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有所見率

  • 健康診断、2022年の有所見率が明らかに

    ※2022年は、2022年10月の労働安全衛生規則の改正前後の有所見率を各期間で加重平均した推計値。 (2022年有所見率)=(2022年1~9月の有所見率)×0.75+(2022年10~12月の有所見率)×0.25  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健診有所見率の推移  健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。  厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2022年の有所見率は58.3%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。  この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。  有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2022年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が31.6%と最も高くなりました。次いで、血圧が18.2%、肝機能検査が15.8%などとなっています。 都道府県別の有所見率  健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2022年は72.1%となった沖縄県が、12年連続でワーストを続けています。全国平均は58.3%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。

  • 都道府県別 有所見率

    健診有所見率 あなたの都道府県は何位?

    11年連続ワーストの沖縄県 健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2021年は70.4%となった沖縄県が、11年連続でワーストを続けています。全国平均は58.7%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。 病気を早期発見、治療するための仕組み 二次世界大戦の影響が残る1940~1960年代、沖縄県民の栄養状態は悪く、70年代から80年代以降になると経済状況が良くなったものの、飲酒量の多さが指摘され、食の欧米化によりカロリーや脂質・糖質を摂りすぎる状態となりました。  また、公共交通機関の発達が十分でないことにより、近くのコンビニエンスストアに行くにも自動車を使うのが当たり前の車社会で、運動不足の原因になっていると考えられます。 2021年の沖縄県の検査項目別の有所見率は、血中脂質が42.6%(全国平均33.0%)、血圧が24.9%(同17.8%)、肝機能が24.1%(同16.6%)で、これらの検査項目が特に高い傾向にありました。業種別では製造業(80.6%)、建設業(75.3%)、運輸交通業(74.7%)が高い業種となっています。  同県は観光や運輸などの第3次産業の人口割合が東京に次いで高いことから(2020年国勢調査)、運輸交通業の割合の高さが県全体の有所見率を引っ張っているという、観光産業の盛んな沖縄ならではの事情とも考えられます。 つくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「職場の健診に限れば、有所見者を再検査・治療につなげるためには、事業所やそこの産業医が労働者に受診を促すことが最も効果的と考えている」といいます。 しかしながら、常勤の産業医や保健師が勤務するような大企業を除いては、あまり、積極的に関わっていない印象といいます。              神谷医師はまた、「職場の健診の場合、本人の意思ではなく、職場からの指示で仕方なく受診されている人も見受けられる。このような方の場合は、再検査などの受診につながりにくいため、健診後の受診勧奨といった施策のみではなく、日常の健康教育により健康リテラシーの向上を目指すことも必要であると考えている」と話します。業務上疾病発生状況等調査:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html

  • 有所見率の推移

    健診有所見率が60%に急接近 

    業種別の有所見率も明らかに  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるようよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。   厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2021年の有所見率は58.7%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。 この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。 有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2021年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が33.0%と最も高くなりました。次いで、血圧が17.8%、肝機能検査が16.6%などとなっています。 業種別では鉱業、建設業などが上位に  定期健康診断実施結果では、業種別の有所見率も分かります。「石炭鉱業」が88.9%で最も高く、次いで「土石採取」(78.3%)、「道路旅客」(74.9%)などとなっています。一方で、低いのが48.1%の「鉄道等」で、「他の運輸」(51.3%)、「輸送機械」(52.3%)の順番です。 東京都足立区で等潤病院などを運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、医師として外来診療や手術をする傍ら、同院に併設する健診センター等潤で、健診受診者の判定もしています。たくさんの人を診る中で伊藤理事長は、「この地域の特性で建設業に従事する人を多く診ているが、有所見で要再検査などと判定するケースは少なくない。建設業は働く環境が厳しいという側面もあり、力仕事のストレスを発散するためか、酒を飲み過ぎたり塩分を取り過ぎたりするなど、食生活を起点にした生活習慣病の予備軍と見られる人が散見される」と話しています。実際、建設業に分類される「土木工事」の有所見率は70.9%、「建築工事」が61.9%などと高い水準となっています。 また、有所見と判定された人が周りに言われるのではなく自分の 意思で後日、再検査や治療にために医療機関を受診することが望ましいが、伊藤理事長は「例えば、聴力に異常があったとしても日常生活に大きな支障を来たさないため、医療機関を受診しようという発想にまでは至らないのだろう」と話しています。

