乳がん検診精度向上で受診者の負担軽減へ
「月一自己触診」で中間期乳がんを早期に発見

2018 年 6 月 27 日

  社会医療法人財団石心会(神奈川県川崎市)で外来に特化した第二川崎幸クリニック(関川浩司院長)乳腺外来の木村芙英医師は、乳がん検診でがんを発見する感度を高める一方、特異度、つまりがんでない人をがんでないと正しく判断する精度を向上させる重要性を強調。木村医師は、「要精密検査となると、皆さん不安になります。しかし、検査の特異度が上がり、『精検不要』と判断されれば、余計な不安と時間、費用を費やさなくて済みます」と話す。

(乳がん検診最終報告書を説明する木村医師)

 第二川崎幸クリニックでは、企業健診などでの任意型の乳がん検診で、乳房X線検査(マンモグラフィ)と超音波検査を同時に受けてもらうような選択も可能にしている。判定方法は、マンモグラフィと超音波検査の結果を総合的に判定する方法を採用。総合判定にしているのは、2つの検査方法を通じて、感度と特異度を一緒に高めようとするためだ。

 マンモグラフィと超音波検査の結果を2人の医師が読影し、陽性だった場合には精密検査を受けてもらい、病変が発見された人は第二川崎幸クリニックの本院機能を持つ、川崎幸病院で手術をすることになる。

 木村医師自身も、同病院で執刀している。術後退院した患者は、第二川崎幸クリニックを受診し、術後補助療法を始めことになる。そこでも木村医師が患者を継続して診ることになる。

■中間期乳がんを用心して、「月一自己触診」を

 一方、木村医師は検診の結果、精密検査が不要となった人たちに、「月一自己触診」を勧めている。木村医師は、進行が早く悪性度の高いものが含まれてくる中間期乳がんを警戒しているからだ。

 市町村が公共サービスで実施している、いわゆる「対策型検診」での乳がんの検査について、国が定めたガイドラインでは、対象者は40歳以上で、検査項目は問診およびマンモグラフィ、受診間隔は2年に一回だ。国は、企業が実施している企業健診でのがん検診についてのガイドラインを今年3月にまとめていて、対策型検診のガイドラインに準拠するよう促している。

 中間期乳がん対策として、木村医師が「月一自己触診」の必要性を主張しているのは、ガイドラインに沿って検診を受けた人が、「精検不要」と判断されても、受診後に進行が早い乳がんができた場合、次の検診までに進行した状態になる恐れもあるからだ。

■川崎市の「高濃度乳房」通知、現場で混乱見られず

 高濃度乳房は、乳房の構成で「脂肪性乳房」「乳腺散在乳房」と「不均一高濃度乳房」「極めて高濃度乳房」の4つに分類され、最後の2つが「高濃度乳房」とされる。

 マンモグラフィでは乳腺は白く、脂肪は黒く写る。しかし、日本の女性に多くみられる乳腺の密度が高い「高濃度乳房」だと、白く写るがんの病変が見つけにくいといわれている。

 市町村の「対策型検診」で受診者が高濃度乳房であった場合、その旨を通知するかどうかについて、厚生労働省で議論されたことがあった。この中で、乳がん検診関連3団体(日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本乳がん検診精度管理中央機構)が2017年3月、「現時点では市町村で一律に、受診者に対して『乳房の構成』に関する通知をすることは時期尚早」と提言したことなどを踏まえて、厚労省は対策型検診で「乳房の構成」の通知を見送るとの判断に落ち着いた。

 こうした国レベルの議論が進む中で、第二川崎幸クリニックのある川崎市は2016年4月から、対策型検診でのマンモグラフィ単独検診の導入を決めた。

 後に、厚労省が対策型検診での「乳房の構成」を通知することを見送ることになったが、同市はマンモグラフィ単独検診導入と同時に、マンモグラフィではすべての乳がんを発見することはできないことや、症状があれば医療機関を受診すべきであることを結果票に記載することとした。

 同市は「乳腺の評価」については以前から受診者に通知しており、結果票に設けられた▽脂肪性▽乳腺散在▽不均一高濃度▽極めて高濃度—の4つのうちのどれかにチェックしている。

 川崎市の乳がん検診医療機関名簿には、木村医師のいる第二川崎幸クリニックも含まれている。そのため同クリニックを、対策型検診で受診する人も少なくない。同クリニックでは、市の方針に沿って受診者に対して「乳腺の評価」を通知している。

 これについて木村医師は、「高濃度乳房であることを知らせても混乱はありません。マンモグラフィでは乳房の濃度が高い中では、がんを見つけにくいということを説明するだけで、ほとんどの人は理解してくれます。そして必要な場合には、超音波検査を自費で受けています」という。

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