治療方法が出てきて人はどこまで行ってしまうのだろうかという不安もあります。

 また、医療経済の問題もあります。患者は、的確なタイミングで的確な量で、しっかりと合意形成した上で的確な治療を受けることを望んでいて、それが「Less is more」 なのです。医療をいっぱいやることではなく、逆に無駄なこと、命を縮めるようなことはそぎ落として、QOLをmoreにしようという考え方です。そのためにも、医療者と患者が互いに語り合い、知り合っていくことが重要です。

 デンスもそうで、私はこのような特色を持っているのだと知ること、そして、がんになり、治療が開始されたとしても、自分の治療はこのような理由で決まったのだなどと知ることが大事です。それがないと会社にも伝えられなくて、仕事を続けられるかどうかにかかってきます。患者としてはまず、「知ること」が第一歩で、それが今、医療現場にも、自分自身にも家族にも必要なことだと思うのです。

相良理事長

―医療現場においては、診療報酬が取れるからACPをしたりするのだとか、診療情報を患者さんと共有したりするのではなく、私たちは企業と違って営利を求めるのではないので、やはり理想を求めるべきです。たぶん、これからはそういう病院でないと、生き残っていけないのではないかと考えています。これが相良病院の目指すところで、そのような医療機関でありたいと思っています。

 

 

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