• 治療1回に水120L必要「透析患者」襲う断水の怖さ

     透析とは、専用の装置を使って人工的に血液中にある余分な水分や老廃物を取り除く治療をいう。腎臓の働きが低下して腎不全となり、薬剤を使った治療が限界に達した際に行われる。  透析治療には大量の水や電力が必要なため、地震などの災害で断水が発生すると、たちまち患者の療養環境は脅かされてしまう。 詳細は、東洋経済オンラインをご覧ください。記事URLは以下をクリック ↓ https://toyokeizai.net/articles/-/728972

  • 心臓病の最終段階、じわじわ襲う「心不全」の怖さ

     日本人の死因の第1位はがん。次いで多いのが心疾患(心臓に起こる病気の総称)だ。2022年の人口動態統計によると、高血圧を除いた心疾患の死亡者数は23万2879人(前年21万4710人)となった。そのうち約4割が心不全で、10万人に迫っている。  将来推計で、わが国は2043年に高齢者人口がピークに達し(国立社会保障・人口問題研究所の推計で3953万人)、それに伴う各種疾患の増加が予想される。その1つが心不全だ。 詳細は、東洋経済オンラインをご覧ください。記事URLは以下をクリック ↓  https://toyokeizai.net/articles/-/707269

  • 塩分摂り過ぎに注意を

    社会医療法人慈生会等潤病院 伊藤雅史院長・理事長   日本人は欧米人に比べて塩分摂取が多く、塩分の摂り過ぎが高血圧を引き起こしやすい体質であることが分かっています。日本人の1日の食塩摂取量は減少傾向にはありますが、厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)によると成人で平均10.1g(男性10.9g、女性9.3g)。同省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が設定している目標値の男性7.5g未満、女性6.5g未満をそれぞれ上回っています。  ちなみに、世界保健機関(WHO)が2012年のガイドラインで推奨しているのは5g未満です。なお、塩分表示でナトリウム(Na)量と書かれている場合は、その2.5倍が塩分相当量になります。 「病院の食事はまずい」などとよく言われますが、高血圧などの治療食の1日塩分量は5~6g未満に調理されており、味が薄いことが大きな原因であると思います。ちなみに、梅干し1個の塩分量は約2.5gです。  ただ、入院中に食事が進まず栄養が低下したところで、塩分制限のない食事にした途端、元気になったという話もありますので、考えさせられます。  逆に外食やインスタント食品は塩分が多く、注意が必要です。麺類の汁は飲まない、みそ汁は具だくさん、酢・うまみ・薬味を使っておいしく、醬油はかけずに小皿でつけるなど工夫し、肉料理を減らし野菜・大豆製品・海藻類を使った副菜を増やします。  以下は、加工食品などの塩分含有量の目安です。推奨摂取量と比べてみてください。 出典:わたしの食事カルテ(メディカル・データ・ビジョン発行) 管理栄養士 宗像伸子先生 監修 参考:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf

  • ウェアラブル端末による自律神経機能の臨床的意義

    医師 加藤 開一郎 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■要旨  スマートフォン、ウェアラブル端末等の汎用小型電子機器による生体情報の活用が近年、注目されています。生体情報の1つに自律神経機能があり、心拍変動分析による自律神経機能評価のほか、端末の光学技術を利用した脈波変動解析による自律神経機能の評価も実用化が進められています。これらの動向は、常時長時間、非侵襲的に実生活におけるストレス状態を可視化し、生活情報が紐付けられれば、ストレス源の特定にもつながります。  神経学や心身医学領域における自律神経不全(自律神経機能不全)、いわゆる自律神経失調症は、診断、治療において患者の自覚症状に大きく依拠しています。小型電子端末の測定機能と自動問診システムを組み合わせると、自律神経機能評価、主観的ストレスの定期評価、自覚された自律神経症状の3つを1つの時間軸で記録・分析することが可能になり、自律神経失調症の診断・治療プロセスに大きな貢献が期待されます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■はじめに  医療機関を受診する人の中には、自覚する症状が自律神経系の異常に起因することが少なくありません。しかし、現在の多忙な医療現場では、個々の患者さんに自律神経機能評価を実施することは難しく、また医療機関における自律神経機能評価は、短時間の限られたシーンに限られ、患者さんの実生活での自律神経状態を評価することが難しいのが現実です。しかし、スマートフォンやウェアラブル端末等の汎用小型電子端末を利用した自律神経機能の評価が可能になりつつあります。そこで、本文は自律神経系を概説し、自律神経機能に関する測定の臨床的な可能性について概説し、症候学的な見地から考察します。 ■自律神経と疾患の関係性  「自律神経の病気」という言葉を発すると、よくストレスや精神的問題を連想する方が少なくありません。これは私たちが日常的に「自律神経失調」、「自律神経失調症」という言葉や文字を頻繁に見かけることによるかもしれません。しかし、自律神経失調症は、自律神経のバランスに異常を来し自律神経症状がみられる状態を指しますが、学術的には、「自律神経不全」や「自律神経機能不全」と呼ばれ、広義の自律神経の病気ではありますが、「自律神経の病気」=「自律神経失調症」ではありません。そして、自律神経失調に心理的ストレスが影響を及ぼすことは、皆さんがご存知の通りですが、「自律神経の病気」は「精神の病気」ではありません。  自律神経は運動神経、感覚神経と並んで第三の神経と称されるように、脳や脊髄から出て、脊椎の横を走行し、解剖学的に肉眼で確認な独立した神経系で各末梢臓器に分布します。脳から末端の臓器までの自律神経系に経路のどこかに異常を来せば、何らかの「自律神経の病気」を発症する可能性があります。少々ややこしく感じ始めた方も多いかもしれません。そこで、自律神経の役割から確認していきます。 ■自律神経の役割  人体には自動で生命維持しようとする仕組みが備わっています。その役割を担うのが、自律神経系と呼ばれる神経系です。私たちが無意識に呼吸し、その時々の身体活動量に応じて必要な酸素を取り込めるのは、呼吸数や肺活量が自動制御されるからです。同様に心臓が自動で収縮し、活動状況に応じて心拍数と収縮力を調整し、血管の収縮状態と連動し、血圧を一定に維持できるのも自律神経の働きによるものです。食事をすれば自動で消化管が動き、消化酵素が分泌され、自動で消化吸収されます。外部環境に左右されず体温は一定に保たれるのも自律神経の作用です。このように、人体の基本的な生命維持は、自律神経が深く関与しています。ご存じの通り、自律神経には、体の活動時に優位に働く交感神経と、体の休息時や消化時に優位に働く副交感神経があり、互いに反対の作用を示します。自律神経の主な作用臓器と作用を表1の通りです。 表1:自律神経の主な作用臓器と作用 作用臓器交感神経副交感神経瞳孔散瞳瞳孔収縮涙腺 涙液分泌唾液腺少量の濃い唾液を分泌大量の薄い唾液を分泌気管・気管支気道拡張気道収縮心臓心拍増加心拍減少消化管消化管運動の抑制 消化液分泌の抑制消化管運動の促進 消化液分泌の促進肝臓グリコーゲン分解(糖新生)グリコーゲン合成膀胱蓄尿作用排尿作用  人体の多くの臓器が、交感神経と副交感神経とつながり、生命維持に重要な役割を果たします。この自律神経の役割を理解すると、自律神経系のトラブルにより、さまざまな臓器の症状が出現すること分かります。例えば、膀胱を制御する自律神経に異常が生じれば、適切に尿が排尿されない排尿障害の症状が出現します。医師が処方する薬剤の中には、副交感神経の作用を強める薬剤があり、唾液や気道内分泌が異常に増加する場合や、あるいは全身の発汗が著しくなるような症状が出現することがあります。このように、自律神経は多くの臓器の機能を制御しているため、その症状も多彩です。自律神経=メンタルの病気ではないことを少しご理解いただけたかと思います。 ■自律神経症状の捉え方 臨床医の目線で自律神経系のトラブルを考えるとき、以下の4つのポイントがあります。 自律神経症状が存在するか否か その自律神経症状は本当に自律神経のトラブルによるか否か その自律神経症状は自律神経の「機能的トラブル」または「器質的トラブル」か その自律神経のトラブルを引き起こす原因(基礎疾患)は何か  自律神経のトラブルを自律神経の症状は、運動神経や感覚神経とは異なり、通常の神経学的診察では異常を把握できないことがあり、患者さんへの的確な問診がとても重要です。例えば、糖尿病は末梢神経に障害を来す疾患で、自律神経のトラブルを来す代表で、糖尿病性自律神経障害といい、失神や立ち眩み、便秘と下痢の繰り返し、インポテンツなどさまざまな自律神経症状が出現します。糖尿病性自律神経障害で最も深刻なのは、無自覚低血糖や致死性不整脈です。このため、長年にわたり糖尿病を患っている患者さんの診療では、問診で自律神経障害を確認することに加え、心電図R‐R間隔検査や起立試験などの検査を通じ、自律神経のトラブルの有無を確認します。  そして、自律神経症状が確認されたら、次はその自律神経の症状が、本当に自律神経に由来する症状なのかどうかの確認が必要です。例えば、「立ちくらみ」は自律神経症状として重要ですが、貧血や脱水症、電解質異常、不整脈など別な疾患でも立ちくらみは生じます。このため、自律神経症状を呈した患者さんを診療する場合、安直に自律神経症状と決めつけず、血液検査や心電図検査をはじめとする各種臨床検査で自律神経以外の疾患による症状の可能性を調べる必要があります。  いよいよ各種臨床検査で異常がない場合、ようやく自律神経自体のトラブルと判断しますが、さらにその自律神経系のトラブルは「機能的な異常」なのか、または画像検査や顕微鏡で異常を確認しうる「器質的な異常」なのかを検討します。  世間一般に言われる「自律神経失調」、または「自律神経不全」と表現される状態は、交感神経と副交感神経の調節に不具合を生じている「機能的な異常」です。一方、パーキンソン病や多系統萎縮症に生じる自律神経のトラブルは画像検査でも確認できる「器質的な異常」です。自律神経失調症と紛らわしい表現に「自律神経障害」という表現がありますが、こちらは自律神経系の器質的異常を指して使用されることが多いです。このようにきちんとした診断プロセスを踏むのは、誤診を回避し、的確な診断にたどり着くためです。そして、的確な診断にたどりつくことで、ようやく適切な治療や予後予測が可能になるのです。 ■多彩な自律神経症候  ここまでで、「自律神経症状」という言葉を使用しましたが、あらためて自律神経症状にどのようなものがあるか、主なものを見ていきたいと思います。 表2:主な自律神経症状 心臓血管系<脳虚血症状> □めまい□ふらつき□立ちくらみ □目の前が暗くなる(眼前暗黒感)□失神 <心虚血症状> □胸痛  □動悸 <筋肉の虚血症状> □頭痛 □肩こり □肩痛 <その他> □疲労感 □倦怠感消化器系□腹部膨満感 □嘔気 □便秘 □下痢 □麻痺性イレウス (※イレウス=腸閉塞)皮膚<発汗障害> □皮膚乾燥 □無汗 □乏汗 □発汗過多 □うつ熱泌尿器系<蓄尿障害> □頻尿 □尿意切迫 □尿失禁  <排尿障害> □残尿 □排尿困難 □尿閉生殖系□インポテンツ  次に表3に自律神経に関連した疾患例をお示しします。自律神経が関与する疾患は多数あることがお分かりいただけると思います。 表3:自律神経機能、または自律神経障害が関与する疾患例 消化器系 過敏性腸症候群 慢性特発性便秘呼吸器系睡眠関連呼吸障害循環器系起立性低血圧 体位性頻拍症候群 血管迷走神経性失神 不整脈脳神経系慢性疼痛 自律神経調節性失神 パーキンソン病 多系統萎縮症(Shy-Drager症候群) 筋萎縮性側索硬化症 純粋自律神経不全 家族性アミロイドポリニューロパチー 自己免疫性自律神経障害内分泌糖尿病性自律神経障害泌尿器過活動膀胱 神経因性膀胱 性機能異常皮膚多汗症 無汗症眼科眼球乾燥 瞳孔異常(Argyll Robertson瞳孔・Adie瞳孔)耳鼻科めまい症その他心因性発熱 ■自律神経機能 検査の変遷  自律神経に関する国内の論文報告をレビューすると、1900年代後半は自律神経を評価するための研究が盛んでした。自律神経の交感神経系の緊張度を測定する方法として、血液中のノルアドレナリン濃度を測定する方法もその1つです。また、自律神経に影響を与える薬剤を注射し、心拍数の変化から自律神経の機能を調べる試みもありました。  そんな中、1973年にWheelerらが糖尿病性自律神経障害の患者で心電図の心拍変動が減少することを報告しました。ここで心拍変動について解説します。不整脈のない規則正しい心拍でも、実は心拍の間隔は絶えずわずかながら変動しています。呼吸の状態とも強く関連しています。そして、この心拍の間隔は、心電図のR波という部分と次の心拍のR波の間隔を実測が可能です。そして、心拍の間隔の変動度合いを数値化した指標が、心拍変動係数(心電図RR間隔変動係数)と呼ばれ、循環器系の自律神経機能を定量的な指標として、同指標を利用した自律神経の研究が盛んに行われてきました。特に1980年~1990年代は心拍変動係数に関する論文が多数発表され、自律神経機能と臨床症状との関連性を示す研究が数多く見られました。  その後、光学的に指先の細動脈の脈波が検出できるようになると、それまで心電図の心拍変動による自律神経機能評価から、より簡便に指先での脈波分析による自律神経機能測定が研究されるようになります。そして、近年はスマートフォン端末の光学機能を利用した脈波検出と測定値の分析手法の開発で、より簡便な自律神経機能評価の実用化に向けた取り組みが進められています。 ■自律神経機能測定の臨床的解釈  小型電子端末を利用した自律神経機能評価が可能となることは、個人が自身の体の状況を把握することに大きく寄与します。特に自律神経機能を連続的、あるいは定時的にモニタリングすることが可能になれば、1日24時間のサイクルの中で交感神経優位の時間の長さと副交感神経優位の時間の長さを知ることが可能になります。これにより、心身への負荷量を把握する上で重要な指標になると考えられます。一定の水準に達するとアラートがなるような仕組みが備われば、利用者の利便性はより高まると考えられます。  さらに自律神経機能の測定に付随し、自覚症状の有無を記録し、症状があるときは、その症状が増強・軽快するタイミングや時間帯を記録できれば、症状と自律神経機能との関係性を見出しやすくなります。また、呼吸数などのバイタルサインも併せて測定記録することで、自身の体の状態をより客観的に把握しやすくなります。 ■自動問診+生体データ+主観的ストレスデータの統合解析  患者さんと医療者の対面で実施されてきた医療の問診は従来、自動問診のアプリやWebサービスが多数開発され、受診前の予診、医療機関内での問診など、運用方法はさまざまですが、着実に問診の自動化の流れが進みつつあります。  自律神経の視点で自動問診を考えたとき、「自律神経失調症」との相性の良さが想像できます。「自律神経失調症」は、自律神経調節の不具合が関連し、症候を一括りにした言葉で、めまい、動悸、不眠、ほてり、冷や汗など自律神経の障害によるとみられる症状がある場合に使用される用語であり、学術的には「自律神経不全」が正しいとの見解があります。しかし、「自律神経失調症」が社会的に浸透している現状を踏まえ、本稿ではこのまま「自律神経失調症」を使用しています。  小型電子端末等から得られる自律神経機能のデータは、自律神経失調症の診断や原因の特定に寄与する可能性があります。自動問診による自律神経症状の種類、出現パターン、症状出現時またはそれ以前の自律神経機能の状態、主観的なストレス情報を統合して解析することで、自律神経症状と自律神経機能との相関関係を解析することが可能になるでしょう。さらに、生活情報と統合させることで実生活の中で何に心理的ストレスを感じ、自律神経にどう影響したか、定量的に把握することが可能になりえます。これは自律神経失調症の方の診断や治療、症状出現予測などさまざまな臨床応用の可能性があります。 ■コロナ後の受療行動が変わる可能性  ここ数年猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、個々人の受療行動にも影響を及ぼしたと考えられます。個人が検査キットを購入し、自宅でキット検査を実施し、その結果をもとに、医療機関を受診するかどうかの判断材料にする動きが見られました。また、医療相談アプリを利用した受診の要否判断をするケースも見られました。 表4:個人の医療機関受診の判断材料の変化 従来新型コロナ流行開始~症状の程度 血圧・体温 ネット情報症状の程度 血圧・体温 酸素飽和度 検査キットの結果 医療相談 自動問診サービス  このような受療行動の変化は、今後も他疾患にも広がりを見せる可能性があります。すなわち、個人が自宅でバイタルを測定し、簡易検査をして、自動問診、オンラインの医療相談などを通じて、医療機関の受診を判断するスタイルが変化する可能性があります。 ※本稿で使用した用語について  本記事でも登場した「自律神経失調症」は、自律神経調節の不具合が関連した症候を一括りにした言葉で、学術的には「自律神経不全」が正しいとの見解があります。しかし、「自律神経失調症」が社会的に浸透している現状を踏まえ、本記事では「自律神経失調症」を使用しました。 【文献】 糖尿病性末梢神経障害.日本内科学会雑誌2019年108巻8号p.1538-1544IV.糖尿病性末梢神経障害 (jst.go.jp) 脈波を用いた自律神経機能推定に向けた脈波伝搬時間の変動に関する検証. 生体医学2016年54巻6号p. 261-266 ja (jst.go.jp) 光電脈波測定による自律神経機能計測装置の開発. 信学技報, vol. 111, no. 85, ET2011-17, pp. 1-6, 2011年6月研究会 - 光電脈波測定による自律神経機能計測装置の開発 (ieice.org) 自律神経障害の臨床. 日本内科学会誌2011年100巻9号 p. 2708-2714日本内科学会雑誌第100巻第9号 (jst.go.jp) 日常生活に紐付けた生体指標の可視化と分析. 「第28回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論⽂集」令和2年11月 p.34-41 自律神経失調症状を伴った呼吸器疾患患者の心電図R-R間隔について.心身医学199年31巻4号p. 305-310  ja (jst.go.jp) 産婦人科領域における自律神経失調症の病態と治療(自律神経失調症の病態と治療).1989年29巻1号 p. 55-61 ja (jst.go.jp) 自律神経失調と起立性調節障害を伴うめまい症例についての臨床的検討.2006年65巻4号p.238-244 ja (jst.go.jp) ニューロパチーと自律神経障害.自律神経 2019年56巻4号p. 207-209ja (jst.go.jp) 病態面からみた自律神経失調症(自律神経失調症の病態と治療). 心身医学1989年29巻1号p. 25-33 ja (jst.go.jp) 心拍変動と自律神経機能. 生物物理. 1988年28巻4号p. 198-202 ja (jst.go.jp)   心電図R-R間隔の変動を用いた自律神経機能検査の正常参考値および標準予測式.糖尿病1987年30巻2号p. 167-173 ja (jst.go.jp) めまい・平衡障害と自律神経機能障害.耳鼻臨床1987年80巻12号p. 1801-1806 ja (jst.go.jp) バイオフィードバック研究 2022年49巻2号p.73-76ja (jst.go.jp) 全身痛を来たす神経内科疾患.日本内科学会誌2019年108巻10号p.2088-2094 多系統萎縮症における睡眠関連疾患の臨床. 2021年58巻1号p. 74-78 ja (jst.go.jp) 舌痛症と自律神経機能.花田耕治.口腔病学会雑誌2003年70巻2号p. 124-130 ja (jst.go.jp) 末梢性めまい患者の自律神経機能-心電図R-R間隔と指尖容積脈波による解析. 1991年34巻4号p.385-394 ja (jst.go.jp) ウェアラブル心拍センサを用いたうつ状態の心拍変動と活動量. 2021年Annual59巻Proc 号p. 632-634 ja (jst.go.jp) ストレス識別のためのウェアラブルセンサで計測可能な生体信号の評価.システム制御情報学会論文誌 2022年35巻9号p. 217-227ストレス識別のためのウェアラブルセンサで計測可能な生体信号の評価 (jst.go.jp) ウェアラブルセンサを用いた生体計測. システム/制御/情報2022年66巻2号p.60-63ウェアラブルセンサを用いた生体計測 (jst.go.jp) てんかん突然死のリスク評価と予防におけるウェアラブルデバイスの有用性.てんかん研究2020年38巻1号p.91-97 てんかん突然死のリスク評価と予防におけるウェアラブルデバイスの有用性 (jst.go.jp) ウェアラブル端末により検知した心拍拍動に基づくストレス推定.情報学広場:情報処理学会電子図書館 (nii.ac.jp) 健康モニタリングのためのウェアラブルデバイスを用いた生体計測. 計測と制御2020年59巻4号p.246-249健康モニタリングのためのウェアラブルデバイスを用いた生体計測 (jst.go.jp) デバイスを用いた患者モニタリング. 神経治療学 2020年37巻4号p. 605-608デバイスを用いた患者モニタリング (jst.go.jp) 体表から行う医療・ヘルスケア計測デバイスの開発と微細加工技術の利用.エレクトロニクス実装学会誌 2020年23巻5号p.299-305体表から行う医療・ヘルスケア計測デバイスの開発と微細加工技術の利用 (jst.go.jp) ウェアラブル光電脈波センサを用いた日常生活における身体活動と睡眠中の自律神経活動の解析. 信学技報, vol. 117, no. 482, SIS2017-65, pp. 47-49, 2018年3月 研究会 - ウェアラブル光電脈波センサを用いた日常生活における身体活動と睡眠中の自律神経活動の解析 (ieice.org) ウェアラブルデバイスの応用と近未来の展開. エレクトロニクス実装学会誌2015年18巻6号p.384-389ウェアラブルデバイスの応用と近未来の展開 (jst.go.jp) 手指採血希釈血漿検査法の開発と健康管理への貢献. 分析化学2018年67巻1号p. 37-50 手指採血希釈血漿検査法の開発と健康管理への貢献 (jst.go.jp) 自律神経疾患の治療の進歩.神経治療学2022年39巻5号p.791-794自律神経疾患の治療の進歩 (jst.go.jp) ユニークな自律神経障害を呈する疾患:ATTRアミロイドーシス 2021年58巻1号 p.12-16 ja (jst.go.jp) 自己免疫性自律神経障害. 臨床神経 2019年59巻12号p.783-790自己免疫性自律神経節障害 (jst.go.jp) 神経治療学2017年34巻6号p.S163 ja (jst.go.jp) 自己免疫性自律神経障害. 医学のあゆみ Volume 255, Issue 5, 517 - 522 (2015)自己免疫性自律神経節障害 (pieronline.jp) 自律神経と消化器疾患.自律神経2021年58巻4号 p.261-265 ja (jst.go.jp) 睡眠関連呼吸障害と自律神経障害. 自律神経2020年57巻1号p.67-70睡眠関連呼吸障害と自律神経障害 (jst.go.jp)

  • C型肝炎、受診の勧め

    浅岡等 医師  医局長、内視鏡センター長 医学博士 日本肝臓学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本消化器病学会専門医  10年程前までのわが国の肝がんの死者は年間約5万人と、先進国の中では最も多く、死亡統計の悪性疾患の臓器別でも4位でした。肝炎対策の成功により死亡者数も徐々に減少しておりますが、それでも未だに肝がんで年間に約2.4万人※の方が亡くなっております。 ※2022年人口動態統計 肝及び肝内胆管の悪性新生物 死亡数 2万3621人(前年2万4102人)   また、原因について考えると、アルコール性肝障害や脂肪肝(なかでも非アルコール性脂肪肝炎)から発症する肝がんも増加しておりますが、やはり半数以上はC型肝炎が原因となっております。 C型肝炎の治療は1900年代には8%程度の治癒率しかなく、2000年代に入っても3割程度の治癒率しかありませんでした。また、この時代にはインターフェロンという注射を使った治療であり、二度とやりたくないと言われるような副作用が多い治療でした。  しかし、C型肝炎の治療は近年目覚ましく進歩し、1日1回薬を服用するだけで、8ないし12週間後には97~99%の患者が治癒することが可能です。副作用が多くはない薬を服用するだけで治癒して、将来の肝機能の悪化や肝細胞がんの発症を防ぐことが可能です。  治療薬は薬価で1か月に100万円を超える高額ですが、医療助成制度があるために保健所への申請により、支払額が1か月1万円に抑えることが可能です(高所得者を除く)。  10年前と比べると効果は著しく高くなりながら、副作用は極めて少なくなり、医療費助成により支払額は少なくなっています。このような治療ができますので、C型肝炎が心配な方、検診などでC型肝炎と言われたけどそのままにしている方などは、消化器内科の受診をお勧めさせていただきます。 参考:厚生労働省 2022年人口動態統計 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/h6.pdf

  • 医師は胸の聴診で何を聴いている?

