浅岡等 医師
医局長、内視鏡センター長
医学博士
日本肝臓学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会専門医
10年程前までのわが国の肝がんの死者は年間約5万人と、先進国の中では最も多く、死亡統計の悪性疾患の臓器別でも4位でした。肝炎対策の成功により死亡者数も徐々に減少しておりますが、それでも未だに肝がんで年間に約2.4万人※の方が亡くなっております。
※2022年人口動態統計 肝及び肝内胆管の悪性新生物 死亡数 2万3621人(前年2万4102人)
また、原因について考えると、アルコール性肝障害や脂肪肝(なかでも非アルコール性脂肪肝炎)から発症する肝がんも増加しておりますが、やはり半数以上はC型肝炎が原因となっております。
C型肝炎の治療は1900年代には8%程度の治癒率しかなく、2000年代に入っても3割程度の治癒率しかありませんでした。また、この時代にはインターフェロンという注射を使った治療であり、二度とやりたくないと言われるような副作用が多い治療でした。
しかし、C型肝炎の治療は近年目覚ましく進歩し、1日1回薬を服用するだけで、8ないし12週間後には97~99%の患者が治癒することが可能です。副作用が多くはない薬を服用するだけで治癒して、将来の肝機能の悪化や肝細胞がんの発症を防ぐことが可能です。
治療薬は薬価で1か月に100万円を超える高額ですが、医療助成制度があるために保健所への申請により、支払額が1か月1万円に抑えることが可能です(高所得者を除く)。
10年前と比べると効果は著しく高くなりながら、副作用は極めて少なくなり、医療費助成により支払額は少なくなっています。このような治療ができますので、C型肝炎が心配な方、検診などでC型肝炎と言われたけどそのままにしている方などは、消化器内科の受診をお勧めさせていただきます。
参考:厚生労働省 2022年人口動態統計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/index.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/h6.pdf