  • 健康診断、2022年の有所見率が明らかに

    ※2022年は、2022年10月の労働安全衛生規則の改正前後の有所見率を各期間で加重平均した推計値。 (2022年有所見率)=(2022年1~9月の有所見率)×0.75+(2022年10~12月の有所見率)×0.25  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健診有所見率の推移  健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。  厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2022年の有所見率は58.3%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。  この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。  有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2022年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が31.6%と最も高くなりました。次いで、血圧が18.2%、肝機能検査が15.8%などとなっています。 都道府県別の有所見率  健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2022年は72.1%となった沖縄県が、12年連続でワーストを続けています。全国平均は58.3%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。

  • 都道府県別 有所見率

    健診有所見率 あなたの都道府県は何位?

    11年連続ワーストの沖縄県 健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2021年は70.4%となった沖縄県が、11年連続でワーストを続けています。全国平均は58.7%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。 病気を早期発見、治療するための仕組み 二次世界大戦の影響が残る1940~1960年代、沖縄県民の栄養状態は悪く、70年代から80年代以降になると経済状況が良くなったものの、飲酒量の多さが指摘され、食の欧米化によりカロリーや脂質・糖質を摂りすぎる状態となりました。  また、公共交通機関の発達が十分でないことにより、近くのコンビニエンスストアに行くにも自動車を使うのが当たり前の車社会で、運動不足の原因になっていると考えられます。 2021年の沖縄県の検査項目別の有所見率は、血中脂質が42.6%(全国平均33.0%)、血圧が24.9%(同17.8%)、肝機能が24.1%(同16.6%)で、これらの検査項目が特に高い傾向にありました。業種別では製造業(80.6%)、建設業(75.3%)、運輸交通業(74.7%)が高い業種となっています。  同県は観光や運輸などの第3次産業の人口割合が東京に次いで高いことから(2020年国勢調査)、運輸交通業の割合の高さが県全体の有所見率を引っ張っているという、観光産業の盛んな沖縄ならではの事情とも考えられます。 つくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「職場の健診に限れば、有所見者を再検査・治療につなげるためには、事業所やそこの産業医が労働者に受診を促すことが最も効果的と考えている」といいます。 しかしながら、常勤の産業医や保健師が勤務するような大企業を除いては、あまり、積極的に関わっていない印象といいます。              神谷医師はまた、「職場の健診の場合、本人の意思ではなく、職場からの指示で仕方なく受診されている人も見受けられる。このような方の場合は、再検査などの受診につながりにくいため、健診後の受診勧奨といった施策のみではなく、日常の健康教育により健康リテラシーの向上を目指すことも必要であると考えている」と話します。業務上疾病発生状況等調査:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html

  • 有所見率の推移

    健診有所見率が60%に急接近 

    業種別の有所見率も明らかに  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるようよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。   厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2021年の有所見率は58.7%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。 この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。 有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2021年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が33.0%と最も高くなりました。次いで、血圧が17.8%、肝機能検査が16.6%などとなっています。 業種別では鉱業、建設業などが上位に  定期健康診断実施結果では、業種別の有所見率も分かります。「石炭鉱業」が88.9%で最も高く、次いで「土石採取」(78.3%)、「道路旅客」(74.9%)などとなっています。一方で、低いのが48.1%の「鉄道等」で、「他の運輸」(51.3%)、「輸送機械」(52.3%)の順番です。 東京都足立区で等潤病院などを運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、医師として外来診療や手術をする傍ら、同院に併設する健診センター等潤で、健診受診者の判定もしています。たくさんの人を診る中で伊藤理事長は、「この地域の特性で建設業に従事する人を多く診ているが、有所見で要再検査などと判定するケースは少なくない。建設業は働く環境が厳しいという側面もあり、力仕事のストレスを発散するためか、酒を飲み過ぎたり塩分を取り過ぎたりするなど、食生活を起点にした生活習慣病の予備軍と見られる人が散見される」と話しています。実際、建設業に分類される「土木工事」の有所見率は70.9%、「建築工事」が61.9%などと高い水準となっています。 また、有所見と判定された人が周りに言われるのではなく自分の 意思で後日、再検査や治療にために医療機関を受診することが望ましいが、伊藤理事長は「例えば、聴力に異常があったとしても日常生活に大きな支障を来たさないため、医療機関を受診しようという発想にまでは至らないのだろう」と話しています。