     電車通勤をしていると時々、「異常な音を検知したため運転を・・・」というアナウンスがあり、その後に電車が止まってしまう事態に遭遇します。列車やレールの異常を発見する上で、「音」は1つの情報として重視されていることが分かります。同じように医療でも「音」は、人体の中の異常を検知する手法として日常の診療に利用されてきました。  しかし、体の中で発せられる音は微弱であり、周りの空気を振動させられるほどのエネルギーはありません。このため、周りの人には聞こえてこない音を第三者の耳で確認できるようにするためには、外部の音を遮断し、目的とする音だけを集めて、聴く者の鼓膜を振動させる必要がありました。それをかなえたのが聴診器です。  聴診器で人体から聞き取れる音の代表的なものに「心音」「呼吸音」「肺音」「腸蠕動音」「血管雑音」などがあり、医師は目的に応じて聴診器をあてる場所を変えます。その中でも聴診器の使用頻度が多い胸の聴診では「心臓」と「呼吸器」の2種類の臓器の音をチェックしています。今回は胸の聴診の中でも前者の心臓の音にフォーカスして深掘りをしたいと思います。  臨床現場や症例報告で使用される診察記録の表現に「心音整、心雑音なし、過剰心音なし」というような表現があります。ここに出てくる「心音」は文字通り、心臓の音を指します。「心音整」は心音が規則正しいことを意味しています。また「心音不整」という表現もあり、こちらは心臓の音が規則正しくないことを意味します。  この表現から分かるように、聴診ではまず、心臓の音のリズムが規則正しいか、そうでないかを知ることができます。心臓の音が規則正しくないことは、心臓が規則正しく動いていないことを意味しますので、不整脈の存在が疑われます。もちろん、不整脈の有無の確認には、心電図検査が必要ですが、心電図の検査がすぐに出来ない場面でも、聴診で心音が不規則であれば、不整脈の存在を疑うことができます。  心臓の聴診において、心雑音もとても重要な聴診の所見です。心雑音は心臓弁膜症や先天的な心臓奇形を疑うきっかけになることがあります。また、心臓の雑音が聴取されたとき、胸のどこで最も強く雑音が聞こえるかどうかも重要で、心雑音の最強点から、その心雑音の原因となっている疾患をある程度類推することが可能です。  また、心雑音は心臓が収縮するタイミングに聞こえる収縮期雑音と、心臓が拡張して血液を心臓内に流入させるときに聞こえる拡張期雑音に大別されます。心雑音が聞こえるタイミングを把握することも、心臓の疾患を類推する上でとても重要です。  最後に「過剰心音」について説明します。「過剰心音」とは、本来正常な心臓では聴取されないはずの音の総称です。代表的なものにⅢ音、Ⅳ音や心膜ノック音や心膜摩擦音、クリック音などがあります。  心臓はもともと正常状態でも聴診すれば、音が聞こえる臓器です。心臓が正常な状態で生理的に聞こえる心音は「正常心音」とも言われ、「ドックン、ドックン」と例えられる心臓の拍動音が、これに相当します。実際の聴診では「ドックン」よりは「ドッドン」と聞こえます。最初の「ド」に相当するのがⅠ音で房室弁の閉じる音、2番目の「ドン」に相当するのがⅡ音で大動脈弁の閉まる音に由来するとされます。人が建物内で部屋のドアを勢いよく閉めたとき「ドン」と音がしますが、これと似ています。  聴診という診察手技は、簡便にいつでもどこでも実施することが可能で、かつ患者さんの体を傷つけないメリットがあります。一方、聴診器の所見は標準化しにくい弱点があります。つまり、医師個人の主観が入ってしまう可能性がるのです。その原因として筆者が考えるのは2つの課題です。それは「聴診器の性能のばらつき」と「聴診する医師のスキル」です。  聴診器は基本的に医療機関で支給されることはなく、個々の医師が自費で購入します。どれくらいの性能の聴診器を購入するかは、各医師の判断にゆだねられています。筆者の経験上、聴診器はグレードによって、驚くほど聞こえてくる音が全く違います。しかし、いい聴診器をもっていても、それを使いこなす医師のスキルが必要です。  つまり、異常音を異常と認識できるか否かは、医師の聴診スキルにかかっています。医師が聴診できるようになるには、まず正常な音と異常な音を判別し、さらに異常音から類推される疾患や病態を想起できる必要があります。筆者も聴診スキルを高めるために、心音が収録されたCDを何度も聞いて学習した経験があります。  しかし、医師も人間ですから、個人差はあるかもしれませんが、加齢とともに聴力が低下する可能性は高くなります。このため、聴診能力は個々の医師の個人差が大きいと予想されます。  心臓超音波検査の登場により、心臓をリアルタイムで映像と音で検査できるようになりました。しかも心臓超音波は定量的に調べることが可能です。このため厳密に診断を下していく観点では、聴診器は心臓超音波検査には全く力が及びません。しかし、心臓超音波検査を使いこなすにはまた別のスキルが必要で、多くの診療科の医師がそのスキルを身に着けるのは現実的ではないでしょう。また、同検査機器の小型化が進んでいますが、未だに高額な検査機器であり、聴診器のように気軽に持ち歩くことは難しいでしょう。  外来で全患者さんに聴診器のように心臓超音波をあてることは、まだかなっていないのが現状です。その意味で、患者さんの異常を音で察知できて、診察室でも訪問診療でも場所を問わず、ひょいと首にかけて持ち歩ける聴診器は、私たち医師にとっては、仕事をする上で欠かせない相棒なのです。  医師 加藤開一郎

  • 動画:「いきいき体操」

    動画:「いきいき体操」

    社会医療法人慈生会等潤病院 リハビリテーション職員の皆さんによる、「いきいき体操」のご紹介です。 https://youtu.be/Gf_c8YU76g0

  • 健康診断、2022年の有所見率が明らかに

    ※2022年は、2022年10月の労働安全衛生規則の改正前後の有所見率を各期間で加重平均した推計値。 (2022年有所見率)=(2022年1~9月の有所見率)×0.75+(2022年10~12月の有所見率)×0.25  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健診有所見率の推移  健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。  厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2022年の有所見率は58.3%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。  この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。  有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2022年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が31.6%と最も高くなりました。次いで、血圧が18.2%、肝機能検査が15.8%などとなっています。 都道府県別の有所見率  健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2022年は72.1%となった沖縄県が、12年連続でワーストを続けています。全国平均は58.3%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。

  • 肝機能障害を放置した先は

    肝臓疾患で毎年5万人が命を落としている  日本の肝臓疾患による死亡者数は年間5万人にのぼると推計されています。その多くが、「肝硬変」、または「肝細胞がん」による死亡です。肝臓疾患は、時間軸で大別すると、あるとき急激に肝臓障害を来す急性肝疾患と、長期間に渡り肝臓を障害する慢性肝疾患があります。この「慢性肝疾患」を背景に「肝硬変」や「肝細胞がん」を生じていきます。「肝硬変」や「肝細胞がん」で命を落とさないため、慢性の肝疾患に早く気付き、適切に対処することがとても大切になります。 「沈黙の臓器」の異常を知る  肝臓は「沈黙の臓器」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。肝臓表面の覆う被膜には痛みを感じる神経が走行(その方向に連なっている状態)していますが、肝臓内部には痛みを感知する神経がありません。このため、肝臓の内部でトラブルが生じても、なかなか症状として自覚することができません。このため、肝臓疾患に気付いたときには、すでに疾患が進行していたということも少なくありません。このような事態を避けるためにも健康診断(健診)の肝機能検査はとても重要です。 肝障害の鑑別疾患は多岐におよぶ  ある症状や所見に対し、可能性が想定される疾患を「鑑別疾患」と言います。健診の肝機能検査の項目であるAST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPの上昇は「肝機能障害」、または「肝障害」「肝逸脱酵素上昇」「肝機能異常」などと表現の仕方が統一されていませんが、本稿では「肝障害」と表現していきます。下表に肝障害の原因となる主なものをリストアップしました。肝障害の原因は多岐にわたります。 肝硬変の症状 慢性の肝疾患は放置すれば、肝細胞が壊れていき、壊れた肝細胞の部分を埋めるかの可ように線維組織に置き換わっていきます。これを「肝臓の線維化」といい、肝臓の線維化が進行し、肝臓が硬くなった状態を「肝硬変」と呼びます。肝硬変はその重症度から代償性(※)肝硬変と非代償性肝硬変に分かれます。代償性肝硬変は、症状がないことも多いですが、非代償性肝硬変は、肝臓の機能低下による様々な症状が出現してきます。 ※「代償性」とは肝臓の機能が保たれ症状が現れないことが多く、「非代償性」は肝機能を代償することができない程度にまで悪化している状態 肝硬変で起きてくること 肝臓はアルブミンをはじめとするタンパク質を合成する役割がありますが、肝機能が低下した肝硬変の状態ではアルブミンが低下し、全身でむくみ(浮腫が)が起きやすくなります。また血液を固めるのに必須の凝固因子と呼ばれるタンパク質もまた肝臓でつくられますが、障害の進んだ肝臓ではこれが産生(生み出すこと)できないため、出血しやすくなります。また、肝臓には糖分を貯蔵し、血糖の調整にも関与していますが、肝機能が低下すると低血糖を来すこともあります。これ以外に非代償性肝硬変になると、さらにさまざまな合併症が出現します。 肝硬変が進行すると 肝性脳症は非代償性肝硬変の代表的な合併症の1つです。肝臓はタンパク質の合成と同時に様々な物質の分解や無毒化を担っている臓器です。肝硬変ではアンモニアをはじめとする老廃物を処理ができなくなり、これが脳神経に影響し、精神状態や意識状態に異常を来します。また、肝硬変では腹腔(腸管や腹部臓器の間のスペース)に腹水が溜まり、お腹が膨れあがり非常に苦しい思いをします。 肝硬変は多臓器不全の原因に?  通常は腸管を巡った血液は門脈という血管に集まり、肝臓の中を通過しますが、肝硬変に至ってしまうと、肝臓の中を血液が通過するのに抵抗が生じ、門脈圧亢進症という病態が生じます。腸管からの血液がうまく肝臓に戻れなくなる門脈圧亢進症は、食道や胃の静脈を拡張させ胃・食道静脈瘤になり、時にこれらの静脈瘤は破裂し、吐血や下血を生じます。さらに門脈圧亢進症は脾臓に影響を及ぼし、脾機能亢進症という状態となり、血小板減少や白血球数減少を引き起こします。血小板減少により全身で出血しやすくなり、白血球減少のため感染症に罹患しやすく、さらに重症化しやすくなります。さらに門脈圧亢進症は、肺の微小血管を拡張させ低酸素血症、呼吸困難を引き起こします。近年は肝硬変のような重症肝疾患が、腎障害の原因となることが判明し、これを肝腎症候群と呼びます。  つまり、肝硬変が進行すると脳、肺、腎臓、血球など、生命維持するための主要臓器に悪影響が出現し、生命を維持することが困難となってきます。肝硬変は患者さんにとって、非常に苦しい状況をもたらします。そして肝硬変患者さんの半数が肝臓がんを合併しているといわれ、特にC型肝炎、B型肝炎による肝硬変の患者さんはハイリスクになります。  このような状況を回避するためにも、まずは肝臓の異常を検知し、次に「肝臓の線維化」を確認し、できる限り肝硬変への進行を防いでいく必要があります。≪引用参考文献≫肝硬変診療ガイドライン2020(改定第3版)NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改定第2版)B型肝炎治療ガイドラインC型肝炎治療ガイドライン肝癌診療ガイドライン  医師 加藤開一郎

  • 心拡大と病気の関係

     前回のコラムでは、心臓のサイズが大きくなる「心拡大」と心臓の壁が厚くなる「心肥大」の用語の違いをお話しました。今回は「心拡大」と病気との関わりを深掘りしてお話していきたいと思います。  健康診断の際の異常所見の1つに心拡大があります。心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋があり、いずれかの部屋が大きくなると、胸のレントゲン検査で心臓が大きく映る心拡大が起きてきます。  心拡大の原因を考えるとき、真っ先に思い浮かべるのは心不全です。その他にも心臓のまわりの膜に液体が溜まる心嚢液貯留という病態や、心臓の筋肉の異常に由来する拡張型心筋症という疾患でも心拡大が見られます。しかし、頻度的には心不全が心拡大の原因の多くを占めます。心不全については、その原因はさまざまですが、いずれも心臓のポンプ機能が低下した状態です。  心臓は血液を環流させることが役割ですが、心不全となり血液を心臓から血液を動脈にうまく拍出(はくしゅつ)できなくなると、心臓は心拡大を来してきます。もし健診で心拡大を指摘されたら、過度に心配する必要はありませんが、心不全や心嚢液貯留といった重要な病態が示唆されていることもありますので循環器科を受診し、すみやかにその原因を調べていくことが重要です。  留意していただきたいのは、心不全は初期段階では、無症状が多いことです。しかし、無症状の心不全も、それを放置すれば、心不全は癌のように、やがて進行(悪化)し、自覚症状が出現します。これを症候性心不全と言います。症候性心不全のステージになると、心不全は元に戻らない可能性が出てきます。  さらに大切なのは心不全を来している原因を突き止め、その原因に応じた対処をすることです。「心不全」という言葉は心臓の状態を表す用語で、その心不全を来たす原因は、さまざまです。下の表は心不全を来す疾患の例ですが、心不全を来す原因は多岐にわたることが分かります。もし、心拡大を指摘されることがありましたら、重要な疾患が潜んでいる場合もありますので、放置せず早期に受診することをお勧めします。 【心不全の原因例】 <心筋の異常による心不全> □虚血性心疾患 □心筋症:肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症      拘束型心筋症、不整脈原性右室心筋症、緻密化障害、たこつぼ型心筋症 □心毒性物質:アルコール・重金属        薬剤(抗がん剤・免疫抑制剤・抗うつ薬・抗不整脈薬           ・NSAIDS・麻酔薬) □感染症:ウイルス性心筋炎、細菌性心筋炎、リケッチア感染症、シャーガス病など □免疫疾患:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、       混合性結合組織病 □妊娠:周産期心筋症 □浸潤性疾患:サルコイドーシス、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、        悪性腫瘍 □内分泌疾患:甲状腺機能亢進症、クッシング病、褐色細胞腫、副腎不全、糖尿病 □先天性酵素異常症:ファブリー病、ポンぺ病、ハーラー症候群、ハンター症候群 □筋疾患:筋ジストロフィー、ライノパチー <血行動態の異常による心不全> □高血圧 □弁膜症・先天性心疾患 □心膜の異常 □高心拍出性心不全:重症貧血、甲状腺機能亢進症、パジェット病、妊娠、脚気心 □体液増加:腎不全・輸液過多 <不整脈による心不全> □頻脈性不整脈 □徐脈性不整脈 ※引用改変:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) 医師 加藤開一郎

  • HPVワクチンについて知っておいて欲しいこと

    つくばセントラル病院産婦人科担当部長長田佳世医師  子宮頸がんとは、子宮頸部(膣につながる部分)にできるがんのことです。子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られています。多くの場合、感染しても免疫によって排除されます。  ところが、HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や、子宮頸がんが発生すると考えられています。そこで、子宮頸がんの発生と関連が深い一部の型のHPV感染を予防するワクチンが接種可能になっています。 ■HPV(ヒトパピローマウイルス) ワクチンとは?  日本で年間、約1 万人が罹患する子宮頸がんをはじめとするHPV関連疾患の原因となるHPVの感染を予防する目的で開発されたワクチンです。 ■HPV ワクチンは、本当に子宮頸がんを予防できるのでしょうか? 「HPVワクチン接種が子宮頸がんを減らした」という報告が海外から相次いでいます。スウェーデンでは、17 歳未満に接種した群で、子宮頸がんになるリスクが88%減少しました。WHO(世界保健機関)はワクチン接種と検診で子宮頸がんは撲滅できると宣言しています。先行して接種が始まったオーストラリアでは2060 年には「子宮頸がんが撲滅」する世界最初の国になると言われています。 ■日本ではHPV ワクチン接種が出来るのでしょうか?  小6から高1相当の女子は定期予防接種のため、無料で接種出来ます。2022年4月から3年間、キャッチアップ接種として(1997年度から2005年度生まれまで)接種費用が助成されます。2023年4月からはより広い範囲のウイルス型をカバーできる9価ワクチンが定期接種、キャッチアップ接種で使えるようになりました。また、15歳未満(15歳の誕生日の前日)までに1回目の接種をした場合には、2回の接種プログラムとなり、より負担が少なくなります。  若い時の接種が望まれますが、20 代半ばまでは接種の有効性が高いと言われています。HPV 感染は、子宮頸がんだけではなく、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど、男性も罹るがんの原因になります。海外では男女ともに、定期接種になっている国がたくさんあり、日本でも男性の接種は可能です。 ■HPV ワクチンは怖いワクチンなので打たない方がよいでしょうか?  導入された当初、接種後に「歩けない」「けいれんした」などの報道がされました。その後の国内外の調査で、それらの症状がワクチン接種していない方や男性でも起きることがあり、頻度は非常に少ないことがわかりました。  ただ、少数ですがワクチン接種後に体調不良になられる方はいらっしゃいます。他のワクチンでも起こることがあり、「ワクチン接種後ストレス反応」と呼ばれています。痛みに不安がある場合には、横になって接種をするなどの対策を取ることが勧められます。  接種後しばらくしてから倦怠感やしびれ・痛みなどの症状が出た場合、別な病気が隠れていないか検査などをします。大多数の方は時間が経つと自然に回復します。軽い運動なども効果的なようです。 ■是非、ワクチン接種をご検討ください。  日本では若い方の子宮頸がんが増えています。命だけではなく、子どもを持つという当たり前の希望を奪うのが子宮頸がんです。ワクチン接種をご検討ください。当院でも接種可能です。中学生までは小児科、高校生以上は産婦人科で対応いたします。 【参考となるサイト】日本産科婦人科学会 「子宮頸がんとHPV ワクチンに関する正しい理解のために」https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

