自律神経とは!?

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 神経という言葉で多くの方は、痛み、熱さ、振動などの情報を脳に伝える感覚神経や、脳から体を動かす指令を筋肉に伝える運動神経を連想されると思います。これらは体性神経系と呼ばれており、ヒトの意識と結びついた神経系です。

 一方、心臓や胃腸の動きや体温、血圧、発汗などの調節は、ヒトの意識とは無関係にコントロールされており、この調節をしているのが自律神経です。最近の研究により、ヒトは疲れてくると自律神経に変化が生じることが分かってきました。

■交感神経と副交感神経

 車の運転にはエンジンを作動させて車を動かすアクセルと、動いている車を停止させるブレーキがあります。同様にヒトの体の心臓、血管、胃腸、気管などの各臓器も、アクセルやブレーキの働きをする自律神経によって調節されています。

 交感神経の活動が高まると、心拍数は速くなり、血管は収縮して血圧が上昇し、気管は拡張して多くの空気を肺に取り込むことができるようになります。しかし、胃腸に対しては抑制的に働き、胃腸の動きは停止します。副交感神経は、交感神経とは逆の作用があります。自律神経の働きは、主に交感神経と副交感神経のバランスによって調節されています。

■単純作業に伴う自律神経の変化

 大学生24人を対象に2時間連続で単純な足し算をした時の自律神経の変化を調べてみたところ、自覚的な疲労感の増加、反応時間の遅延と連動して交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、交感神経の過緊張状態に陥ることが分かりました。その後、休息を取ることにより疲労感が回復すると、交感神経の過緊張状態も改善が認められ、精神作業に伴う疲労と自律神経の変化は深く関わっていることが確認されています。

 自律神経機能に関する評価では、交感神経と副交感神経のバランスとともに、交感神経や副交感神経の活動量の変化を計測することも大切です。これを自律神経活動量、トータルパワーとも言います。自律神経全体の活動量は客観的な指標を用いて調べた夜間睡眠効率と正の相関が認められ、自律神経活動が低下している学生は自覚的な疲労度が高く、睡眠効率が低下していることが分かっています。

監修 倉恒弘彦 大阪大学大学院医学系研究科招へい教授 

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