社会医療法人社団慈生会等潤病院 伊藤雅史院長・理事長
血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことで、普通は上腕動脈(わきとひじの間の動脈)の圧力を意味します。血圧は上下2つの数値で示され、上は心臓の収縮により最高に達したときの値で「最高血圧」または「収縮期血圧」、下は心臓の拡張により最低に達したときの値で「最低血圧」または「拡張期血圧」と呼ばれます。
血圧は常に変動しており、通常は朝の目覚めとともに上昇し、日中は高く、睡眠中は低くなります。また冬は夏より高くなりますし、緊張しているときや体を動かした直後なども高くなることがあります。そのため、たまたま測った血圧が高いというだけでは「高血圧」とは言い切れず、繰り返し測って血圧が高い場合を言います。
繰り返し測った血圧で、診察室では「最高血圧」が140mmHg 以上、または「最低血圧」が90mmHg以上、家庭ではそれぞれ135mmHg以上、85mmHg以上で高血圧と診断されます。診察室と家庭で基準が異なるのは、診察室ではいつもより血圧が高くなることがあるからです。これは白衣現象・白衣高血圧と呼ばれます。そのため、自宅で測る「家庭血圧」が重要になってきます。
ちなみに厚生労働省の国民健康・栄養調査結果では、「最高血圧」の平均値が男性132.00mmHg 、女性126.0mmHgでした。同調査では、高血圧の改善に向けて「最高血圧」の平均値の目標(「健康日本21・第2次」)を明示して、男性134mmHg、女性129 mmHgとしています。
血圧を測る前には5~10分くらい安静にして、一定の条件で測ることが大切です。座った姿勢と血圧計を腕と同じ高さにして測ります。血圧計にはさまざまな種類があり、上腕で測るものが勧められますが、血圧計を選ぶこと以上に継続して測ること、できれば毎日測定して記録することが重要です。
人によっては左右で差があり、左と右で10mmHg以上違う場合は、高い方で測ります。時間は朝、起床後1時間以内で食事や薬を飲む前に測ることをお勧めします。夜の場合は寝る前に、そのほか体調の悪いときにも測りましょう。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
2019(令和元)年国民健康・栄養調査結果の概要 22頁参照