  • 心不全について知る

    総合大雄会病院 副院長 寺沢彰浩医師  日本人の死因の第一位はがんです。それに次ぐのが循環器疾患※1である心疾患です。その約40%は「心不全」によるものとされています。今後さらなる高齢化社会を迎えようとしている中で、心不全による入院数や死亡率は増加の一途をたどっています。そんな怖い病気「心不全」についてご説明いたします。 総合大雄会病院 循環器内科のサイトは以下です ↓ https://www.daiyukai.or.jp/department/junkanki/ ▽心不全とはどんな病気ですか?  心臓は、24時間休まず、酸素や栄養分を含む血液を全身へ送り出すポンプの役割を果たしています。日本循環器学会と日本心不全学会は心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。心不全はその原因、症状、重症度は人によってそれぞれ違います。 ▽心不全の原因はなんですか?  心不全にはさまざまな原因があります。心臓へ血液を送る血管(冠動脈)が詰まる心筋梗塞や狭心症、高血圧、心臓には血液を一方向に流れるように弁がありますが、その弁に障害を来たす弁膜症、心拍動が異常となる不整脈、心臓の筋肉自体が障害となる心筋症などがあります。 ▽心不全になるとどんな症状がでますか?  初期に見られる症状は運動時の息切れや、両足のむくみです。心不全になると心臓は体に必要な血液を送れなくなります。そのため、階段を登ったり、動いた時に息切れがしたりするようになります。疲れやすくなることもあります。  また、腎臓への血液の流れが低下して、体に水分がたまり、足の甲やすねあたりがむくんだりします。さらに進行すると体の中で血流が滞る(うっ滞)がひどくなり、安静時でも息苦しくなったり、苦しくて横になれなかったりする起坐呼吸※2の状態になることもあります。息切れやむくみが出現するようでしたら、お近くの医療機関、かかりつけ医にご相談されることをお勧めします。 ※1 循環器疾患とは、⾎液を全⾝に循環させる臓器である⼼臓や⾎管などが正常に働かなくなる疾患で、⾼⾎圧・⼼疾患(急性⼼筋梗塞などの虚⾎性⼼疾患や⼼不全)・脳⾎管疾患(脳梗塞・脳出⾎・くも膜下出⾎)・動脈瘤などに分類される。 (出典 厚生労働省 e-ヘルスネット) ※2 起坐呼吸(きざこきゅう):からだを横にすると、重力のために下半身にたまっていた血液が急に心臓にもどり、肺うっ血が強くなるため呼吸が困難になる。それに対して、体を起こして座ると心臓に戻る血液量が減り、心臓への負荷が軽減することで呼吸が楽になる状態を指す。

  • カルテコ・新キャラクター名「神田かるる」に

    【プロフィール】 神田生まれの江戸っ子。おせっかいな性格で、人々の健康を願っている。お祭り、お風呂が大好き。  趣味は「健康の知識」を集めること。 8月10日(ハート)生まれ/年齢、性別不明/身長90cm、体重13kg これからどうぞよろしくお願いします。

  • 似て非なる「心拡大」と「心肥大」

    似て非なる「心拡大」と「心肥大」

    紛らわしい健診所見の用語  今回は心臓の形態に関する健康診断などでの所見についてお話しいたします。  健診や人間ドックの所見で「心拡大」や「心肥大」と書かれたことがある方もいると思います。どちらも心臓の形態を表現する用語ですが、「心拡大」と「心肥大」を混同されている患者さんが少なくありません。しかし、「心拡大」と「心肥大」は、意味するところが全く異なりますし、想定する疾患も大きく異なります。以下の表をご覧ください。  「心拡大」は文字通り心臓全体の大きさが拡大した状態を指します。医師から「心臓が大きくなっています」と言われた場合は、この心拡大を意味します。心拡大の有無を判断する方法は胸部レントゲンです。  しかし、ここで疑問が浮かびます。体が大きい人と小柄な体格の人の心臓のサイズを比べたら、体格が大きい人のほうが心臓の大きさの絶対値が大きいと考えるのが自然です。  この課題に対し、臨床現場では心胸郭比という指標を利用しています。心胸郭比は心臓の横幅を胸の横幅で割った数値です。一般には心胸郭比50%以上を心拡大の有無の目安としています。すなわち胸の横幅の半分以上を心臓の横幅が占めていれば、心拡大の可能性が疑われます。  このように肺の検査だと思われがちな胸部レントゲン検査ですが、実は肺だけをみているのではなく、心臓の形態と心臓とつながる大動脈、肺動脈、肺静脈なども観察しています。言い換えれば、健診で受ける胸部レントゲン検査は、肺疾患だけではなく、循環器領域の疾患の存在を知る上でとても重要な検査ともいえるのです。  次に「心肥大」ですが、心肥大は「心臓肥大」とも言われ、心臓の壁が厚くなった状態を指します。心臓の壁は主に心筋で構成されますので、「心肥大」といえば、一般的には心筋が厚くなった状態を指します。上述の通り、心拡大は胸部レントゲンで確認できますが、心臓の壁の厚みは、レントゲン画像では知ることができません。  心肥大の有無は、心臓超音波検査で心臓に直接、超音波をあてて確認します。少し詳しい話になりますが、心筋の厚みが増すとき、心臓の外側に向かって筋肉が厚くなるのではなく、心臓の内腔に向かって筋肉が厚みを増していくことが多いです。  このため、心臓のサイズは正常なのに、心臓超音波検査で調べたら、心肥大のことがあります。心臓の壁が明らかな厚みを帯びてくると、心電図にも変化が出てくる場合があります。その場合、心臓超音波検査をしなくても、心電図所見から「心肥大疑い」となる方もいます。  ご自身の健診の所見や病気を理解する上で、まずは用語の意味を正確に知ることが大切です。本コラムをお読みいただき、医師に過去にかかった病気を聞かれたとき、心拡大と心肥大を区別して答えられるようになるのではないでしょうか。  次回以降は「心拡大」、「心肥大」が見られたとき、どのような疾患が想定されるのか、その原因にフォーカスしていきます。 医師 加藤 開一郎

  • 膝に水が溜まる?変形性膝関節症

    膝に水が溜まる?変形性膝関節症

     変形性膝関節症とは、膝関節を覆っている軟骨がすり減り、軟骨と軟骨の間にあるクッションの役割をしている半月板が炎症を起こすことで発症する病気です。日本国内に約700万~1,000万人の患者さんがいると言われ、女性が男性の1.5~2.0倍の数を占めています。  初期はあまり症状を感じないこともありますが、進行すると、膝の痛みや階段の昇り降りが困難となり、さらに悪化すると安静にしている時にも痛みがとれないこともあります。また膝関節に炎症が起きていると関節包に水が溜まり、膝が腫れることもあります。  軽度の場合は鎮痛薬を使用したり、膝関節内にヒアルロン酸を注射したりします。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動リハビリテーションや、膝を温めたりする物理療法をします。このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。 社会医療法人駿甲会 コミュニティーホスピタル甲賀病院澤野浩副院長 人工関節置換術について  運動療法や薬物療法、装具療法などで痛みが取れない場合やすでに関節が壊れて動かなくなってしまっている場合は、人工関節に置き換え、運動機能を取り戻す手術をします。人工関節の最大のメリットは「痛みの除去」と「生活の質の向上」です。※痛みの状態については個人差があります。手術に100%ということはなく、合併症を伴う可能性もあります。関節の痛みにお悩みの方は、整形外科・リウマチ科までお気軽にご相談ください。  日本整形外科学会のホームページ(https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/knee_osteoarthritis.pdf)で、変形性膝関節症の予防・治療のための運動療法が紹介されています。 <Point1>膝を支える筋肉を鍛えましょう 1.太ももの前の筋肉を鍛える方法① ①椅子に腰かける②片方の脚を水平に伸ばす③5~10秒そのままでいる(息は止めない)④元に戻す 2.太ももの前の筋肉を鍛える方法② ①脚を伸ばして座る②膝の下に置いたタオルや枕を押す③5~10秒そのままでいる(息は止めない)④力を抜く 3.太ももの外側の筋肉を鍛える方法 ①横向きに寝る②上の脚を伸ばしたまま股を開くようにゆっくり上げる③5秒ほどそのままでいる(息は止めない)④ゆっくり下ろす 4.脚全体の筋肉を鍛える方法 ①肩幅より少し広めに脚を開いて立つ②椅子に腰かけるようにお尻をゆっくりと下ろす③膝は曲がっても90度を超えないようにする④ゆっくりと膝を伸ばす <Point2>膝の動きをよくしましょう 1.膝の曲げ伸ばしをよくする方法① ①脚を伸ばして座り、かかとの下にタオルなどを置く②かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り曲げる③かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り伸ばす 2.膝の曲げ伸ばしをよくする方法② ①湯船の中に脚を伸ばして座る②かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り曲げる③かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り伸ばす 3.膝の裏の硬さをとる方法 ①脚を伸ばして座る②膝に力を入れ、爪先を伸ばして5秒ほどそのままでいる(息は止めない)③膝に力を入れ、爪先を反らせて5秒ほどそのままでいる(息は止めない) ※変形性膝関節症の症状は人によって異なります。運動療法は続けることが大切ですが、詳しい運動の内容や回数はかかりつけの先生とよく相談してください。

  • 出口見える不眠治療、「睡眠12箇条」参考に

    出口見える不眠治療、「睡眠12箇条」参考に

    つくばセントラル病院脳神経内科部長 高橋良一先生 「眠ろうとしてもなかなか寝付けない」という不眠の体験のある方がほとんどではないでしょうか。心配事や試験・発表会の前日、熱帯夜など眠れない原因はさまざまですが、通常は長期間、その状態が持続せずに睡眠がとれるようになります。  しかし、不眠が1か月以上にわたって続く場合があります。不眠が続くと、日常生活での不調が出現するようになります。日中のだるさや意欲・集中力低下、抑うつ、めまい、食欲不振などさまざまな症状があり、「長期間不眠が続き、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」とき、不眠症と診断されます。  不眠症は次の4つのタイプがあります。なかなか寝付けない「入眠障害」、眠りが浅く何度も目が覚める「中途覚醒」、期待した時間より早く目が覚める「早朝覚醒」、睡眠の満足感が得られない「熟眠障害」です。脳神経内科外来で診療することが多い高齢の方は、とりわけ中途覚醒で悩むケースが多いです。  日本人を対象にした調査で、5人に1人が「何らかの不眠がある」と回答しており、60歳以上の方では約3人に1人で睡眠問題があるといわれています。頻度の高い症状で、診察室で不眠の悩みをお聞きすることは非常に多いです。 「出口の見える不眠治療」が重要視  不眠症については、睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群とも呼ばれる主に下肢に不快な症状を感じるレストレスレッグス症候群、うつ病のような特別な原因がないか考えることからはじめています。  薬物治療に入る前に、「夕方以降カフェインやアルコール摂取を避ける」、「寝室は寝る目的のみに使用する」など生活習慣の見直しも重要です。睡眠について知識を得たいときには、厚生労働省のホームページの「健康づくりのための睡眠指針2014」(※)も参考になります。同指針は、「睡眠12箇条」を掲げています。 【健康づくりのための睡眠指針2014 睡眠12箇条】 1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。11.いつもと違う睡眠には、要注意。12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。  不眠症の薬物治療については、「薬を使うとやめられなくなる」「目を覚ましづらくなる」など抵抗を感じる方も多いと思います。新しく開発された薬剤については、依存性や退薬症状(中止するときにおこる副作用)が少ないものがあります。オレキシン受容体拮抗薬は、新しい効き目の睡眠薬で、覚醒に関わるオレキシンの効果を減らすことで自然な睡眠の導入を目指す薬剤です。効果が比較的長時間持続するため、「中途覚醒」への有効性が期待でき、薬剤を中止するときに起こる「反跳性不眠(突然服用を中止すると服用前より強い不眠が現れるようになること)」のリスクも低いといわれています。 こうした新規薬剤の登場により、治療の導入時から、不眠が改善したら薬を減量・中止することを意識した「出口の見える不眠治療」が重要視されています。不眠症について、睡眠薬の長期間の投与や、多剤併用をなるべく避けて治療を目指したいと考えています。 ※厚生労働省のホームページの「健康づくりのための睡眠指針2014」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf 【お知らせ】不眠症治療は脳神経内科では扱っておりませんので、セントラル総合クリニック 一般内科にご相談ください。

  • 治せる認知症を見逃さない

    治せる認知症を見逃さない

       「認知症」という言葉は、認知機能が低下した状態を指しますが、その原因になる疾患や病態は多岐にわたります。一般的には認知症と言えば、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、レビー小体型認知症をイメージされる方が多いかもしれません。認知症を診療する医師にとって重要なことは、上記のような代表的な認知症以外の「治療が可能な認知症」の疾患を見つけ出すことです。  以下の疾患は、その疾患を治療することで認知症の症状が改善、または治る可能性がある「治療が可能な認知症」の例です。医師は認知機能低下を訴える患者さんを初めて診療するとき、下記に挙げたような疾患が隠れていないかチェックする必要があります。きちんと検査もせずに、常用薬の確認をしないで認知症治療薬が処方されてしまうことは避けなければなりません。 治療が可能な認知機能低下を来す疾患例 ▢ 栄養障害(ビタミンB1欠乏症 、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏、ビタミンD欠乏症)▢ 甲状腺機能低下症▢ 電解質異常▢ 脳炎▢ 神経梅毒▢ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染▢ 特発性正常圧水頭症▢ 反復性低血糖▢ 脳腫瘍▢ 脳血管炎▢ 慢性硬膜下血腫▢ せん妄▢ うつ病▢ 特殊なてんかん▢ 薬剤誘発性認知機能障害  上記のような基礎疾患による認知症を見逃さないために、認知症の患者さんの診療においては、頭部の画像検査、血液検査で肝障害や腎障害の有無、甲状腺機能、電解質(カルシウムを含む)、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸のチェックが推奨されています。また、可能性がある場合は、HIVや梅毒の検査を実施することも必要です。  盲点になりやすいのは、薬剤による認知機能の低下の薬剤誘発性認知機能障害です。高齢になると薬剤を分解排泄する肝臓や腎臓の機能が低下し、認知機能低下を招きやすくなることがあります。特に多くの種類の薬剤を併用している場合、薬剤性の認知機能低下が生じやすいとされます。特に抗コリン作用を有するフェノチアジン系抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、三環系抗うつ薬は認知機能低下を招きやすいとされ、それ以外にも日常的に使用される薬剤でも、認知機能低下を誘発する可能性のある薬剤は沢山あります。このため、認知機能の低下が気になったら、医師に使用している薬剤を確認してもらうことも大切です。 認知機能低下を誘発しやすい薬剤 【向精神薬】▢ 抗精神病薬▢ 催眠薬(睡眠薬)▢ 鎮静剤▢ 抗うつ薬【向精神薬以外の薬剤】▢ 抗パーキンソン病薬▢ 抗てんかん薬▢ 循環器病薬(ジギタリス・利尿剤・一部の降圧剤)▢ 鎮痛薬(オピオイド・非ステロイド性抗炎症薬)▢ 副腎皮質ステロイド▢ 抗菌薬(抗生物質)、抗ウイルス薬▢ 抗腫瘍薬▢ 泌尿器病治療薬(過活動膀胱の治療薬)▢ 消化器病薬(H2受容体拮抗薬、抗コリン薬)▢ 喘息治療薬▢ 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬) ※引用改変:認知症診療ガイドライン2017 P47https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_02.pdf 医師 加藤 開一郎

  • 知っておきたい大腸がん検診の便潜血検査

     大腸がんになる人は40歳代から増え始め、国立がん研究センターの2019年のデータによると一生涯で男性は10人に1人、女性は12人に1人が診断されると推定されています。検診で要精密検査(要精検)と判定されても結局、医療機関を受診せず、早期治療の機会を逸しているケースもあるでしょう。  大腸がんの早期がん(ステージ1)で治療すれば5年相対生存率(全がん協生存率、2011年~2013年診断症例)は98.8%だが、進行がん(ステージ4)の段階では23.3%に低下します。  大腸がん検診で国が推奨しているのが便潜血検査です。大腸にがんやポリープなどがあると、便が動くのに伴って組織が擦れて出血することがある。その血液を調べることで大腸がんの発症リスクを判定します。 感度をより高くするために今は、2日間の便を採取する「2日法」が一般的となっています。科学的根拠(エビデンス)に基づく検査方法です。 知っておきたい便潜血検査 ・1980年代後半、免疫便潜血検査法(便ヘモグロビン法)を国内で開発・ヒト以外の動物ヘモグロビンにはほとんど反応しない(猿類を除く)・ときに容器からあふれんばかりの糞便が検体として届けられるが、 説明書に記載されている程度の量を採便棒で採取を・検体は採便棒で、糞便の表面を幅広くまんべんなくこすり取る・2日法の1日目の検体採取後に、便秘などで採取できない場合でも、 両日分が検査日含め7日以内になるのが望ましい・採取後は冷蔵保管が最も良いが室温保管の場合25℃以下の冷所保管。(協力:福山臨床検査センター 金光弘幸・エフエムエルラボラトリー東京所長)  大腸がん検診受診率はここ数年で少しずつ上昇し、厚生労働省の2019年の国民生活基礎調査によると男性47.8%、女性40.9%ですが、検診受診率は従来の国の目標の50%に届いていません。2023年度から始まる国の第4期がん対策推進基本計画は新たな目標を60%としました。

  • 動画「カルテコがある日常」

    動画「カルテコがある日常」“医療を選択できる社会”で何が変わるのか?

     メディカル・データ・ビジョンは、当社が目指す未来の姿を示す動画を制作いたしました。夫のやまとさんが「カルテコ」を使って自身や両親、家族の一員であるペットの健康状態を把握する場面から始まります。妻のさくらさんが体調の異変を感じる場面に転換し、医師・患者の双方が情報を持っている診療の場面を表現しています。動画は未来の世界を描いていますが、技術の進歩は目覚ましく、そう遠くない未来に、真にcするかもしれません。 https://www.youtube.com/watch?v=bikMCOsZ3oY

  • なかなか治らないアレルギー性鼻炎

     アレルギー性鼻炎の薬物治療では抗ヒスタミン薬が代表的ですが、現在ではステロイドの点鼻薬など多くの選択肢があります。 しかし、薬物治療において大事なのは自宅で生活しながら医師に指示された通り毎日服用することが出来るかどうかです。 今回はアレルギー性鼻炎の治療方法について、国立病院機構 三重病院 耳鼻咽喉科 増田 佐和子先生に解説していただきます。 https://doctorbook.jp/contents/453 (URLをクリックすると動画を視聴できます)

  • 過活動膀胱

    相談しにくい排尿トラブル、過活動膀胱とは

     気軽に相談できにくい身体のトラブルの一つに、排尿に関わるものがあります。40歳を過ぎると、トイレが近くなるという女性が増えるようですが、それには過活動膀胱という病気が関わっていることもあります。今回は、過活動膀胱について、かしわ腎泌尿器クリニックの大林 広樹先生よりお話を伺いました。 https://doctorbook.jp/contents/458 (URLをクリックすると動画を視聴できます)

  • 健診、受けっぱなしにしていませんか?

    健診、受けっぱなしにしていませんか?

    健康指導が一番大切  健康診断を終えるとそれだけでほっとしてしまう、結果が届いて安心してしまう、そういう方が多いのではないでしょうか。健診で大切なことは、結果をきっかけにして今後、何をすればよいか考えることだと思っています。  賛育会病院の健康管理クリニックで実施している健康診断および人間ドックでは、特に診察時の健康指導を大事に考えており、医師が一人ひとりの診察および検査結果をもとに丁寧に説明しています。一般健診の方でも、前回の結果などを踏まえて必要な指導をします。受診したら終わりの健診ではなく、1年に一度しっかりとご自身の体と向き合う機会にしていただきたいと願っています。 社会福祉法人賛育会 賛育会病院 健康管理クリニック島美奈子室長(助産師、看護師) 健診は生活習慣改善のスタートライン  健診で生活習慣病に関連する所見が認められる方には、帰り際にお声掛けをして、看護師が日常生活でのアドバイスをしています。例えば、体重増加が気になる方には、① 体重測定記録(レコーディングダイエット)② 食事はよく噛んでゆっくり食べる、まずは今より5分時間をかける③ 食後はすぐ横にならず洗い物など家事をする④ 寝る前2時間前には食事はとらないようにする などです。  普段の生活行動を少し変えて、継続することが何より大切ですからね。先日も、仕事に戻らなければならないので急いでいるという受診者さんに5分だけ下さいとお願いして、お話しさせていただきました。すると、「1年後には良い結果になるように頑張ります」と言ってくださいました。なぜ生活習慣改善が必要なのかが腑に落ちれば、自分事として真剣に受け止めてくれる方が多いですね。 カルテコを利用して  ご説明の際に、「カルテコ」に登録されている方は、昨年までの健診結果を見ながら今回の結果を比較して、目標設定も一緒に考えられる点がいいですね。 とりあえず聞いてみてください  「間食がやめられない」「どんな食事をとったらいいのか」「どんな運動をしたらいいのか」など、先生には聞けないさまざまな相談があります。私たち医療従事者は、受診者さんの行動変容のきっかけになり、ご自身の健康に関心を持つ方が増えることを願っています。些細なことでも相談していただき、楽しく生活習慣の見直しに取り組んでいただきたいと思います。

  • 「パンデミック」はコロナだけではない! 

    「パンデミック」はコロナだけではない! 

    2040年に向けた診療体制トランスフォーム~大腸内視鏡検査にAI診断を導入する取り組み  新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2類相当から5類に変更される見通しとなりました。この3年間において、「パンデミック」という表現も市民権を得るようになりました。そもそもその語源はギリシャ語のpandemos(pan「全て」、demos「人々」、of all the peopleとの意味)。この国は2040年に高齢者人口がピークに達し、それに伴う各種疾患の増加が予想されています。近未来に遭遇する、真の意味でのパンデミックにいかに対峙するか、医療を担う各病院のこの問題への取り組みが注目されています。このコラムではつくばセントラル病院の各疾患のパンデミックへの取り組みを紹介いたします。 社会医療法人若竹会つくばセントラル病院院長 金子剛(消化器内科医)  トップバッターはつくばセントラル病院の消化器内科医・金子剛です。私が担当する消化器領域において、大腸がんは最も大きな問題の一つで、日本におけるがん死の第2位、そのほとんどが老年および生活習慣が原因とされ、今後も増加することが確実な疾患です。当院では2021年8月に大腸内視鏡検査にAI(人工知能)診断を導入、上野卓教消化器内科部長とともに、大腸がんの早期発見および見逃し防止という取り組みをしています。  つくばセントラル病院が採用しているAI診断技術(NEC製wisevision)には、1万2000例の大腸腫瘍の画像がディープラーニングされています。これは20年程度のベテラン医師のキャリアに匹敵します。つまり当院で実施する内視鏡検査においては、生身の医師と機械の医師の2人体制で検査をしていると言えるでしょう。報告によると大腸内視鏡検査での腫瘍性病変の見逃しは20%程度あるとされています。当院ではその確率をAIにより最小化したいと考えています。これはフェイルセーフ(fail safe)の概念の導入で、ヒューマンエラーと呼ぶ人的ミスを、AI技術で未然に防ごうというものです。  具体的には大腸内視鏡検査をする際、AI診断ソフトウエアも同時に起動させます。内視鏡を肛門から直腸内に挿入し、盲腸に達したら空気を入れて腸を膨らませ、内視鏡を引き抜きながら管腔内の粘膜をくまなく観察します。そこでAIのサポートを併用します。AIは病変と疑われる部位を自動検知、場合によっては施術者である内視鏡医より先にポリープなどの病変を「ピッ」という警告音で知らせます。  もちろんAI診断は完ぺきではなく、発展途上の技術です。その一例として過検知といって、病的意義のない所見に対し警告音を発することもあります。一般に検査技術とは「感度」と「特異度」とのバランスです。いくら「感度」が高くて、なんでも病変だと指摘すればいいのではなく、逆に病変ではないと示す「特異度」も併せて高くなくてはいけません。AI診断では「特異度」のさらなる向上が課題です。  このように当院の大腸内視鏡検査では積極的にAI診断を活用していますが、今のところあくまで内視鏡医のサポートとして利用しており、病変の良・悪性の診断には内視鏡医の眼力(診断力)が一番です。ただ、AI診断を導入することで、誰でも等しくベテランの目利きを得られるという、患者さんへの診断技術の「均てん化」が図れると考えています。  大腸がん検診のスクリーニング検査である便潜血検査で要精密検査だったと連絡があると、皆さんは不安になるかもしれません。今や大腸がんの早期発見の第一選択は大腸内視鏡検査です。当院ではその検査において内視鏡医とAI技術がタッグを組んで、病変を早期に発見かつ見落とさないよう心がけていますので、安心して二次検診を受けてください。

  • 脳卒中は突然やってくる

    脳卒中は突然やってくる

     筆者が診療に携わる中で、最も怖いと感じてきた疾患が脳卒中です。その理由は、脳卒中は非常に急に発症し、突然、人を寝たきりにしてしまう疾患だからです。  歩いたり、食べたり、話したり、今まで人間として当然のようにできたことが、ある日を境に、できなくなるのが脳卒中です。脳卒中はある日、不意に襲いかかってくる疾患であるため、人は何も準備をすることができず、人生が一変してしまいます。後遺症が残ると、当人だけではなくご家族の生活にも大きな影響を来します。その意味において、筆者は、がんよりも怖い疾患だと感じています。  脳卒中には、いくつか種類がありますが、大きく分けると、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破裂し出血する脳卒中に大別されます。どちらも脳の組織がダメージを受けることで、手足が麻痺して歩行ができなくなったり、ろれつが回らなくなったり、あるいはふらついて歩行ができなくなったり、視野が半分かけたりするなどの症状が出ます。 脳梗塞には動脈硬化が原因のアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞があります。アテローム血栓性脳梗塞は、比較的大きな脳動脈が閉塞することで起きる脳梗塞で、治療が遅れると日常生活に支障をきたす後遺症を残すことが少なくありません。 一方、ラクナ梗塞は同じ動脈硬化性の脳梗塞ではありますが、比較的軽症で済む場合もあります。動脈硬化が原因の脳梗塞は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、大量飲酒がリスクとなります。逆に若年時より、これらの危険因子に対処することで、動脈硬化性の脳梗塞に至るリスクを減らせます。動脈硬化は長い年月をかけて進行します。大切なのは健診などで動脈硬化のリスクを指摘されたら、若年時からしっかり対処することです。強くお伝えしたいのは、高齢になって動脈硬化が進んでから対処するのでは遅いということです。 脳梗塞には、動脈硬化が原因でない脳梗塞もあります。それが心原性脳塞栓症と呼ばれるもので、心臓内にできた血液の塊(血栓)が、脳の血管に流れてしまい、脳の動脈をつまらせてしまうのです。心房細動と呼ばれる不整脈を持つ人や、心臓弁膜症、心臓奇形を持つ人はリスクが高くなります。心房細動は高齢になるほど出現しやすくなり、年を重ねるほど心原性脳塞栓症のリスクは高まります。なお、心房細動が確認された場合、脳梗塞のリスクを点数化し、リスクが高いと判断されれば、心臓内で血栓ができるのを防止できる抗凝固薬を使用し、脳梗塞を予防することができます。 今回は脳卒中の中でも脳梗塞を中心についてまとめました。脳卒中に少しでも多くの皆様が興味を持ち適切な予防をして、ご自身そしてご家族が、できる限り脳梗塞になることを回避していただければと願います。医師 加藤 開一郎

  • 「職員全員が輝ける病院」、患者さんが満足いく医療につながると信じて

    「職員全員が輝ける病院」、患者さんが満足いく医療につながると信じて

     2022年4月、院長を拝命しました。1999年1月にこの病院に赴任してきて以来、20年以上の歳月が過ぎました。麻酔科医の病院トップは珍しいかもしれません。 院長に就任してから、「総合大雄会病院をどのような病院にしたいか」と聞かれることがよくあります。その時は、「職員全員が輝ける病院にしたい」と答えています。そうすることで、一人でも多くの患者さんに満足のいく医療を提供できると信じているからです。  麻酔科は直接、患者さんと関わることが少ない診療科です。他の診療科ならば、患者さんからの感謝の言葉にやりがいを感じるでしょうが、少なくとも麻酔科医である私には、その経験がありません。その代わり、術者(手術を担当する医師)から信頼されることに最大の喜びを感じます。  大学卒業後、麻酔科医局の門をたたいてからしばらく、手術麻酔に専念していました。総合大雄会病院に来てからは、本格的に集中治療に関わることになりました。手術麻酔だけをしていた時は、手術が終わったら麻酔の仕事も終わっていましたが、集中治療室で術後の患者さんを診るようになり、自分の術中管理が術後に及ぼす影響を知ることができました。手術麻酔では経験できない症例にも遭遇したり、麻酔科の知識を集中治療管理に生かしたりすることができたので、あらたな道が開けた感じがしました。 社会医療法人大雄会総合大雄会病院高田基志院長  集中治療をしていると、どうしても救えない命があります。若い女性の劇症肝炎になった患者さんは、「まだ死にたくない」と言っていましたが、結局、救うことはできませんでした。心臓手術を受けた高齢者は、術後の経過が芳しくなく、「手術しなければもう少し生きられたのに」と言っていました。どちらも、とげのように私の心に深く突き刺さって、いまだに抜けません。医師として、どんな言葉をかければ良かったのか、 うそでも「大丈夫ですよ。きっと良くなります」と言ってあげればよかったのか、いまだに答えはでていません。 ITによるコミュニケーション促進が必要、PHRは医療を根底から変える  病院には多くの職種の方が働いています。その専門性を生かし、一人でも多くの患者さんに満足のいく医療を提供できるような体制を作りたいと考えています。自分のやっていることが患者さんにとってプラスになっていると実感できることでモチベーションアップにつながり、働くことの意義を見いだすことができるでしょう。これを実現するためには、何でも言うことができる環境を整えなければなりません。いわゆる、心理的安全性が確保された職場にしなければなりません。これを実現するためにはITを利用したコミュニケーションの促進も必要だと思います。  最後に、皆さんがお使いになっているPHR(パーソナルヘルスレコード)「カルテコ」は、日本の医療を根底から変える可能性を秘めていると思っています。これまで、日本の医療は、病気になった人を救済する制度でした。もちろん、これは素晴らしい制度です。しかし、これからは病気にならないようにすることが重要になってくると思います。そのツールであり、プラットフォームであるのがPHRです。そして、その使命は「健康寿命の延伸」であると考えています。この使命を頂点に掲げることで、PHRに付随するさまざまな事業もぶれることなく実現することができると思います。  いずれ、PHRの医療データと、スマートウォッチなどから得られるヘルスケアデータを統合し、人工知能(AI)が健康予測をする時代がやってきます。例えば、健康指標として「健康寿命」が算出できるようになるかも知れません。利用者は自分の健康寿命が、同じ年代の人と比較してどうなのかを知り、どうすれば延伸できるのかAIがアドバイスするといった時代は目の前まで来ているように思います。ヘルスケア産業は裾野が広く、これから大きく成長する分野でもあります。その中で中核をなすのがPHRだと考えています。

  • 意外と怖い?骨粗鬆症

    意外と怖い?骨粗鬆症

    一般財団法人大原記念財団大原綜合病院 佐藤勝彦理事長兼統括院長  骨粗鬆症とは、年齢と共に骨密度が低下し、骨折に至る病気です。高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者さんは年々増えています。私たちの身体では、常に古い骨を壊す骨吸収と新しい骨を作る骨形成が繰り返されています。女性は特に、閉経により骨吸収の抑制をつかさどる女性ホルモンの分泌量が低下することで骨吸収が過剰になり、骨密度が激減するため、患者数が多いと考えられています。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版(一般社団法人骨粗鬆症学会)によると、国内の患者数は女性980万人、男性300万人ほどといわれています。  骨粗鬆症の分類は、「原発性」と「続発性」に分けられます。原発性骨粗鬆症の多くを中高年女性が占めます。続発性骨粗鬆症とは骨が弱くなる原因や基礎疾患が明らかなもので、特に20~30代の骨量が最も増える時期の過度なダイエットなどが原因となる若年層の患者さんも見受けられます。  骨粗鬆症の患者さんは自覚症状がほとんどなく、骨折して初めて判明する場合がほとんどです。骨粗鬆症で骨折しやすい部位は、年齢によって変化します。まず、50~60代では転倒した際に手首をつくことによる橈骨の骨折が多くなります。その後、70代では尻餅をつくなどで、背骨の脊椎圧迫骨折が増えます。80代では、脚の付け根部分の大腿骨近位部骨折が多くなり、早期に手術・リハビリ介入することが重要になります。  骨粗鬆症の治療薬は現在では、多種類存在します。中でも重症患者に適用される副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)は、従来の薬になかった骨形成促進の作用を持ちます。また、投与期間が最長2年間と限られているため、治療のタイミングが重要になります。  公益財団法人骨粗鬆症財団によると、2015年度の骨粗鬆症検診の受診率は全国平均で5.0%ほどです。一方、福島市では16%と、全国平均に比べて高い水準です。私は福島市医師会骨粗鬆症検診精度管理委員長として、骨粗鬆症予防につながるよりよい検診体制にするための見直しをはかっており、検診時に骨粗鬆症による骨折の発症にかかわるさまざまな危険因子を問診できるよう改定しました。ここ3~4年の検診データを分析すると、40~60代の食生活(カルシウム摂取など)、喫煙などの項目で半数以上の方が危険因子を持っていることが分かりました。  骨粗鬆症の予防としては、食事でカルシウムやビタミンを摂取することと、適度な運動が大切です。カルシウムは、1日当たり女性600mg、男性800mg摂取することが推奨されています。牛乳コップ1杯(200ml)中には約200mgのカルシウムが含まれており、それぞれ3杯分、4杯分が目安になります。骨の形成を促すビタミンDは日光を浴びると生成されるため、散歩をすることも効果的です。また、骨は体重をかけていないと弱りやすいため、リモートワークなどで特に運動量が減りやすい生活では、ウォーキングやスクワットの習慣も大切です。  「歳を取ると骨が弱くなる」というのは仕方のないことのように考えられがちですが、骨粗鬆症はれっきとした病気で、知らず知らずのうちに進行しているということを知ってもらいたいと思います。大原綜合病院の「カルテコ」では、骨密度測定結果の閲覧を開始しました。患者さんがスマホなどで確認して、より検査結果を身近に感じることができるでしょう。また、健康リテラシーを高めることで、食生活でカルシウムを積極的に摂取したり、外に出て適度な運動を習慣付けるなどしたりすれば、骨密度を引き上げることにつながると思います。 あなたの骨は大丈夫ですか?(=筆者の著書をご参照ください) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

  • 動画:BMIとは?

    動画:BMIとは?

     肥満度を表すBMIについて、まめクリニックグループ創業者で医師の石川雅俊先生にお話しいただきました。 https://youtu.be/IP-pU0V6Pjk

  • 高血圧と血圧測定のコツ

    高血圧と血圧測定のコツ

    社会医療法人社団慈生会等潤病院 伊藤雅史院長・理事長  血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことで、普通は上腕動脈(わきとひじの間の動脈)の圧力を意味します。血圧は上下2つの数値で示され、上は心臓の収縮により最高に達したときの値で「最高血圧」または「収縮期血圧」、下は心臓の拡張により最低に達したときの値で「最低血圧」または「拡張期血圧」と呼ばれます。  血圧は常に変動しており、通常は朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、睡眠中は低くなります。また冬は夏より高くなりますし、緊張しているときや体を動かした直後なども高くなることがあります。そのため、たまたま測った血圧が高いというだけでは「高血圧」とは言い切れず、繰り返し測って血圧が高い場合を言います。  繰り返し測った血圧で、診察室では「最高血圧」が140mmHg 以上、または「最低血圧」が90mmHg以上、家庭ではそれぞれ135mmHg以上、85mmHg以上で高血圧と診断されます。診察室と家庭で基準が異なるのは、診察室ではいつもより血圧が高くなることがあるからです。これは白衣現象・白衣高血圧と呼ばれます。そのため、自宅で測る「家庭血圧」が重要になってきます。 ちなみに厚生労働省の国民健康・栄養調査結果では、「最高血圧」の平均値が男性132.00mmHg 、女性126.0mmHgでした。同調査では、高血圧の改善に向けて「最高血圧」の平均値の目標(「健康日本21・第2次」)を明示して、男性134mmHg、女性129 mmHgとしています。 血圧を測る前には5~10分くらい安静にして、一定の条件で測ることが大切です。座った姿勢と血圧計を腕と同じ高さにして測ります。血圧計にはさまざまな種類があり、上腕で測るものが勧められますが、血圧計を選ぶこと以上に継続して測ること、できれば毎日測定して記録することが重要です。 人によっては左右で差があり、左と右で10mmHg以上違う場合は、高い方で測ります。時間は朝、起床後1時間以内で食事や薬を飲む前に測ることをお勧めします。夜の場合は寝る前に、そのほか体調の悪いときにも測りましょう。参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf2019(令和元)年国民健康・栄養調査結果の概要 22頁参照

  • 健診で貧血を指摘されたら

    検診で貧血を指摘されたら

    鉄欠乏性貧血編 若年の女性では、月経過多や子宮筋腫などで鉄欠乏性貧血を来すことがあり、鉄欠乏性貧血は珍しい疾患ではありません。しかし、医師の目線では、鉄欠乏性貧血は非常に注意深い診療が必要な疾患です。特に男性や、閉経後の女性に鉄欠乏性貧血がある場合には、その原因に細心の注意を払う必要があります。  その理由は、鉄欠乏性貧血の原因の1つに「がんからの慢性出血」が潜んでいるからです。がんからの出血を来たしうる具体的な疾患は、消化器管からの出血だと、食道がん、胃がん、小腸がん、大腸がんなどがあります。また、尿路系のがんは腎臓がん、尿管がん、膀胱がんがあり、婦人科系は子宮がんなどが挙げられます。 がんの組織は、血流が豊富な一方で、正常組織と比較してもろい傾向があります。このため、消化管や尿路のがんは、腫瘍からじわじわとにじみ出るような出血を来すことがあります。このような慢性の消化管出血では、出血により鉄分を喪失し、鉄欠乏性貧血がゆっくり進行します。多くのがんは進行がんになるまで自覚症状がないことが多く、鉄欠乏性貧血は消化管のがんや尿路系のがんの存在を疑う貴重な手がかりの1つです。 貧血を指摘されたら、放置しないで早めに受診していただくことをお勧めします。とにかく貧血の原因を医師に確認してもらうことが大切です。ご注意いただきたいのは「鉄分不足の貧血があるから、とりあえず鉄剤を服用しよう」とご自身で判断してしまい、受診や精密検査が遅れることです。安易に鉄剤で対症療法することは、貧血の背後に隠れたがんの発見が遅れてしまうことになるかもしれません。 赤血球に関する検査項目は、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値などが代表的ですが、直接的な腫瘍マーカーではありません。しかし、これらの検査項目は、がんの存在を疑うきっかけになる大切な指標です。さらに、検診データを見るときにご注意いただきたいのは、検査項目の値が正常範囲内であっても、その数値が年々減少傾向ならば注意が必要です。 今回は鉄欠乏性貧血を取り上げました。鉄欠乏性貧血に限らず、貧血はその原因の究明が肝心です。繰り返しになりますが、検診などで指摘を受けたら、速やかに受診していただければと思います。 (医師 加藤開一郎) 鉄欠乏性貧血を来しうる疾患例 ◆鉄喪失タイプ▢食道癌▢逆流性食道炎▢胃潰瘍▢胃癌▢十二指腸潰瘍▢小腸癌▢大腸癌▢大腸憩室▢痔疾▢月経過多▢子宮筋腫▢子宮内膜症▢子宮癌▢卵巣出血▢腎臓癌▢尿管癌▢膀胱癌▢抗血栓薬使用 ◆鉄摂取低下タイプ▢偏食・ダイエット▢胃切除後▢無胃酸症▢萎縮性胃炎▢吸収不良症候群 ◆鉄需要増大タイプ▢妊娠▢授乳▢成長期(小児・思春期) ※日内会誌99巻6号 P1220-1225.2010より引用改変

  • 動画:「新・医者にかかる10箇条」

    動画:「新・医者にかかる10箇条」

    新・医者にかかる10箇条について認定 NPO 法人ささえあい医療人権センター COML(コムル)理事長の山口育子さんに話していただきました。 https://youtu.be/7NT1nab2Utw

  • 都道府県別 有所見率

    健診有所見率 あなたの都道府県は何位?

    11年連続ワーストの沖縄県 健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2021年は70.4%となった沖縄県が、11年連続でワーストを続けています。全国平均は58.7%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。 病気を早期発見、治療するための仕組み 二次世界大戦の影響が残る1940~1960年代、沖縄県民の栄養状態は悪く、70年代から80年代以降になると経済状況が良くなったものの、飲酒量の多さが指摘され、食の欧米化によりカロリーや脂質・糖質を摂りすぎる状態となりました。  また、公共交通機関の発達が十分でないことにより、近くのコンビニエンスストアに行くにも自動車を使うのが当たり前の車社会で、運動不足の原因になっていると考えられます。 2021年の沖縄県の検査項目別の有所見率は、血中脂質が42.6%(全国平均33.0%)、血圧が24.9%(同17.8%)、肝機能が24.1%(同16.6%)で、これらの検査項目が特に高い傾向にありました。業種別では製造業(80.6%)、建設業(75.3%)、運輸交通業(74.7%)が高い業種となっています。  同県は観光や運輸などの第3次産業の人口割合が東京に次いで高いことから(2020年国勢調査)、運輸交通業の割合の高さが県全体の有所見率を引っ張っているという、観光産業の盛んな沖縄ならではの事情とも考えられます。 つくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「職場の健診に限れば、有所見者を再検査・治療につなげるためには、事業所やそこの産業医が労働者に受診を促すことが最も効果的と考えている」といいます。 しかしながら、常勤の産業医や保健師が勤務するような大企業を除いては、あまり、積極的に関わっていない印象といいます。              神谷医師はまた、「職場の健診の場合、本人の意思ではなく、職場からの指示で仕方なく受診されている人も見受けられる。このような方の場合は、再検査などの受診につながりにくいため、健診後の受診勧奨といった施策のみではなく、日常の健康教育により健康リテラシーの向上を目指すことも必要であると考えている」と話します。業務上疾病発生状況等調査:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html

  • 有所見率の推移

    健診有所見率が60%に急接近 

    業種別の有所見率も明らかに  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるようよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。   厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2021年の有所見率は58.7%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。 この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。 有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2021年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が33.0%と最も高くなりました。次いで、血圧が17.8%、肝機能検査が16.6%などとなっています。 業種別では鉱業、建設業などが上位に  定期健康診断実施結果では、業種別の有所見率も分かります。「石炭鉱業」が88.9%で最も高く、次いで「土石採取」(78.3%)、「道路旅客」(74.9%)などとなっています。一方で、低いのが48.1%の「鉄道等」で、「他の運輸」(51.3%)、「輸送機械」(52.3%)の順番です。 東京都足立区で等潤病院などを運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、医師として外来診療や手術をする傍ら、同院に併設する健診センター等潤で、健診受診者の判定もしています。たくさんの人を診る中で伊藤理事長は、「この地域の特性で建設業に従事する人を多く診ているが、有所見で要再検査などと判定するケースは少なくない。建設業は働く環境が厳しいという側面もあり、力仕事のストレスを発散するためか、酒を飲み過ぎたり塩分を取り過ぎたりするなど、食生活を起点にした生活習慣病の予備軍と見られる人が散見される」と話しています。実際、建設業に分類される「土木工事」の有所見率は70.9%、「建築工事」が61.9%などと高い水準となっています。 また、有所見と判定された人が周りに言われるのではなく自分の 意思で後日、再検査や治療にために医療機関を受診することが望ましいが、伊藤理事長は「例えば、聴力に異常があったとしても日常生活に大きな支障を来たさないため、医療機関を受診しようという発想にまでは至らないのだろう」と話しています。

  • 治療1回に水120L必要「透析患者」襲う断水の怖さ

     透析とは、専用の装置を使って人工的に血液中にある余分な水分や老廃物を取り除く治療をいう。腎臓の働きが低下して腎不全となり、薬剤を使った治療が限界に達した際に行われる。  透析治療には大量の水や電力が必要なため、地震などの災害で断水が発生すると、たちまち患者の療養環境は脅かされてしまう。 詳細は、東洋経済オンラインをご覧ください。記事URLは以下をクリック ↓ https://toyokeizai.net/articles/-/728972

  • 心臓病の最終段階、じわじわ襲う「心不全」の怖さ

     日本人の死因の第1位はがん。次いで多いのが心疾患(心臓に起こる病気の総称)だ。2022年の人口動態統計によると、高血圧を除いた心疾患の死亡者数は23万2879人(前年21万4710人)となった。そのうち約4割が心不全で、10万人に迫っている。  将来推計で、わが国は2043年に高齢者人口がピークに達し(国立社会保障・人口問題研究所の推計で3953万人)、それに伴う各種疾患の増加が予想される。その1つが心不全だ。 詳細は、東洋経済オンラインをご覧ください。記事URLは以下をクリック ↓  https://toyokeizai.net/articles/-/707269

  • 塩分摂り過ぎに注意を

    社会医療法人慈生会等潤病院 伊藤雅史院長・理事長   日本人は欧米人に比べて塩分摂取が多く、塩分の摂り過ぎが高血圧を引き起こしやすい体質であることが分かっています。日本人の1日の食塩摂取量は減少傾向にはありますが、厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)によると成人で平均10.1g(男性10.9g、女性9.3g)。同省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が設定している目標値の男性7.5g未満、女性6.5g未満をそれぞれ上回っています。  ちなみに、世界保健機関(WHO)が2012年のガイドラインで推奨しているのは5g未満です。なお、塩分表示でナトリウム(Na)量と書かれている場合は、その2.5倍が塩分相当量になります。 「病院の食事はまずい」などとよく言われますが、高血圧などの治療食の1日塩分量は5~6g未満に調理されており、味が薄いことが大きな原因であると思います。ちなみに、梅干し1個の塩分量は約2.5gです。  ただ、入院中に食事が進まず栄養が低下したところで、塩分制限のない食事にした途端、元気になったという話もありますので、考えさせられます。  逆に外食やインスタント食品は塩分が多く、注意が必要です。麺類の汁は飲まない、みそ汁は具だくさん、酢・うまみ・薬味を使っておいしく、醬油はかけずに小皿でつけるなど工夫し、肉料理を減らし野菜・大豆製品・海藻類を使った副菜を増やします。  以下は、加工食品などの塩分含有量の目安です。推奨摂取量と比べてみてください。 出典:わたしの食事カルテ(メディカル・データ・ビジョン発行) 管理栄養士 宗像伸子先生 監修 参考:厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf

  • ウェアラブル端末による自律神経機能の臨床的意義

    医師 加藤 開一郎 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■要旨  スマートフォン、ウェアラブル端末等の汎用小型電子機器による生体情報の活用が近年、注目されています。生体情報の1つに自律神経機能があり、心拍変動分析による自律神経機能評価のほか、端末の光学技術を利用した脈波変動解析による自律神経機能の評価も実用化が進められています。これらの動向は、常時長時間、非侵襲的に実生活におけるストレス状態を可視化し、生活情報が紐付けられれば、ストレス源の特定にもつながります。  神経学や心身医学領域における自律神経不全(自律神経機能不全)、いわゆる自律神経失調症は、診断、治療において患者の自覚症状に大きく依拠しています。小型電子端末の測定機能と自動問診システムを組み合わせると、自律神経機能評価、主観的ストレスの定期評価、自覚された自律神経症状の3つを1つの時間軸で記録・分析することが可能になり、自律神経失調症の診断・治療プロセスに大きな貢献が期待されます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ■はじめに  医療機関を受診する人の中には、自覚する症状が自律神経系の異常に起因することが少なくありません。しかし、現在の多忙な医療現場では、個々の患者さんに自律神経機能評価を実施することは難しく、また医療機関における自律神経機能評価は、短時間の限られたシーンに限られ、患者さんの実生活での自律神経状態を評価することが難しいのが現実です。しかし、スマートフォンやウェアラブル端末等の汎用小型電子端末を利用した自律神経機能の評価が可能になりつつあります。そこで、本文は自律神経系を概説し、自律神経機能に関する測定の臨床的な可能性について概説し、症候学的な見地から考察します。 ■自律神経と疾患の関係性  「自律神経の病気」という言葉を発すると、よくストレスや精神的問題を連想する方が少なくありません。これは私たちが日常的に「自律神経失調」、「自律神経失調症」という言葉や文字を頻繁に見かけることによるかもしれません。しかし、自律神経失調症は、自律神経のバランスに異常を来し自律神経症状がみられる状態を指しますが、学術的には、「自律神経不全」や「自律神経機能不全」と呼ばれ、広義の自律神経の病気ではありますが、「自律神経の病気」=「自律神経失調症」ではありません。そして、自律神経失調に心理的ストレスが影響を及ぼすことは、皆さんがご存知の通りですが、「自律神経の病気」は「精神の病気」ではありません。  自律神経は運動神経、感覚神経と並んで第三の神経と称されるように、脳や脊髄から出て、脊椎の横を走行し、解剖学的に肉眼で確認な独立した神経系で各末梢臓器に分布します。脳から末端の臓器までの自律神経系に経路のどこかに異常を来せば、何らかの「自律神経の病気」を発症する可能性があります。少々ややこしく感じ始めた方も多いかもしれません。そこで、自律神経の役割から確認していきます。 ■自律神経の役割  人体には自動で生命維持しようとする仕組みが備わっています。その役割を担うのが、自律神経系と呼ばれる神経系です。私たちが無意識に呼吸し、その時々の身体活動量に応じて必要な酸素を取り込めるのは、呼吸数や肺活量が自動制御されるからです。同様に心臓が自動で収縮し、活動状況に応じて心拍数と収縮力を調整し、血管の収縮状態と連動し、血圧を一定に維持できるのも自律神経の働きによるものです。食事をすれば自動で消化管が動き、消化酵素が分泌され、自動で消化吸収されます。外部環境に左右されず体温は一定に保たれるのも自律神経の作用です。このように、人体の基本的な生命維持は、自律神経が深く関与しています。ご存じの通り、自律神経には、体の活動時に優位に働く交感神経と、体の休息時や消化時に優位に働く副交感神経があり、互いに反対の作用を示します。自律神経の主な作用臓器と作用を表1の通りです。 表1:自律神経の主な作用臓器と作用 作用臓器交感神経副交感神経瞳孔散瞳瞳孔収縮涙腺 涙液分泌唾液腺少量の濃い唾液を分泌大量の薄い唾液を分泌気管・気管支気道拡張気道収縮心臓心拍増加心拍減少消化管消化管運動の抑制 消化液分泌の抑制消化管運動の促進 消化液分泌の促進肝臓グリコーゲン分解(糖新生)グリコーゲン合成膀胱蓄尿作用排尿作用  人体の多くの臓器が、交感神経と副交感神経とつながり、生命維持に重要な役割を果たします。この自律神経の役割を理解すると、自律神経系のトラブルにより、さまざまな臓器の症状が出現すること分かります。例えば、膀胱を制御する自律神経に異常が生じれば、適切に尿が排尿されない排尿障害の症状が出現します。医師が処方する薬剤の中には、副交感神経の作用を強める薬剤があり、唾液や気道内分泌が異常に増加する場合や、あるいは全身の発汗が著しくなるような症状が出現することがあります。このように、自律神経は多くの臓器の機能を制御しているため、その症状も多彩です。自律神経=メンタルの病気ではないことを少しご理解いただけたかと思います。 ■自律神経症状の捉え方 臨床医の目線で自律神経系のトラブルを考えるとき、以下の4つのポイントがあります。 自律神経症状が存在するか否か その自律神経症状は本当に自律神経のトラブルによるか否か その自律神経症状は自律神経の「機能的トラブル」または「器質的トラブル」か その自律神経のトラブルを引き起こす原因(基礎疾患)は何か  自律神経のトラブルを自律神経の症状は、運動神経や感覚神経とは異なり、通常の神経学的診察では異常を把握できないことがあり、患者さんへの的確な問診がとても重要です。例えば、糖尿病は末梢神経に障害を来す疾患で、自律神経のトラブルを来す代表で、糖尿病性自律神経障害といい、失神や立ち眩み、便秘と下痢の繰り返し、インポテンツなどさまざまな自律神経症状が出現します。糖尿病性自律神経障害で最も深刻なのは、無自覚低血糖や致死性不整脈です。このため、長年にわたり糖尿病を患っている患者さんの診療では、問診で自律神経障害を確認することに加え、心電図R‐R間隔検査や起立試験などの検査を通じ、自律神経のトラブルの有無を確認します。  そして、自律神経症状が確認されたら、次はその自律神経の症状が、本当に自律神経に由来する症状なのかどうかの確認が必要です。例えば、「立ちくらみ」は自律神経症状として重要ですが、貧血や脱水症、電解質異常、不整脈など別な疾患でも立ちくらみは生じます。このため、自律神経症状を呈した患者さんを診療する場合、安直に自律神経症状と決めつけず、血液検査や心電図検査をはじめとする各種臨床検査で自律神経以外の疾患による症状の可能性を調べる必要があります。  いよいよ各種臨床検査で異常がない場合、ようやく自律神経自体のトラブルと判断しますが、さらにその自律神経系のトラブルは「機能的な異常」なのか、または画像検査や顕微鏡で異常を確認しうる「器質的な異常」なのかを検討します。  世間一般に言われる「自律神経失調」、または「自律神経不全」と表現される状態は、交感神経と副交感神経の調節に不具合を生じている「機能的な異常」です。一方、パーキンソン病や多系統萎縮症に生じる自律神経のトラブルは画像検査でも確認できる「器質的な異常」です。自律神経失調症と紛らわしい表現に「自律神経障害」という表現がありますが、こちらは自律神経系の器質的異常を指して使用されることが多いです。このようにきちんとした診断プロセスを踏むのは、誤診を回避し、的確な診断にたどり着くためです。そして、的確な診断にたどりつくことで、ようやく適切な治療や予後予測が可能になるのです。 ■多彩な自律神経症候  ここまでで、「自律神経症状」という言葉を使用しましたが、あらためて自律神経症状にどのようなものがあるか、主なものを見ていきたいと思います。 表2:主な自律神経症状 心臓血管系<脳虚血症状> □めまい□ふらつき□立ちくらみ □目の前が暗くなる(眼前暗黒感)□失神 <心虚血症状> □胸痛  □動悸 <筋肉の虚血症状> □頭痛 □肩こり □肩痛 <その他> □疲労感 □倦怠感消化器系□腹部膨満感 □嘔気 □便秘 □下痢 □麻痺性イレウス (※イレウス=腸閉塞)皮膚<発汗障害> □皮膚乾燥 □無汗 □乏汗 □発汗過多 □うつ熱泌尿器系<蓄尿障害> □頻尿 □尿意切迫 □尿失禁  <排尿障害> □残尿 □排尿困難 □尿閉生殖系□インポテンツ  次に表3に自律神経に関連した疾患例をお示しします。自律神経が関与する疾患は多数あることがお分かりいただけると思います。 表3:自律神経機能、または自律神経障害が関与する疾患例 消化器系 過敏性腸症候群 慢性特発性便秘呼吸器系睡眠関連呼吸障害循環器系起立性低血圧 体位性頻拍症候群 血管迷走神経性失神 不整脈脳神経系慢性疼痛 自律神経調節性失神 パーキンソン病 多系統萎縮症(Shy-Drager症候群) 筋萎縮性側索硬化症 純粋自律神経不全 家族性アミロイドポリニューロパチー 自己免疫性自律神経障害内分泌糖尿病性自律神経障害泌尿器過活動膀胱 神経因性膀胱 性機能異常皮膚多汗症 無汗症眼科眼球乾燥 瞳孔異常(Argyll Robertson瞳孔・Adie瞳孔)耳鼻科めまい症その他心因性発熱 ■自律神経機能 検査の変遷  自律神経に関する国内の論文報告をレビューすると、1900年代後半は自律神経を評価するための研究が盛んでした。自律神経の交感神経系の緊張度を測定する方法として、血液中のノルアドレナリン濃度を測定する方法もその1つです。また、自律神経に影響を与える薬剤を注射し、心拍数の変化から自律神経の機能を調べる試みもありました。  そんな中、1973年にWheelerらが糖尿病性自律神経障害の患者で心電図の心拍変動が減少することを報告しました。ここで心拍変動について解説します。不整脈のない規則正しい心拍でも、実は心拍の間隔は絶えずわずかながら変動しています。呼吸の状態とも強く関連しています。そして、この心拍の間隔は、心電図のR波という部分と次の心拍のR波の間隔を実測が可能です。そして、心拍の間隔の変動度合いを数値化した指標が、心拍変動係数(心電図RR間隔変動係数)と呼ばれ、循環器系の自律神経機能を定量的な指標として、同指標を利用した自律神経の研究が盛んに行われてきました。特に1980年~1990年代は心拍変動係数に関する論文が多数発表され、自律神経機能と臨床症状との関連性を示す研究が数多く見られました。  その後、光学的に指先の細動脈の脈波が検出できるようになると、それまで心電図の心拍変動による自律神経機能評価から、より簡便に指先での脈波分析による自律神経機能測定が研究されるようになります。そして、近年はスマートフォン端末の光学機能を利用した脈波検出と測定値の分析手法の開発で、より簡便な自律神経機能評価の実用化に向けた取り組みが進められています。 ■自律神経機能測定の臨床的解釈  小型電子端末を利用した自律神経機能評価が可能となることは、個人が自身の体の状況を把握することに大きく寄与します。特に自律神経機能を連続的、あるいは定時的にモニタリングすることが可能になれば、1日24時間のサイクルの中で交感神経優位の時間の長さと副交感神経優位の時間の長さを知ることが可能になります。これにより、心身への負荷量を把握する上で重要な指標になると考えられます。一定の水準に達するとアラートがなるような仕組みが備われば、利用者の利便性はより高まると考えられます。  さらに自律神経機能の測定に付随し、自覚症状の有無を記録し、症状があるときは、その症状が増強・軽快するタイミングや時間帯を記録できれば、症状と自律神経機能との関係性を見出しやすくなります。また、呼吸数などのバイタルサインも併せて測定記録することで、自身の体の状態をより客観的に把握しやすくなります。 ■自動問診+生体データ+主観的ストレスデータの統合解析  患者さんと医療者の対面で実施されてきた医療の問診は従来、自動問診のアプリやWebサービスが多数開発され、受診前の予診、医療機関内での問診など、運用方法はさまざまですが、着実に問診の自動化の流れが進みつつあります。  自律神経の視点で自動問診を考えたとき、「自律神経失調症」との相性の良さが想像できます。「自律神経失調症」は、自律神経調節の不具合が関連し、症候を一括りにした言葉で、めまい、動悸、不眠、ほてり、冷や汗など自律神経の障害によるとみられる症状がある場合に使用される用語であり、学術的には「自律神経不全」が正しいとの見解があります。しかし、「自律神経失調症」が社会的に浸透している現状を踏まえ、本稿ではこのまま「自律神経失調症」を使用しています。  小型電子端末等から得られる自律神経機能のデータは、自律神経失調症の診断や原因の特定に寄与する可能性があります。自動問診による自律神経症状の種類、出現パターン、症状出現時またはそれ以前の自律神経機能の状態、主観的なストレス情報を統合して解析することで、自律神経症状と自律神経機能との相関関係を解析することが可能になるでしょう。さらに、生活情報と統合させることで実生活の中で何に心理的ストレスを感じ、自律神経にどう影響したか、定量的に把握することが可能になりえます。これは自律神経失調症の方の診断や治療、症状出現予測などさまざまな臨床応用の可能性があります。 ■コロナ後の受療行動が変わる可能性  ここ数年猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、個々人の受療行動にも影響を及ぼしたと考えられます。個人が検査キットを購入し、自宅でキット検査を実施し、その結果をもとに、医療機関を受診するかどうかの判断材料にする動きが見られました。また、医療相談アプリを利用した受診の要否判断をするケースも見られました。 表4:個人の医療機関受診の判断材料の変化 従来新型コロナ流行開始~症状の程度 血圧・体温 ネット情報症状の程度 血圧・体温 酸素飽和度 検査キットの結果 医療相談 自動問診サービス  このような受療行動の変化は、今後も他疾患にも広がりを見せる可能性があります。すなわち、個人が自宅でバイタルを測定し、簡易検査をして、自動問診、オンラインの医療相談などを通じて、医療機関の受診を判断するスタイルが変化する可能性があります。 ※本稿で使用した用語について  本記事でも登場した「自律神経失調症」は、自律神経調節の不具合が関連した症候を一括りにした言葉で、学術的には「自律神経不全」が正しいとの見解があります。しかし、「自律神経失調症」が社会的に浸透している現状を踏まえ、本記事では「自律神経失調症」を使用しました。 【文献】 糖尿病性末梢神経障害.日本内科学会雑誌2019年108巻8号p.1538-1544IV.糖尿病性末梢神経障害 (jst.go.jp) 脈波を用いた自律神経機能推定に向けた脈波伝搬時間の変動に関する検証. 生体医学2016年54巻6号p. 261-266 ja (jst.go.jp) 光電脈波測定による自律神経機能計測装置の開発. 信学技報, vol. 111, no. 85, ET2011-17, pp. 1-6, 2011年6月研究会 - 光電脈波測定による自律神経機能計測装置の開発 (ieice.org) 自律神経障害の臨床. 日本内科学会誌2011年100巻9号 p. 2708-2714日本内科学会雑誌第100巻第9号 (jst.go.jp) 日常生活に紐付けた生体指標の可視化と分析. 「第28回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論⽂集」令和2年11月 p.34-41 自律神経失調症状を伴った呼吸器疾患患者の心電図R-R間隔について.心身医学199年31巻4号p. 305-310  ja (jst.go.jp) 産婦人科領域における自律神経失調症の病態と治療(自律神経失調症の病態と治療).1989年29巻1号 p. 55-61 ja (jst.go.jp) 自律神経失調と起立性調節障害を伴うめまい症例についての臨床的検討.2006年65巻4号p.238-244 ja (jst.go.jp) ニューロパチーと自律神経障害.自律神経 2019年56巻4号p. 207-209ja (jst.go.jp) 病態面からみた自律神経失調症(自律神経失調症の病態と治療). 心身医学1989年29巻1号p. 25-33 ja (jst.go.jp) 心拍変動と自律神経機能. 生物物理. 1988年28巻4号p. 198-202 ja (jst.go.jp)   心電図R-R間隔の変動を用いた自律神経機能検査の正常参考値および標準予測式.糖尿病1987年30巻2号p. 167-173 ja (jst.go.jp) めまい・平衡障害と自律神経機能障害.耳鼻臨床1987年80巻12号p. 1801-1806 ja (jst.go.jp) バイオフィードバック研究 2022年49巻2号p.73-76ja (jst.go.jp) 全身痛を来たす神経内科疾患.日本内科学会誌2019年108巻10号p.2088-2094 多系統萎縮症における睡眠関連疾患の臨床. 2021年58巻1号p. 74-78 ja (jst.go.jp) 舌痛症と自律神経機能.花田耕治.口腔病学会雑誌2003年70巻2号p. 124-130 ja (jst.go.jp) 末梢性めまい患者の自律神経機能-心電図R-R間隔と指尖容積脈波による解析. 1991年34巻4号p.385-394 ja (jst.go.jp) ウェアラブル心拍センサを用いたうつ状態の心拍変動と活動量. 2021年Annual59巻Proc 号p. 632-634 ja (jst.go.jp) ストレス識別のためのウェアラブルセンサで計測可能な生体信号の評価.システム制御情報学会論文誌 2022年35巻9号p. 217-227ストレス識別のためのウェアラブルセンサで計測可能な生体信号の評価 (jst.go.jp) ウェアラブルセンサを用いた生体計測. システム/制御/情報2022年66巻2号p.60-63ウェアラブルセンサを用いた生体計測 (jst.go.jp) てんかん突然死のリスク評価と予防におけるウェアラブルデバイスの有用性.てんかん研究2020年38巻1号p.91-97 てんかん突然死のリスク評価と予防におけるウェアラブルデバイスの有用性 (jst.go.jp) ウェアラブル端末により検知した心拍拍動に基づくストレス推定.情報学広場:情報処理学会電子図書館 (nii.ac.jp) 健康モニタリングのためのウェアラブルデバイスを用いた生体計測. 計測と制御2020年59巻4号p.246-249健康モニタリングのためのウェアラブルデバイスを用いた生体計測 (jst.go.jp) デバイスを用いた患者モニタリング. 神経治療学 2020年37巻4号p. 605-608デバイスを用いた患者モニタリング (jst.go.jp) 体表から行う医療・ヘルスケア計測デバイスの開発と微細加工技術の利用.エレクトロニクス実装学会誌 2020年23巻5号p.299-305体表から行う医療・ヘルスケア計測デバイスの開発と微細加工技術の利用 (jst.go.jp) ウェアラブル光電脈波センサを用いた日常生活における身体活動と睡眠中の自律神経活動の解析. 信学技報, vol. 117, no. 482, SIS2017-65, pp. 47-49, 2018年3月 研究会 - ウェアラブル光電脈波センサを用いた日常生活における身体活動と睡眠中の自律神経活動の解析 (ieice.org) ウェアラブルデバイスの応用と近未来の展開. エレクトロニクス実装学会誌2015年18巻6号p.384-389ウェアラブルデバイスの応用と近未来の展開 (jst.go.jp) 手指採血希釈血漿検査法の開発と健康管理への貢献. 分析化学2018年67巻1号p. 37-50 手指採血希釈血漿検査法の開発と健康管理への貢献 (jst.go.jp) 自律神経疾患の治療の進歩.神経治療学2022年39巻5号p.791-794自律神経疾患の治療の進歩 (jst.go.jp) ユニークな自律神経障害を呈する疾患:ATTRアミロイドーシス 2021年58巻1号 p.12-16 ja (jst.go.jp) 自己免疫性自律神経障害. 臨床神経 2019年59巻12号p.783-790自己免疫性自律神経節障害 (jst.go.jp) 神経治療学2017年34巻6号p.S163 ja (jst.go.jp) 自己免疫性自律神経障害. 医学のあゆみ Volume 255, Issue 5, 517 - 522 (2015)自己免疫性自律神経節障害 (pieronline.jp) 自律神経と消化器疾患.自律神経2021年58巻4号 p.261-265 ja (jst.go.jp) 睡眠関連呼吸障害と自律神経障害. 自律神経2020年57巻1号p.67-70睡眠関連呼吸障害と自律神経障害 (jst.go.jp)

  • C型肝炎、受診の勧め

    浅岡等 医師  医局長、内視鏡センター長 医学博士 日本肝臓学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本消化器病学会専門医  10年程前までのわが国の肝がんの死者は年間約5万人と、先進国の中では最も多く、死亡統計の悪性疾患の臓器別でも4位でした。肝炎対策の成功により死亡者数も徐々に減少しておりますが、それでも未だに肝がんで年間に約2.4万人※の方が亡くなっております。 ※2022年人口動態統計 肝及び肝内胆管の悪性新生物 死亡数 2万3621人(前年2万4102人)   また、原因について考えると、アルコール性肝障害や脂肪肝(なかでも非アルコール性脂肪肝炎)から発症する肝がんも増加しておりますが、やはり半数以上はC型肝炎が原因となっております。 C型肝炎の治療は1900年代には8%程度の治癒率しかなく、2000年代に入っても3割程度の治癒率しかありませんでした。また、この時代にはインターフェロンという注射を使った治療であり、二度とやりたくないと言われるような副作用が多い治療でした。  しかし、C型肝炎の治療は近年目覚ましく進歩し、1日1回薬を服用するだけで、8ないし12週間後には97~99%の患者が治癒することが可能です。副作用が多くはない薬を服用するだけで治癒して、将来の肝機能の悪化や肝細胞がんの発症を防ぐことが可能です。  治療薬は薬価で1か月に100万円を超える高額ですが、医療助成制度があるために保健所への申請により、支払額が1か月1万円に抑えることが可能です(高所得者を除く)。  10年前と比べると効果は著しく高くなりながら、副作用は極めて少なくなり、医療費助成により支払額は少なくなっています。このような治療ができますので、C型肝炎が心配な方、検診などでC型肝炎と言われたけどそのままにしている方などは、消化器内科の受診をお勧めさせていただきます。 参考:厚生労働省 2022年人口動態統計 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/h6.pdf

  • 医師は胸の聴診で何を聴いている?

     電車通勤をしていると時々、「異常な音を検知したため運転を・・・」というアナウンスがあり、その後に電車が止まってしまう事態に遭遇します。列車やレールの異常を発見する上で、「音」は1つの情報として重視されていることが分かります。同じように医療でも「音」は、人体の中の異常を検知する手法として日常の診療に利用されてきました。  しかし、体の中で発せられる音は微弱であり、周りの空気を振動させられるほどのエネルギーはありません。このため、周りの人には聞こえてこない音を第三者の耳で確認できるようにするためには、外部の音を遮断し、目的とする音だけを集めて、聴く者の鼓膜を振動させる必要がありました。それをかなえたのが聴診器です。  聴診器で人体から聞き取れる音の代表的なものに「心音」「呼吸音」「肺音」「腸蠕動音」「血管雑音」などがあり、医師は目的に応じて聴診器をあてる場所を変えます。その中でも聴診器の使用頻度が多い胸の聴診では「心臓」と「呼吸器」の2種類の臓器の音をチェックしています。今回は胸の聴診の中でも前者の心臓の音にフォーカスして深掘りをしたいと思います。  臨床現場や症例報告で使用される診察記録の表現に「心音整、心雑音なし、過剰心音なし」というような表現があります。ここに出てくる「心音」は文字通り、心臓の音を指します。「心音整」は心音が規則正しいことを意味しています。また「心音不整」という表現もあり、こちらは心臓の音が規則正しくないことを意味します。  この表現から分かるように、聴診ではまず、心臓の音のリズムが規則正しいか、そうでないかを知ることができます。心臓の音が規則正しくないことは、心臓が規則正しく動いていないことを意味しますので、不整脈の存在が疑われます。もちろん、不整脈の有無の確認には、心電図検査が必要ですが、心電図の検査がすぐに出来ない場面でも、聴診で心音が不規則であれば、不整脈の存在を疑うことができます。  心臓の聴診において、心雑音もとても重要な聴診の所見です。心雑音は心臓弁膜症や先天的な心臓奇形を疑うきっかけになることがあります。また、心臓の雑音が聴取されたとき、胸のどこで最も強く雑音が聞こえるかどうかも重要で、心雑音の最強点から、その心雑音の原因となっている疾患をある程度類推することが可能です。  また、心雑音は心臓が収縮するタイミングに聞こえる収縮期雑音と、心臓が拡張して血液を心臓内に流入させるときに聞こえる拡張期雑音に大別されます。心雑音が聞こえるタイミングを把握することも、心臓の疾患を類推する上でとても重要です。  最後に「過剰心音」について説明します。「過剰心音」とは、本来正常な心臓では聴取されないはずの音の総称です。代表的なものにⅢ音、Ⅳ音や心膜ノック音や心膜摩擦音、クリック音などがあります。  心臓はもともと正常状態でも聴診すれば、音が聞こえる臓器です。心臓が正常な状態で生理的に聞こえる心音は「正常心音」とも言われ、「ドックン、ドックン」と例えられる心臓の拍動音が、これに相当します。実際の聴診では「ドックン」よりは「ドッドン」と聞こえます。最初の「ド」に相当するのがⅠ音で房室弁の閉じる音、2番目の「ドン」に相当するのがⅡ音で大動脈弁の閉まる音に由来するとされます。人が建物内で部屋のドアを勢いよく閉めたとき「ドン」と音がしますが、これと似ています。  聴診という診察手技は、簡便にいつでもどこでも実施することが可能で、かつ患者さんの体を傷つけないメリットがあります。一方、聴診器の所見は標準化しにくい弱点があります。つまり、医師個人の主観が入ってしまう可能性がるのです。その原因として筆者が考えるのは2つの課題です。それは「聴診器の性能のばらつき」と「聴診する医師のスキル」です。  聴診器は基本的に医療機関で支給されることはなく、個々の医師が自費で購入します。どれくらいの性能の聴診器を購入するかは、各医師の判断にゆだねられています。筆者の経験上、聴診器はグレードによって、驚くほど聞こえてくる音が全く違います。しかし、いい聴診器をもっていても、それを使いこなす医師のスキルが必要です。  つまり、異常音を異常と認識できるか否かは、医師の聴診スキルにかかっています。医師が聴診できるようになるには、まず正常な音と異常な音を判別し、さらに異常音から類推される疾患や病態を想起できる必要があります。筆者も聴診スキルを高めるために、心音が収録されたCDを何度も聞いて学習した経験があります。  しかし、医師も人間ですから、個人差はあるかもしれませんが、加齢とともに聴力が低下する可能性は高くなります。このため、聴診能力は個々の医師の個人差が大きいと予想されます。  心臓超音波検査の登場により、心臓をリアルタイムで映像と音で検査できるようになりました。しかも心臓超音波は定量的に調べることが可能です。このため厳密に診断を下していく観点では、聴診器は心臓超音波検査には全く力が及びません。しかし、心臓超音波検査を使いこなすにはまた別のスキルが必要で、多くの診療科の医師がそのスキルを身に着けるのは現実的ではないでしょう。また、同検査機器の小型化が進んでいますが、未だに高額な検査機器であり、聴診器のように気軽に持ち歩くことは難しいでしょう。  外来で全患者さんに聴診器のように心臓超音波をあてることは、まだかなっていないのが現状です。その意味で、患者さんの異常を音で察知できて、診察室でも訪問診療でも場所を問わず、ひょいと首にかけて持ち歩ける聴診器は、私たち医師にとっては、仕事をする上で欠かせない相棒なのです。  医師 加藤開一郎

  • 動画:「いきいき体操」

    動画:「いきいき体操」

    社会医療法人慈生会等潤病院 リハビリテーション職員の皆さんによる、「いきいき体操」のご紹介です。 https://youtu.be/Gf_c8YU76g0

  • 健康診断、2022年の有所見率が明らかに

    ※2022年は、2022年10月の労働安全衛生規則の改正前後の有所見率を各期間で加重平均した推計値。 (2022年有所見率)=(2022年1~9月の有所見率)×0.75+(2022年10~12月の有所見率)×0.25  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健診有所見率の推移  健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。  厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2022年の有所見率は58.3%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。  この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。  有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2022年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が31.6%と最も高くなりました。次いで、血圧が18.2%、肝機能検査が15.8%などとなっています。 都道府県別の有所見率  健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2022年は72.1%となった沖縄県が、12年連続でワーストを続けています。全国平均は58.3%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。

  • 肝機能障害を放置した先は

    肝臓疾患で毎年5万人が命を落としている  日本の肝臓疾患による死亡者数は年間5万人にのぼると推計されています。その多くが、「肝硬変」、または「肝細胞がん」による死亡です。肝臓疾患は、時間軸で大別すると、あるとき急激に肝臓障害を来す急性肝疾患と、長期間に渡り肝臓を障害する慢性肝疾患があります。この「慢性肝疾患」を背景に「肝硬変」や「肝細胞がん」を生じていきます。「肝硬変」や「肝細胞がん」で命を落とさないため、慢性の肝疾患に早く気付き、適切に対処することがとても大切になります。 「沈黙の臓器」の異常を知る  肝臓は「沈黙の臓器」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。肝臓表面の覆う被膜には痛みを感じる神経が走行(その方向に連なっている状態)していますが、肝臓内部には痛みを感知する神経がありません。このため、肝臓の内部でトラブルが生じても、なかなか症状として自覚することができません。このため、肝臓疾患に気付いたときには、すでに疾患が進行していたということも少なくありません。このような事態を避けるためにも健康診断(健診)の肝機能検査はとても重要です。 肝障害の鑑別疾患は多岐におよぶ  ある症状や所見に対し、可能性が想定される疾患を「鑑別疾患」と言います。健診の肝機能検査の項目であるAST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPの上昇は「肝機能障害」、または「肝障害」「肝逸脱酵素上昇」「肝機能異常」などと表現の仕方が統一されていませんが、本稿では「肝障害」と表現していきます。下表に肝障害の原因となる主なものをリストアップしました。肝障害の原因は多岐にわたります。 肝硬変の症状 慢性の肝疾患は放置すれば、肝細胞が壊れていき、壊れた肝細胞の部分を埋めるかの可ように線維組織に置き換わっていきます。これを「肝臓の線維化」といい、肝臓の線維化が進行し、肝臓が硬くなった状態を「肝硬変」と呼びます。肝硬変はその重症度から代償性(※)肝硬変と非代償性肝硬変に分かれます。代償性肝硬変は、症状がないことも多いですが、非代償性肝硬変は、肝臓の機能低下による様々な症状が出現してきます。 ※「代償性」とは肝臓の機能が保たれ症状が現れないことが多く、「非代償性」は肝機能を代償することができない程度にまで悪化している状態 肝硬変で起きてくること 肝臓はアルブミンをはじめとするタンパク質を合成する役割がありますが、肝機能が低下した肝硬変の状態ではアルブミンが低下し、全身でむくみ(浮腫が)が起きやすくなります。また血液を固めるのに必須の凝固因子と呼ばれるタンパク質もまた肝臓でつくられますが、障害の進んだ肝臓ではこれが産生(生み出すこと)できないため、出血しやすくなります。また、肝臓には糖分を貯蔵し、血糖の調整にも関与していますが、肝機能が低下すると低血糖を来すこともあります。これ以外に非代償性肝硬変になると、さらにさまざまな合併症が出現します。 肝硬変が進行すると 肝性脳症は非代償性肝硬変の代表的な合併症の1つです。肝臓はタンパク質の合成と同時に様々な物質の分解や無毒化を担っている臓器です。肝硬変ではアンモニアをはじめとする老廃物を処理ができなくなり、これが脳神経に影響し、精神状態や意識状態に異常を来します。また、肝硬変では腹腔(腸管や腹部臓器の間のスペース)に腹水が溜まり、お腹が膨れあがり非常に苦しい思いをします。 肝硬変は多臓器不全の原因に?  通常は腸管を巡った血液は門脈という血管に集まり、肝臓の中を通過しますが、肝硬変に至ってしまうと、肝臓の中を血液が通過するのに抵抗が生じ、門脈圧亢進症という病態が生じます。腸管からの血液がうまく肝臓に戻れなくなる門脈圧亢進症は、食道や胃の静脈を拡張させ胃・食道静脈瘤になり、時にこれらの静脈瘤は破裂し、吐血や下血を生じます。さらに門脈圧亢進症は脾臓に影響を及ぼし、脾機能亢進症という状態となり、血小板減少や白血球数減少を引き起こします。血小板減少により全身で出血しやすくなり、白血球減少のため感染症に罹患しやすく、さらに重症化しやすくなります。さらに門脈圧亢進症は、肺の微小血管を拡張させ低酸素血症、呼吸困難を引き起こします。近年は肝硬変のような重症肝疾患が、腎障害の原因となることが判明し、これを肝腎症候群と呼びます。  つまり、肝硬変が進行すると脳、肺、腎臓、血球など、生命維持するための主要臓器に悪影響が出現し、生命を維持することが困難となってきます。肝硬変は患者さんにとって、非常に苦しい状況をもたらします。そして肝硬変患者さんの半数が肝臓がんを合併しているといわれ、特にC型肝炎、B型肝炎による肝硬変の患者さんはハイリスクになります。  このような状況を回避するためにも、まずは肝臓の異常を検知し、次に「肝臓の線維化」を確認し、できる限り肝硬変への進行を防いでいく必要があります。≪引用参考文献≫肝硬変診療ガイドライン2020(改定第3版)NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改定第2版)B型肝炎治療ガイドラインC型肝炎治療ガイドライン肝癌診療ガイドライン  医師 加藤開一郎

  • 心拡大と病気の関係

     前回のコラムでは、心臓のサイズが大きくなる「心拡大」と心臓の壁が厚くなる「心肥大」の用語の違いをお話しました。今回は「心拡大」と病気との関わりを深掘りしてお話していきたいと思います。  健康診断の際の異常所見の1つに心拡大があります。心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋があり、いずれかの部屋が大きくなると、胸のレントゲン検査で心臓が大きく映る心拡大が起きてきます。  心拡大の原因を考えるとき、真っ先に思い浮かべるのは心不全です。その他にも心臓のまわりの膜に液体が溜まる心嚢液貯留という病態や、心臓の筋肉の異常に由来する拡張型心筋症という疾患でも心拡大が見られます。しかし、頻度的には心不全が心拡大の原因の多くを占めます。心不全については、その原因はさまざまですが、いずれも心臓のポンプ機能が低下した状態です。  心臓は血液を環流させることが役割ですが、心不全となり血液を心臓から血液を動脈にうまく拍出(はくしゅつ)できなくなると、心臓は心拡大を来してきます。もし健診で心拡大を指摘されたら、過度に心配する必要はありませんが、心不全や心嚢液貯留といった重要な病態が示唆されていることもありますので循環器科を受診し、すみやかにその原因を調べていくことが重要です。  留意していただきたいのは、心不全は初期段階では、無症状が多いことです。しかし、無症状の心不全も、それを放置すれば、心不全は癌のように、やがて進行(悪化)し、自覚症状が出現します。これを症候性心不全と言います。症候性心不全のステージになると、心不全は元に戻らない可能性が出てきます。  さらに大切なのは心不全を来している原因を突き止め、その原因に応じた対処をすることです。「心不全」という言葉は心臓の状態を表す用語で、その心不全を来たす原因は、さまざまです。下の表は心不全を来す疾患の例ですが、心不全を来す原因は多岐にわたることが分かります。もし、心拡大を指摘されることがありましたら、重要な疾患が潜んでいる場合もありますので、放置せず早期に受診することをお勧めします。 【心不全の原因例】 <心筋の異常による心不全> □虚血性心疾患 □心筋症:肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症      拘束型心筋症、不整脈原性右室心筋症、緻密化障害、たこつぼ型心筋症 □心毒性物質:アルコール・重金属        薬剤(抗がん剤・免疫抑制剤・抗うつ薬・抗不整脈薬           ・NSAIDS・麻酔薬) □感染症:ウイルス性心筋炎、細菌性心筋炎、リケッチア感染症、シャーガス病など □免疫疾患:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、       混合性結合組織病 □妊娠:周産期心筋症 □浸潤性疾患:サルコイドーシス、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス、        悪性腫瘍 □内分泌疾患:甲状腺機能亢進症、クッシング病、褐色細胞腫、副腎不全、糖尿病 □先天性酵素異常症:ファブリー病、ポンぺ病、ハーラー症候群、ハンター症候群 □筋疾患:筋ジストロフィー、ライノパチー <血行動態の異常による心不全> □高血圧 □弁膜症・先天性心疾患 □心膜の異常 □高心拍出性心不全:重症貧血、甲状腺機能亢進症、パジェット病、妊娠、脚気心 □体液増加:腎不全・輸液過多 <不整脈による心不全> □頻脈性不整脈 □徐脈性不整脈 ※引用改変:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) 医師 加藤開一郎

  • HPVワクチンについて知っておいて欲しいこと

    つくばセントラル病院産婦人科担当部長長田佳世医師  子宮頸がんとは、子宮頸部(膣につながる部分)にできるがんのことです。子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が関連しています。HPVは性交渉で感染することが知られています。多くの場合、感染しても免疫によって排除されます。  ところが、HPVが排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変や、子宮頸がんが発生すると考えられています。そこで、子宮頸がんの発生と関連が深い一部の型のHPV感染を予防するワクチンが接種可能になっています。 ■HPV(ヒトパピローマウイルス) ワクチンとは?  日本で年間、約1 万人が罹患する子宮頸がんをはじめとするHPV関連疾患の原因となるHPVの感染を予防する目的で開発されたワクチンです。 ■HPV ワクチンは、本当に子宮頸がんを予防できるのでしょうか? 「HPVワクチン接種が子宮頸がんを減らした」という報告が海外から相次いでいます。スウェーデンでは、17 歳未満に接種した群で、子宮頸がんになるリスクが88%減少しました。WHO(世界保健機関)はワクチン接種と検診で子宮頸がんは撲滅できると宣言しています。先行して接種が始まったオーストラリアでは2060 年には「子宮頸がんが撲滅」する世界最初の国になると言われています。 ■日本ではHPV ワクチン接種が出来るのでしょうか?  小6から高1相当の女子は定期予防接種のため、無料で接種出来ます。2022年4月から3年間、キャッチアップ接種として(1997年度から2005年度生まれまで)接種費用が助成されます。2023年4月からはより広い範囲のウイルス型をカバーできる9価ワクチンが定期接種、キャッチアップ接種で使えるようになりました。また、15歳未満(15歳の誕生日の前日)までに1回目の接種をした場合には、2回の接種プログラムとなり、より負担が少なくなります。  若い時の接種が望まれますが、20 代半ばまでは接種の有効性が高いと言われています。HPV 感染は、子宮頸がんだけではなく、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど、男性も罹るがんの原因になります。海外では男女ともに、定期接種になっている国がたくさんあり、日本でも男性の接種は可能です。 ■HPV ワクチンは怖いワクチンなので打たない方がよいでしょうか?  導入された当初、接種後に「歩けない」「けいれんした」などの報道がされました。その後の国内外の調査で、それらの症状がワクチン接種していない方や男性でも起きることがあり、頻度は非常に少ないことがわかりました。  ただ、少数ですがワクチン接種後に体調不良になられる方はいらっしゃいます。他のワクチンでも起こることがあり、「ワクチン接種後ストレス反応」と呼ばれています。痛みに不安がある場合には、横になって接種をするなどの対策を取ることが勧められます。  接種後しばらくしてから倦怠感やしびれ・痛みなどの症状が出た場合、別な病気が隠れていないか検査などをします。大多数の方は時間が経つと自然に回復します。軽い運動なども効果的なようです。 ■是非、ワクチン接種をご検討ください。  日本では若い方の子宮頸がんが増えています。命だけではなく、子どもを持つという当たり前の希望を奪うのが子宮頸がんです。ワクチン接種をご検討ください。当院でも接種可能です。中学生までは小児科、高校生以上は産婦人科で対応いたします。 【参考となるサイト】日本産科婦人科学会 「子宮頸がんとHPV ワクチンに関する正しい理解のために」https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

  • 心不全について知る

    総合大雄会病院 副院長 寺沢彰浩医師  日本人の死因の第一位はがんです。それに次ぐのが循環器疾患※1である心疾患です。その約40%は「心不全」によるものとされています。今後さらなる高齢化社会を迎えようとしている中で、心不全による入院数や死亡率は増加の一途をたどっています。そんな怖い病気「心不全」についてご説明いたします。 総合大雄会病院 循環器内科のサイトは以下です ↓ https://www.daiyukai.or.jp/department/junkanki/ ▽心不全とはどんな病気ですか?  心臓は、24時間休まず、酸素や栄養分を含む血液を全身へ送り出すポンプの役割を果たしています。日本循環器学会と日本心不全学会は心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。心不全はその原因、症状、重症度は人によってそれぞれ違います。 ▽心不全の原因はなんですか?  心不全にはさまざまな原因があります。心臓へ血液を送る血管(冠動脈)が詰まる心筋梗塞や狭心症、高血圧、心臓には血液を一方向に流れるように弁がありますが、その弁に障害を来たす弁膜症、心拍動が異常となる不整脈、心臓の筋肉自体が障害となる心筋症などがあります。 ▽心不全になるとどんな症状がでますか?  初期に見られる症状は運動時の息切れや、両足のむくみです。心不全になると心臓は体に必要な血液を送れなくなります。そのため、階段を登ったり、動いた時に息切れがしたりするようになります。疲れやすくなることもあります。  また、腎臓への血液の流れが低下して、体に水分がたまり、足の甲やすねあたりがむくんだりします。さらに進行すると体の中で血流が滞る(うっ滞)がひどくなり、安静時でも息苦しくなったり、苦しくて横になれなかったりする起坐呼吸※2の状態になることもあります。息切れやむくみが出現するようでしたら、お近くの医療機関、かかりつけ医にご相談されることをお勧めします。 ※1 循環器疾患とは、⾎液を全⾝に循環させる臓器である⼼臓や⾎管などが正常に働かなくなる疾患で、⾼⾎圧・⼼疾患(急性⼼筋梗塞などの虚⾎性⼼疾患や⼼不全)・脳⾎管疾患(脳梗塞・脳出⾎・くも膜下出⾎)・動脈瘤などに分類される。 (出典 厚生労働省 e-ヘルスネット) ※2 起坐呼吸(きざこきゅう):からだを横にすると、重力のために下半身にたまっていた血液が急に心臓にもどり、肺うっ血が強くなるため呼吸が困難になる。それに対して、体を起こして座ると心臓に戻る血液量が減り、心臓への負荷が軽減することで呼吸が楽になる状態を指す。

  • カルテコ・新キャラクター名「神田かるる」に

    【プロフィール】 神田生まれの江戸っ子。おせっかいな性格で、人々の健康を願っている。お祭り、お風呂が大好き。  趣味は「健康の知識」を集めること。 8月10日(ハート)生まれ/年齢、性別不明/身長90cm、体重13kg これからどうぞよろしくお願いします。

  • 似て非なる「心拡大」と「心肥大」

    似て非なる「心拡大」と「心肥大」

    紛らわしい健診所見の用語  今回は心臓の形態に関する健康診断などでの所見についてお話しいたします。  健診や人間ドックの所見で「心拡大」や「心肥大」と書かれたことがある方もいると思います。どちらも心臓の形態を表現する用語ですが、「心拡大」と「心肥大」を混同されている患者さんが少なくありません。しかし、「心拡大」と「心肥大」は、意味するところが全く異なりますし、想定する疾患も大きく異なります。以下の表をご覧ください。  「心拡大」は文字通り心臓全体の大きさが拡大した状態を指します。医師から「心臓が大きくなっています」と言われた場合は、この心拡大を意味します。心拡大の有無を判断する方法は胸部レントゲンです。  しかし、ここで疑問が浮かびます。体が大きい人と小柄な体格の人の心臓のサイズを比べたら、体格が大きい人のほうが心臓の大きさの絶対値が大きいと考えるのが自然です。  この課題に対し、臨床現場では心胸郭比という指標を利用しています。心胸郭比は心臓の横幅を胸の横幅で割った数値です。一般には心胸郭比50%以上を心拡大の有無の目安としています。すなわち胸の横幅の半分以上を心臓の横幅が占めていれば、心拡大の可能性が疑われます。  このように肺の検査だと思われがちな胸部レントゲン検査ですが、実は肺だけをみているのではなく、心臓の形態と心臓とつながる大動脈、肺動脈、肺静脈なども観察しています。言い換えれば、健診で受ける胸部レントゲン検査は、肺疾患だけではなく、循環器領域の疾患の存在を知る上でとても重要な検査ともいえるのです。  次に「心肥大」ですが、心肥大は「心臓肥大」とも言われ、心臓の壁が厚くなった状態を指します。心臓の壁は主に心筋で構成されますので、「心肥大」といえば、一般的には心筋が厚くなった状態を指します。上述の通り、心拡大は胸部レントゲンで確認できますが、心臓の壁の厚みは、レントゲン画像では知ることができません。  心肥大の有無は、心臓超音波検査で心臓に直接、超音波をあてて確認します。少し詳しい話になりますが、心筋の厚みが増すとき、心臓の外側に向かって筋肉が厚くなるのではなく、心臓の内腔に向かって筋肉が厚みを増していくことが多いです。  このため、心臓のサイズは正常なのに、心臓超音波検査で調べたら、心肥大のことがあります。心臓の壁が明らかな厚みを帯びてくると、心電図にも変化が出てくる場合があります。その場合、心臓超音波検査をしなくても、心電図所見から「心肥大疑い」となる方もいます。  ご自身の健診の所見や病気を理解する上で、まずは用語の意味を正確に知ることが大切です。本コラムをお読みいただき、医師に過去にかかった病気を聞かれたとき、心拡大と心肥大を区別して答えられるようになるのではないでしょうか。  次回以降は「心拡大」、「心肥大」が見られたとき、どのような疾患が想定されるのか、その原因にフォーカスしていきます。 医師 加藤 開一郎

  • 膝に水が溜まる?変形性膝関節症

    膝に水が溜まる?変形性膝関節症

     変形性膝関節症とは、膝関節を覆っている軟骨がすり減り、軟骨と軟骨の間にあるクッションの役割をしている半月板が炎症を起こすことで発症する病気です。日本国内に約700万~1,000万人の患者さんがいると言われ、女性が男性の1.5~2.0倍の数を占めています。  初期はあまり症状を感じないこともありますが、進行すると、膝の痛みや階段の昇り降りが困難となり、さらに悪化すると安静にしている時にも痛みがとれないこともあります。また膝関節に炎症が起きていると関節包に水が溜まり、膝が腫れることもあります。  軽度の場合は鎮痛薬を使用したり、膝関節内にヒアルロン酸を注射したりします。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動リハビリテーションや、膝を温めたりする物理療法をします。このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。 社会医療法人駿甲会 コミュニティーホスピタル甲賀病院澤野浩副院長 人工関節置換術について  運動療法や薬物療法、装具療法などで痛みが取れない場合やすでに関節が壊れて動かなくなってしまっている場合は、人工関節に置き換え、運動機能を取り戻す手術をします。人工関節の最大のメリットは「痛みの除去」と「生活の質の向上」です。※痛みの状態については個人差があります。手術に100%ということはなく、合併症を伴う可能性もあります。関節の痛みにお悩みの方は、整形外科・リウマチ科までお気軽にご相談ください。  日本整形外科学会のホームページ(https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/knee_osteoarthritis.pdf)で、変形性膝関節症の予防・治療のための運動療法が紹介されています。 <Point1>膝を支える筋肉を鍛えましょう 1.太ももの前の筋肉を鍛える方法① ①椅子に腰かける②片方の脚を水平に伸ばす③5~10秒そのままでいる(息は止めない)④元に戻す 2.太ももの前の筋肉を鍛える方法② ①脚を伸ばして座る②膝の下に置いたタオルや枕を押す③5~10秒そのままでいる(息は止めない)④力を抜く 3.太ももの外側の筋肉を鍛える方法 ①横向きに寝る②上の脚を伸ばしたまま股を開くようにゆっくり上げる③5秒ほどそのままでいる(息は止めない)④ゆっくり下ろす 4.脚全体の筋肉を鍛える方法 ①肩幅より少し広めに脚を開いて立つ②椅子に腰かけるようにお尻をゆっくりと下ろす③膝は曲がっても90度を超えないようにする④ゆっくりと膝を伸ばす <Point2>膝の動きをよくしましょう 1.膝の曲げ伸ばしをよくする方法① ①脚を伸ばして座り、かかとの下にタオルなどを置く②かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り曲げる③かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り伸ばす 2.膝の曲げ伸ばしをよくする方法② ①湯船の中に脚を伸ばして座る②かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り曲げる③かかとをゆっくり滑らせて、膝をできる限り伸ばす 3.膝の裏の硬さをとる方法 ①脚を伸ばして座る②膝に力を入れ、爪先を伸ばして5秒ほどそのままでいる(息は止めない)③膝に力を入れ、爪先を反らせて5秒ほどそのままでいる(息は止めない) ※変形性膝関節症の症状は人によって異なります。運動療法は続けることが大切ですが、詳しい運動の内容や回数はかかりつけの先生とよく相談してください。

  • 出口見える不眠治療、「睡眠12箇条」参考に

    出口見える不眠治療、「睡眠12箇条」参考に

    つくばセントラル病院脳神経内科部長 高橋良一先生 「眠ろうとしてもなかなか寝付けない」という不眠の体験のある方がほとんどではないでしょうか。心配事や試験・発表会の前日、熱帯夜など眠れない原因はさまざまですが、通常は長期間、その状態が持続せずに睡眠がとれるようになります。  しかし、不眠が1か月以上にわたって続く場合があります。不眠が続くと、日常生活での不調が出現するようになります。日中のだるさや意欲・集中力低下、抑うつ、めまい、食欲不振などさまざまな症状があり、「長期間不眠が続き、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」とき、不眠症と診断されます。  不眠症は次の4つのタイプがあります。なかなか寝付けない「入眠障害」、眠りが浅く何度も目が覚める「中途覚醒」、期待した時間より早く目が覚める「早朝覚醒」、睡眠の満足感が得られない「熟眠障害」です。脳神経内科外来で診療することが多い高齢の方は、とりわけ中途覚醒で悩むケースが多いです。  日本人を対象にした調査で、5人に1人が「何らかの不眠がある」と回答しており、60歳以上の方では約3人に1人で睡眠問題があるといわれています。頻度の高い症状で、診察室で不眠の悩みをお聞きすることは非常に多いです。 「出口の見える不眠治療」が重要視  不眠症については、睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群とも呼ばれる主に下肢に不快な症状を感じるレストレスレッグス症候群、うつ病のような特別な原因がないか考えることからはじめています。  薬物治療に入る前に、「夕方以降カフェインやアルコール摂取を避ける」、「寝室は寝る目的のみに使用する」など生活習慣の見直しも重要です。睡眠について知識を得たいときには、厚生労働省のホームページの「健康づくりのための睡眠指針2014」(※)も参考になります。同指針は、「睡眠12箇条」を掲げています。 【健康づくりのための睡眠指針2014 睡眠12箇条】 1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。11.いつもと違う睡眠には、要注意。12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。  不眠症の薬物治療については、「薬を使うとやめられなくなる」「目を覚ましづらくなる」など抵抗を感じる方も多いと思います。新しく開発された薬剤については、依存性や退薬症状(中止するときにおこる副作用)が少ないものがあります。オレキシン受容体拮抗薬は、新しい効き目の睡眠薬で、覚醒に関わるオレキシンの効果を減らすことで自然な睡眠の導入を目指す薬剤です。効果が比較的長時間持続するため、「中途覚醒」への有効性が期待でき、薬剤を中止するときに起こる「反跳性不眠(突然服用を中止すると服用前より強い不眠が現れるようになること)」のリスクも低いといわれています。 こうした新規薬剤の登場により、治療の導入時から、不眠が改善したら薬を減量・中止することを意識した「出口の見える不眠治療」が重要視されています。不眠症について、睡眠薬の長期間の投与や、多剤併用をなるべく避けて治療を目指したいと考えています。 ※厚生労働省のホームページの「健康づくりのための睡眠指針2014」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf 【お知らせ】不眠症治療は脳神経内科では扱っておりませんので、セントラル総合クリニック 一般内科にご相談ください。

  • 治せる認知症を見逃さない

    治せる認知症を見逃さない

       「認知症」という言葉は、認知機能が低下した状態を指しますが、その原因になる疾患や病態は多岐にわたります。一般的には認知症と言えば、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症、レビー小体型認知症をイメージされる方が多いかもしれません。認知症を診療する医師にとって重要なことは、上記のような代表的な認知症以外の「治療が可能な認知症」の疾患を見つけ出すことです。  以下の疾患は、その疾患を治療することで認知症の症状が改善、または治る可能性がある「治療が可能な認知症」の例です。医師は認知機能低下を訴える患者さんを初めて診療するとき、下記に挙げたような疾患が隠れていないかチェックする必要があります。きちんと検査もせずに、常用薬の確認をしないで認知症治療薬が処方されてしまうことは避けなければなりません。 治療が可能な認知機能低下を来す疾患例 ▢ 栄養障害(ビタミンB1欠乏症 、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏、ビタミンD欠乏症)▢ 甲状腺機能低下症▢ 電解質異常▢ 脳炎▢ 神経梅毒▢ ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染▢ 特発性正常圧水頭症▢ 反復性低血糖▢ 脳腫瘍▢ 脳血管炎▢ 慢性硬膜下血腫▢ せん妄▢ うつ病▢ 特殊なてんかん▢ 薬剤誘発性認知機能障害  上記のような基礎疾患による認知症を見逃さないために、認知症の患者さんの診療においては、頭部の画像検査、血液検査で肝障害や腎障害の有無、甲状腺機能、電解質(カルシウムを含む)、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸のチェックが推奨されています。また、可能性がある場合は、HIVや梅毒の検査を実施することも必要です。  盲点になりやすいのは、薬剤による認知機能の低下の薬剤誘発性認知機能障害です。高齢になると薬剤を分解排泄する肝臓や腎臓の機能が低下し、認知機能低下を招きやすくなることがあります。特に多くの種類の薬剤を併用している場合、薬剤性の認知機能低下が生じやすいとされます。特に抗コリン作用を有するフェノチアジン系抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、三環系抗うつ薬は認知機能低下を招きやすいとされ、それ以外にも日常的に使用される薬剤でも、認知機能低下を誘発する可能性のある薬剤は沢山あります。このため、認知機能の低下が気になったら、医師に使用している薬剤を確認してもらうことも大切です。 認知機能低下を誘発しやすい薬剤 【向精神薬】▢ 抗精神病薬▢ 催眠薬(睡眠薬)▢ 鎮静剤▢ 抗うつ薬【向精神薬以外の薬剤】▢ 抗パーキンソン病薬▢ 抗てんかん薬▢ 循環器病薬(ジギタリス・利尿剤・一部の降圧剤)▢ 鎮痛薬(オピオイド・非ステロイド性抗炎症薬)▢ 副腎皮質ステロイド▢ 抗菌薬(抗生物質)、抗ウイルス薬▢ 抗腫瘍薬▢ 泌尿器病治療薬(過活動膀胱の治療薬)▢ 消化器病薬(H2受容体拮抗薬、抗コリン薬)▢ 喘息治療薬▢ 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬) ※引用改変:認知症診療ガイドライン2017 P47https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_02.pdf 医師 加藤 開一郎

  • 知っておきたい大腸がん検診の便潜血検査

     大腸がんになる人は40歳代から増え始め、国立がん研究センターの2019年のデータによると一生涯で男性は10人に1人、女性は12人に1人が診断されると推定されています。検診で要精密検査(要精検)と判定されても結局、医療機関を受診せず、早期治療の機会を逸しているケースもあるでしょう。  大腸がんの早期がん(ステージ1)で治療すれば5年相対生存率(全がん協生存率、2011年~2013年診断症例)は98.8%だが、進行がん(ステージ4)の段階では23.3%に低下します。  大腸がん検診で国が推奨しているのが便潜血検査です。大腸にがんやポリープなどがあると、便が動くのに伴って組織が擦れて出血することがある。その血液を調べることで大腸がんの発症リスクを判定します。 感度をより高くするために今は、2日間の便を採取する「2日法」が一般的となっています。科学的根拠(エビデンス)に基づく検査方法です。 知っておきたい便潜血検査 ・1980年代後半、免疫便潜血検査法(便ヘモグロビン法)を国内で開発・ヒト以外の動物ヘモグロビンにはほとんど反応しない(猿類を除く)・ときに容器からあふれんばかりの糞便が検体として届けられるが、 説明書に記載されている程度の量を採便棒で採取を・検体は採便棒で、糞便の表面を幅広くまんべんなくこすり取る・2日法の1日目の検体採取後に、便秘などで採取できない場合でも、 両日分が検査日含め7日以内になるのが望ましい・採取後は冷蔵保管が最も良いが室温保管の場合25℃以下の冷所保管。(協力:福山臨床検査センター 金光弘幸・エフエムエルラボラトリー東京所長)  大腸がん検診受診率はここ数年で少しずつ上昇し、厚生労働省の2019年の国民生活基礎調査によると男性47.8%、女性40.9%ですが、検診受診率は従来の国の目標の50%に届いていません。2023年度から始まる国の第4期がん対策推進基本計画は新たな目標を60%としました。

  • 動画「カルテコがある日常」

    動画「カルテコがある日常」“医療を選択できる社会”で何が変わるのか?

     メディカル・データ・ビジョンは、当社が目指す未来の姿を示す動画を制作いたしました。夫のやまとさんが「カルテコ」を使って自身や両親、家族の一員であるペットの健康状態を把握する場面から始まります。妻のさくらさんが体調の異変を感じる場面に転換し、医師・患者の双方が情報を持っている診療の場面を表現しています。動画は未来の世界を描いていますが、技術の進歩は目覚ましく、そう遠くない未来に、真にcするかもしれません。 https://www.youtube.com/watch?v=bikMCOsZ3oY

  • なかなか治らないアレルギー性鼻炎

     アレルギー性鼻炎の薬物治療では抗ヒスタミン薬が代表的ですが、現在ではステロイドの点鼻薬など多くの選択肢があります。 しかし、薬物治療において大事なのは自宅で生活しながら医師に指示された通り毎日服用することが出来るかどうかです。 今回はアレルギー性鼻炎の治療方法について、国立病院機構 三重病院 耳鼻咽喉科 増田 佐和子先生に解説していただきます。 https://doctorbook.jp/contents/453 (URLをクリックすると動画を視聴できます)

  • 過活動膀胱

    相談しにくい排尿トラブル、過活動膀胱とは

     気軽に相談できにくい身体のトラブルの一つに、排尿に関わるものがあります。40歳を過ぎると、トイレが近くなるという女性が増えるようですが、それには過活動膀胱という病気が関わっていることもあります。今回は、過活動膀胱について、かしわ腎泌尿器クリニックの大林 広樹先生よりお話を伺いました。 https://doctorbook.jp/contents/458 (URLをクリックすると動画を視聴できます)

  • 健診、受けっぱなしにしていませんか?

    健診、受けっぱなしにしていませんか?

    健康指導が一番大切  健康診断を終えるとそれだけでほっとしてしまう、結果が届いて安心してしまう、そういう方が多いのではないでしょうか。健診で大切なことは、結果をきっかけにして今後、何をすればよいか考えることだと思っています。  賛育会病院の健康管理クリニックで実施している健康診断および人間ドックでは、特に診察時の健康指導を大事に考えており、医師が一人ひとりの診察および検査結果をもとに丁寧に説明しています。一般健診の方でも、前回の結果などを踏まえて必要な指導をします。受診したら終わりの健診ではなく、1年に一度しっかりとご自身の体と向き合う機会にしていただきたいと願っています。 社会福祉法人賛育会 賛育会病院 健康管理クリニック島美奈子室長(助産師、看護師) 健診は生活習慣改善のスタートライン  健診で生活習慣病に関連する所見が認められる方には、帰り際にお声掛けをして、看護師が日常生活でのアドバイスをしています。例えば、体重増加が気になる方には、① 体重測定記録(レコーディングダイエット)② 食事はよく噛んでゆっくり食べる、まずは今より5分時間をかける③ 食後はすぐ横にならず洗い物など家事をする④ 寝る前2時間前には食事はとらないようにする などです。  普段の生活行動を少し変えて、継続することが何より大切ですからね。先日も、仕事に戻らなければならないので急いでいるという受診者さんに5分だけ下さいとお願いして、お話しさせていただきました。すると、「1年後には良い結果になるように頑張ります」と言ってくださいました。なぜ生活習慣改善が必要なのかが腑に落ちれば、自分事として真剣に受け止めてくれる方が多いですね。 カルテコを利用して  ご説明の際に、「カルテコ」に登録されている方は、昨年までの健診結果を見ながら今回の結果を比較して、目標設定も一緒に考えられる点がいいですね。 とりあえず聞いてみてください  「間食がやめられない」「どんな食事をとったらいいのか」「どんな運動をしたらいいのか」など、先生には聞けないさまざまな相談があります。私たち医療従事者は、受診者さんの行動変容のきっかけになり、ご自身の健康に関心を持つ方が増えることを願っています。些細なことでも相談していただき、楽しく生活習慣の見直しに取り組んでいただきたいと思います。

  • 「パンデミック」はコロナだけではない! 

    「パンデミック」はコロナだけではない! 

    2040年に向けた診療体制トランスフォーム~大腸内視鏡検査にAI診断を導入する取り組み  新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2類相当から5類に変更される見通しとなりました。この3年間において、「パンデミック」という表現も市民権を得るようになりました。そもそもその語源はギリシャ語のpandemos(pan「全て」、demos「人々」、of all the peopleとの意味)。この国は2040年に高齢者人口がピークに達し、それに伴う各種疾患の増加が予想されています。近未来に遭遇する、真の意味でのパンデミックにいかに対峙するか、医療を担う各病院のこの問題への取り組みが注目されています。このコラムではつくばセントラル病院の各疾患のパンデミックへの取り組みを紹介いたします。 社会医療法人若竹会つくばセントラル病院院長 金子剛(消化器内科医)  トップバッターはつくばセントラル病院の消化器内科医・金子剛です。私が担当する消化器領域において、大腸がんは最も大きな問題の一つで、日本におけるがん死の第2位、そのほとんどが老年および生活習慣が原因とされ、今後も増加することが確実な疾患です。当院では2021年8月に大腸内視鏡検査にAI(人工知能)診断を導入、上野卓教消化器内科部長とともに、大腸がんの早期発見および見逃し防止という取り組みをしています。  つくばセントラル病院が採用しているAI診断技術(NEC製wisevision)には、1万2000例の大腸腫瘍の画像がディープラーニングされています。これは20年程度のベテラン医師のキャリアに匹敵します。つまり当院で実施する内視鏡検査においては、生身の医師と機械の医師の2人体制で検査をしていると言えるでしょう。報告によると大腸内視鏡検査での腫瘍性病変の見逃しは20%程度あるとされています。当院ではその確率をAIにより最小化したいと考えています。これはフェイルセーフ(fail safe)の概念の導入で、ヒューマンエラーと呼ぶ人的ミスを、AI技術で未然に防ごうというものです。  具体的には大腸内視鏡検査をする際、AI診断ソフトウエアも同時に起動させます。内視鏡を肛門から直腸内に挿入し、盲腸に達したら空気を入れて腸を膨らませ、内視鏡を引き抜きながら管腔内の粘膜をくまなく観察します。そこでAIのサポートを併用します。AIは病変と疑われる部位を自動検知、場合によっては施術者である内視鏡医より先にポリープなどの病変を「ピッ」という警告音で知らせます。  もちろんAI診断は完ぺきではなく、発展途上の技術です。その一例として過検知といって、病的意義のない所見に対し警告音を発することもあります。一般に検査技術とは「感度」と「特異度」とのバランスです。いくら「感度」が高くて、なんでも病変だと指摘すればいいのではなく、逆に病変ではないと示す「特異度」も併せて高くなくてはいけません。AI診断では「特異度」のさらなる向上が課題です。  このように当院の大腸内視鏡検査では積極的にAI診断を活用していますが、今のところあくまで内視鏡医のサポートとして利用しており、病変の良・悪性の診断には内視鏡医の眼力(診断力)が一番です。ただ、AI診断を導入することで、誰でも等しくベテランの目利きを得られるという、患者さんへの診断技術の「均てん化」が図れると考えています。  大腸がん検診のスクリーニング検査である便潜血検査で要精密検査だったと連絡があると、皆さんは不安になるかもしれません。今や大腸がんの早期発見の第一選択は大腸内視鏡検査です。当院ではその検査において内視鏡医とAI技術がタッグを組んで、病変を早期に発見かつ見落とさないよう心がけていますので、安心して二次検診を受けてください。

  • 脳卒中は突然やってくる

    脳卒中は突然やってくる

     筆者が診療に携わる中で、最も怖いと感じてきた疾患が脳卒中です。その理由は、脳卒中は非常に急に発症し、突然、人を寝たきりにしてしまう疾患だからです。  歩いたり、食べたり、話したり、今まで人間として当然のようにできたことが、ある日を境に、できなくなるのが脳卒中です。脳卒中はある日、不意に襲いかかってくる疾患であるため、人は何も準備をすることができず、人生が一変してしまいます。後遺症が残ると、当人だけではなくご家族の生活にも大きな影響を来します。その意味において、筆者は、がんよりも怖い疾患だと感じています。  脳卒中には、いくつか種類がありますが、大きく分けると、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管が破裂し出血する脳卒中に大別されます。どちらも脳の組織がダメージを受けることで、手足が麻痺して歩行ができなくなったり、ろれつが回らなくなったり、あるいはふらついて歩行ができなくなったり、視野が半分かけたりするなどの症状が出ます。 脳梗塞には動脈硬化が原因のアテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞があります。アテローム血栓性脳梗塞は、比較的大きな脳動脈が閉塞することで起きる脳梗塞で、治療が遅れると日常生活に支障をきたす後遺症を残すことが少なくありません。 一方、ラクナ梗塞は同じ動脈硬化性の脳梗塞ではありますが、比較的軽症で済む場合もあります。動脈硬化が原因の脳梗塞は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、大量飲酒がリスクとなります。逆に若年時より、これらの危険因子に対処することで、動脈硬化性の脳梗塞に至るリスクを減らせます。動脈硬化は長い年月をかけて進行します。大切なのは健診などで動脈硬化のリスクを指摘されたら、若年時からしっかり対処することです。強くお伝えしたいのは、高齢になって動脈硬化が進んでから対処するのでは遅いということです。 脳梗塞には、動脈硬化が原因でない脳梗塞もあります。それが心原性脳塞栓症と呼ばれるもので、心臓内にできた血液の塊(血栓)が、脳の血管に流れてしまい、脳の動脈をつまらせてしまうのです。心房細動と呼ばれる不整脈を持つ人や、心臓弁膜症、心臓奇形を持つ人はリスクが高くなります。心房細動は高齢になるほど出現しやすくなり、年を重ねるほど心原性脳塞栓症のリスクは高まります。なお、心房細動が確認された場合、脳梗塞のリスクを点数化し、リスクが高いと判断されれば、心臓内で血栓ができるのを防止できる抗凝固薬を使用し、脳梗塞を予防することができます。 今回は脳卒中の中でも脳梗塞を中心についてまとめました。脳卒中に少しでも多くの皆様が興味を持ち適切な予防をして、ご自身そしてご家族が、できる限り脳梗塞になることを回避していただければと願います。医師 加藤 開一郎

  • 「職員全員が輝ける病院」、患者さんが満足いく医療につながると信じて

    「職員全員が輝ける病院」、患者さんが満足いく医療につながると信じて

     2022年4月、院長を拝命しました。1999年1月にこの病院に赴任してきて以来、20年以上の歳月が過ぎました。麻酔科医の病院トップは珍しいかもしれません。 院長に就任してから、「総合大雄会病院をどのような病院にしたいか」と聞かれることがよくあります。その時は、「職員全員が輝ける病院にしたい」と答えています。そうすることで、一人でも多くの患者さんに満足のいく医療を提供できると信じているからです。  麻酔科は直接、患者さんと関わることが少ない診療科です。他の診療科ならば、患者さんからの感謝の言葉にやりがいを感じるでしょうが、少なくとも麻酔科医である私には、その経験がありません。その代わり、術者(手術を担当する医師)から信頼されることに最大の喜びを感じます。  大学卒業後、麻酔科医局の門をたたいてからしばらく、手術麻酔に専念していました。総合大雄会病院に来てからは、本格的に集中治療に関わることになりました。手術麻酔だけをしていた時は、手術が終わったら麻酔の仕事も終わっていましたが、集中治療室で術後の患者さんを診るようになり、自分の術中管理が術後に及ぼす影響を知ることができました。手術麻酔では経験できない症例にも遭遇したり、麻酔科の知識を集中治療管理に生かしたりすることができたので、あらたな道が開けた感じがしました。 社会医療法人大雄会総合大雄会病院高田基志院長  集中治療をしていると、どうしても救えない命があります。若い女性の劇症肝炎になった患者さんは、「まだ死にたくない」と言っていましたが、結局、救うことはできませんでした。心臓手術を受けた高齢者は、術後の経過が芳しくなく、「手術しなければもう少し生きられたのに」と言っていました。どちらも、とげのように私の心に深く突き刺さって、いまだに抜けません。医師として、どんな言葉をかければ良かったのか、 うそでも「大丈夫ですよ。きっと良くなります」と言ってあげればよかったのか、いまだに答えはでていません。 ITによるコミュニケーション促進が必要、PHRは医療を根底から変える  病院には多くの職種の方が働いています。その専門性を生かし、一人でも多くの患者さんに満足のいく医療を提供できるような体制を作りたいと考えています。自分のやっていることが患者さんにとってプラスになっていると実感できることでモチベーションアップにつながり、働くことの意義を見いだすことができるでしょう。これを実現するためには、何でも言うことができる環境を整えなければなりません。いわゆる、心理的安全性が確保された職場にしなければなりません。これを実現するためにはITを利用したコミュニケーションの促進も必要だと思います。  最後に、皆さんがお使いになっているPHR(パーソナルヘルスレコード)「カルテコ」は、日本の医療を根底から変える可能性を秘めていると思っています。これまで、日本の医療は、病気になった人を救済する制度でした。もちろん、これは素晴らしい制度です。しかし、これからは病気にならないようにすることが重要になってくると思います。そのツールであり、プラットフォームであるのがPHRです。そして、その使命は「健康寿命の延伸」であると考えています。この使命を頂点に掲げることで、PHRに付随するさまざまな事業もぶれることなく実現することができると思います。  いずれ、PHRの医療データと、スマートウォッチなどから得られるヘルスケアデータを統合し、人工知能(AI)が健康予測をする時代がやってきます。例えば、健康指標として「健康寿命」が算出できるようになるかも知れません。利用者は自分の健康寿命が、同じ年代の人と比較してどうなのかを知り、どうすれば延伸できるのかAIがアドバイスするといった時代は目の前まで来ているように思います。ヘルスケア産業は裾野が広く、これから大きく成長する分野でもあります。その中で中核をなすのがPHRだと考えています。

  • 意外と怖い?骨粗鬆症

    意外と怖い?骨粗鬆症

    一般財団法人大原記念財団大原綜合病院 佐藤勝彦理事長兼統括院長  骨粗鬆症とは、年齢と共に骨密度が低下し、骨折に至る病気です。高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者さんは年々増えています。私たちの身体では、常に古い骨を壊す骨吸収と新しい骨を作る骨形成が繰り返されています。女性は特に、閉経により骨吸収の抑制をつかさどる女性ホルモンの分泌量が低下することで骨吸収が過剰になり、骨密度が激減するため、患者数が多いと考えられています。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版(一般社団法人骨粗鬆症学会)によると、国内の患者数は女性980万人、男性300万人ほどといわれています。  骨粗鬆症の分類は、「原発性」と「続発性」に分けられます。原発性骨粗鬆症の多くを中高年女性が占めます。続発性骨粗鬆症とは骨が弱くなる原因や基礎疾患が明らかなもので、特に20~30代の骨量が最も増える時期の過度なダイエットなどが原因となる若年層の患者さんも見受けられます。  骨粗鬆症の患者さんは自覚症状がほとんどなく、骨折して初めて判明する場合がほとんどです。骨粗鬆症で骨折しやすい部位は、年齢によって変化します。まず、50~60代では転倒した際に手首をつくことによる橈骨の骨折が多くなります。その後、70代では尻餅をつくなどで、背骨の脊椎圧迫骨折が増えます。80代では、脚の付け根部分の大腿骨近位部骨折が多くなり、早期に手術・リハビリ介入することが重要になります。  骨粗鬆症の治療薬は現在では、多種類存在します。中でも重症患者に適用される副甲状腺ホルモン製剤(PTH製剤)は、従来の薬になかった骨形成促進の作用を持ちます。また、投与期間が最長2年間と限られているため、治療のタイミングが重要になります。  公益財団法人骨粗鬆症財団によると、2015年度の骨粗鬆症検診の受診率は全国平均で5.0%ほどです。一方、福島市では16%と、全国平均に比べて高い水準です。私は福島市医師会骨粗鬆症検診精度管理委員長として、骨粗鬆症予防につながるよりよい検診体制にするための見直しをはかっており、検診時に骨粗鬆症による骨折の発症にかかわるさまざまな危険因子を問診できるよう改定しました。ここ3~4年の検診データを分析すると、40~60代の食生活(カルシウム摂取など)、喫煙などの項目で半数以上の方が危険因子を持っていることが分かりました。  骨粗鬆症の予防としては、食事でカルシウムやビタミンを摂取することと、適度な運動が大切です。カルシウムは、1日当たり女性600mg、男性800mg摂取することが推奨されています。牛乳コップ1杯(200ml)中には約200mgのカルシウムが含まれており、それぞれ3杯分、4杯分が目安になります。骨の形成を促すビタミンDは日光を浴びると生成されるため、散歩をすることも効果的です。また、骨は体重をかけていないと弱りやすいため、リモートワークなどで特に運動量が減りやすい生活では、ウォーキングやスクワットの習慣も大切です。  「歳を取ると骨が弱くなる」というのは仕方のないことのように考えられがちですが、骨粗鬆症はれっきとした病気で、知らず知らずのうちに進行しているということを知ってもらいたいと思います。大原綜合病院の「カルテコ」では、骨密度測定結果の閲覧を開始しました。患者さんがスマホなどで確認して、より検査結果を身近に感じることができるでしょう。また、健康リテラシーを高めることで、食生活でカルシウムを積極的に摂取したり、外に出て適度な運動を習慣付けるなどしたりすれば、骨密度を引き上げることにつながると思います。 あなたの骨は大丈夫ですか?(=筆者の著書をご参照ください) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

  • 動画:BMIとは?

    動画:BMIとは?

     肥満度を表すBMIについて、まめクリニックグループ創業者で医師の石川雅俊先生にお話しいただきました。 https://youtu.be/IP-pU0V6Pjk

  • 高血圧と血圧測定のコツ

    高血圧と血圧測定のコツ

    社会医療法人社団慈生会等潤病院 伊藤雅史院長・理事長  血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことで、普通は上腕動脈(わきとひじの間の動脈)の圧力を意味します。血圧は上下2つの数値で示され、上は心臓の収縮により最高に達したときの値で「最高血圧」または「収縮期血圧」、下は心臓の拡張により最低に達したときの値で「最低血圧」または「拡張期血圧」と呼ばれます。  血圧は常に変動しており、通常は朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、睡眠中は低くなります。また冬は夏より高くなりますし、緊張しているときや体を動かした直後なども高くなることがあります。そのため、たまたま測った血圧が高いというだけでは「高血圧」とは言い切れず、繰り返し測って血圧が高い場合を言います。  繰り返し測った血圧で、診察室では「最高血圧」が140mmHg 以上、または「最低血圧」が90mmHg以上、家庭ではそれぞれ135mmHg以上、85mmHg以上で高血圧と診断されます。診察室と家庭で基準が異なるのは、診察室ではいつもより血圧が高くなることがあるからです。これは白衣現象・白衣高血圧と呼ばれます。そのため、自宅で測る「家庭血圧」が重要になってきます。 ちなみに厚生労働省の国民健康・栄養調査結果では、「最高血圧」の平均値が男性132.00mmHg 、女性126.0mmHgでした。同調査では、高血圧の改善に向けて「最高血圧」の平均値の目標(「健康日本21・第2次」)を明示して、男性134mmHg、女性129 mmHgとしています。 血圧を測る前には5~10分くらい安静にして、一定の条件で測ることが大切です。座った姿勢と血圧計を腕と同じ高さにして測ります。血圧計にはさまざまな種類があり、上腕で測るものが勧められますが、血圧計を選ぶこと以上に継続して測ること、できれば毎日測定して記録することが重要です。 人によっては左右で差があり、左と右で10mmHg以上違う場合は、高い方で測ります。時間は朝、起床後1時間以内で食事や薬を飲む前に測ることをお勧めします。夜の場合は寝る前に、そのほか体調の悪いときにも測りましょう。参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf2019(令和元)年国民健康・栄養調査結果の概要 22頁参照

  • 健診で貧血を指摘されたら

    検診で貧血を指摘されたら

    鉄欠乏性貧血編 若年の女性では、月経過多や子宮筋腫などで鉄欠乏性貧血を来すことがあり、鉄欠乏性貧血は珍しい疾患ではありません。しかし、医師の目線では、鉄欠乏性貧血は非常に注意深い診療が必要な疾患です。特に男性や、閉経後の女性に鉄欠乏性貧血がある場合には、その原因に細心の注意を払う必要があります。  その理由は、鉄欠乏性貧血の原因の1つに「がんからの慢性出血」が潜んでいるからです。がんからの出血を来たしうる具体的な疾患は、消化器管からの出血だと、食道がん、胃がん、小腸がん、大腸がんなどがあります。また、尿路系のがんは腎臓がん、尿管がん、膀胱がんがあり、婦人科系は子宮がんなどが挙げられます。 がんの組織は、血流が豊富な一方で、正常組織と比較してもろい傾向があります。このため、消化管や尿路のがんは、腫瘍からじわじわとにじみ出るような出血を来すことがあります。このような慢性の消化管出血では、出血により鉄分を喪失し、鉄欠乏性貧血がゆっくり進行します。多くのがんは進行がんになるまで自覚症状がないことが多く、鉄欠乏性貧血は消化管のがんや尿路系のがんの存在を疑う貴重な手がかりの1つです。 貧血を指摘されたら、放置しないで早めに受診していただくことをお勧めします。とにかく貧血の原因を医師に確認してもらうことが大切です。ご注意いただきたいのは「鉄分不足の貧血があるから、とりあえず鉄剤を服用しよう」とご自身で判断してしまい、受診や精密検査が遅れることです。安易に鉄剤で対症療法することは、貧血の背後に隠れたがんの発見が遅れてしまうことになるかもしれません。 赤血球に関する検査項目は、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値などが代表的ですが、直接的な腫瘍マーカーではありません。しかし、これらの検査項目は、がんの存在を疑うきっかけになる大切な指標です。さらに、検診データを見るときにご注意いただきたいのは、検査項目の値が正常範囲内であっても、その数値が年々減少傾向ならば注意が必要です。 今回は鉄欠乏性貧血を取り上げました。鉄欠乏性貧血に限らず、貧血はその原因の究明が肝心です。繰り返しになりますが、検診などで指摘を受けたら、速やかに受診していただければと思います。 (医師 加藤開一郎) 鉄欠乏性貧血を来しうる疾患例 ◆鉄喪失タイプ▢食道癌▢逆流性食道炎▢胃潰瘍▢胃癌▢十二指腸潰瘍▢小腸癌▢大腸癌▢大腸憩室▢痔疾▢月経過多▢子宮筋腫▢子宮内膜症▢子宮癌▢卵巣出血▢腎臓癌▢尿管癌▢膀胱癌▢抗血栓薬使用 ◆鉄摂取低下タイプ▢偏食・ダイエット▢胃切除後▢無胃酸症▢萎縮性胃炎▢吸収不良症候群 ◆鉄需要増大タイプ▢妊娠▢授乳▢成長期(小児・思春期) ※日内会誌99巻6号 P1220-1225.2010より引用改変

  • 動画:「新・医者にかかる10箇条」

    動画:「新・医者にかかる10箇条」

    新・医者にかかる10箇条について認定 NPO 法人ささえあい医療人権センター COML(コムル)理事長の山口育子さんに話していただきました。 https://youtu.be/7NT1nab2Utw

  • 都道府県別 有所見率

    健診有所見率 あなたの都道府県は何位?

    11年連続ワーストの沖縄県 健診結果の有所見率を都道府県別で見ると、2021年は70.4%となった沖縄県が、11年連続でワーストを続けています。全国平均は58.7%でしたが、有所見率の高さは沖縄県だけの問題ではなく、すべての日本国民にとって対岸の火事ではありません。 病気を早期発見、治療するための仕組み 二次世界大戦の影響が残る1940~1960年代、沖縄県民の栄養状態は悪く、70年代から80年代以降になると経済状況が良くなったものの、飲酒量の多さが指摘され、食の欧米化によりカロリーや脂質・糖質を摂りすぎる状態となりました。  また、公共交通機関の発達が十分でないことにより、近くのコンビニエンスストアに行くにも自動車を使うのが当たり前の車社会で、運動不足の原因になっていると考えられます。 2021年の沖縄県の検査項目別の有所見率は、血中脂質が42.6%(全国平均33.0%)、血圧が24.9%(同17.8%)、肝機能が24.1%(同16.6%)で、これらの検査項目が特に高い傾向にありました。業種別では製造業(80.6%)、建設業(75.3%)、運輸交通業(74.7%)が高い業種となっています。  同県は観光や運輸などの第3次産業の人口割合が東京に次いで高いことから(2020年国勢調査)、運輸交通業の割合の高さが県全体の有所見率を引っ張っているという、観光産業の盛んな沖縄ならではの事情とも考えられます。 つくばセントラル病院(茨城県牛久市)健診センター長の神谷英樹医師は、「職場の健診に限れば、有所見者を再検査・治療につなげるためには、事業所やそこの産業医が労働者に受診を促すことが最も効果的と考えている」といいます。 しかしながら、常勤の産業医や保健師が勤務するような大企業を除いては、あまり、積極的に関わっていない印象といいます。              神谷医師はまた、「職場の健診の場合、本人の意思ではなく、職場からの指示で仕方なく受診されている人も見受けられる。このような方の場合は、再検査などの受診につながりにくいため、健診後の受診勧奨といった施策のみではなく、日常の健康教育により健康リテラシーの向上を目指すことも必要であると考えている」と話します。業務上疾病発生状況等調査:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27177.html

  • 有所見率の推移

    健診有所見率が60%に急接近 

    業種別の有所見率も明らかに  年に一度の健康診断を受けた後に手にする健診結果。健診で医師は、「異常なし」「要再検査」「要治療」などと判定します。そのうち「異常なし」以外の人を、有所見者と言います。 健康診断を受けた人のうち、有所見者の占める割合が有所見率です。この有所見率が今、6割に急接近しています。有所見者が自主的に医療機関に行くのが望ましいのですが、職場などから再検査や治療を受けるようよう促されても、働き盛りの世代は忙しいことを理由に健康管理を後回しにするので病気を早期発見できなかったり、治療のタイミングを逃したりしてしまいます。   厚生労働省がまとめた定期健康診断実施結果によると、2021年の有所見率は58.7%となりました。過去からの推移を見ると1997年までは3割台でしたが、2008年に5割を超えました。それ以降、上昇傾向を続けています。 この定期健康診断実施結果は、常に50人以上が働いている事業所が実施する定期健康診断、いわゆる“職場の健診”の有所見率などを集計したもので、労働衛生行政の基礎資料となっています。事業所は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して医師による健康診断を実施しなければなりません。一方で、労働者は事業所が実施する健診を受けなくてはならないとしています。 有所見率の上昇傾向は労働者の高齢化が影響していると言われています。2021年の検査項目別の有所見率では、血中脂質が33.0%と最も高くなりました。次いで、血圧が17.8%、肝機能検査が16.6%などとなっています。 業種別では鉱業、建設業などが上位に  定期健康診断実施結果では、業種別の有所見率も分かります。「石炭鉱業」が88.9%で最も高く、次いで「土石採取」(78.3%)、「道路旅客」(74.9%)などとなっています。一方で、低いのが48.1%の「鉄道等」で、「他の運輸」(51.3%)、「輸送機械」(52.3%)の順番です。 東京都足立区で等潤病院などを運営する社会医療法人社団慈生会の伊藤雅史理事長は、医師として外来診療や手術をする傍ら、同院に併設する健診センター等潤で、健診受診者の判定もしています。たくさんの人を診る中で伊藤理事長は、「この地域の特性で建設業に従事する人を多く診ているが、有所見で要再検査などと判定するケースは少なくない。建設業は働く環境が厳しいという側面もあり、力仕事のストレスを発散するためか、酒を飲み過ぎたり塩分を取り過ぎたりするなど、食生活を起点にした生活習慣病の予備軍と見られる人が散見される」と話しています。実際、建設業に分類される「土木工事」の有所見率は70.9%、「建築工事」が61.9%などと高い水準となっています。 また、有所見と判定された人が周りに言われるのではなく自分の 意思で後日、再検査や治療にために医療機関を受診することが望ましいが、伊藤理事長は「例えば、聴力に異常があったとしても日常生活に大きな支障を来たさないため、医療機関を受診しようという発想にまでは至らないのだろう」と話しています。