カルテコ 獣医師さんの声

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おんが動物病院(福岡県遠賀郡、西賢院長)
西康暢先生

西康暢(にしやすのぶ)先生は、こう話します。

「20歳代前半とみられる飼い主さんが、高齢(17歳)の犬の慢性腎臓病の治療のために数ヶ月の間、通院していました。慢性腎臓病は、長い期間をかけて腎臓の働きが低下する病気です。その飼い主さんは、愛犬のために様々な治療や自宅でのケアを実施していましたが、一年近く経った頃に重度の貧血や神経症状が見られるようになりました。そこで飼い主さんに愛犬と一緒に過ごす時間を増やしてもらおうとカルテコwithセンシング(以下、カルテコ)を利用することを勧めました。終末期も視野に入ってきたので、カルテコを使って頻繁に犬の健康状態をチェックして密にコミュニケーションを深めれば、死を迎えてもペットロスが軽減されると考えたからです」

 ここには「グリーフケア」(悲嘆のケア)が底流にあります。グリーフケアとは、大切な家族などが亡くなったことによる悲しみや喪失感に苦しむ人をサポートすることです。終末期において、飼い主さんが動物にかかわればかかわるほど、ペットロスが軽減できるだろうという考え方です。

 「その飼い主さんは愛犬のために何かしてあげたいと熱心でした。その犬の年齢を考えると、飼い主さんが物心ついたころには、家族の一員として生活の中にいたはずです。その飼い主さんの人生の時間のほとんどに犬がいたという関係性でした。そう考えると、終末期の治療に加えて、飼い主さんのグリーフケアも大事になると思いました」

 西康暢先生は飼い主さんがカルテコで犬の自律神経のバランスを頻繁に計測し記録することで、終末期における「満足感」につながると思ったのです。

 犬が亡くなった後、飼い主さんは「しっかり看取れてよかった。やれることはやれた」と話していたそうです。

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【おんが動物病院と西康暢先生】

 JR九州鹿児島本線の遠賀川駅近く、住宅街に立地する「おんが動物病院」は、地域住民の飼っている動物のワクチン接種・健康診断などで日常の健康を預かり、適宜、必要な医療を提供しています。ペットの犬や猫が、何となく調子が悪いなというレベルから通院する地域のかかりつけの動物病院です。昨年から、おんが動物病院では院長の片腕として、ご子息の西康暢先生も日々、診療にあたっています。

 おんが動物病院に飼い主さんが連れてくる動物の病態は軽症から重症までさまざまで、通常の診療では、皮膚の異常や下痢などの症状の動物をよく診ています。 

 おんが動物病院は入院施設も併設しています。手術や集中的な管理が必要な動物が入院します。
 

 例えば、尿検査で尿に糖が出ていたり、血液検査で高血糖であったりして糖尿病と診断した場合、入院して治療を開始します。糖尿病だと自宅でインスリンを投与して、血糖を安定させることが必要になるので、まずは入院で血糖値を計測して、低血糖の状態で副作用が起こらないかをチェックします。

■飼い主さんから電話でヒアリング、「まずは来院を」と促す

 飼い主さんは、大事な家族の一員であるペットの異変に気付くと、病院に電話をしてきます。西康暢先生はまず、来院を促します。実際に動物を診ることではっきりと診断できるだけでなく、飼い主さんも安心するからです。

吐いているとか、下痢をしているだとか、表面的に分かる情報は飼い主さんから聴取し、聴診器を使った呼吸音および心音の聴診、お腹の状態を探る触診(しょくしん)などをして、お腹のどのあたりが痛いのかなどを探ることを頻繁にしています。単なる「元気がない」といった主訴だけでは、診断につながらないと判断したら、血液や尿などの検査を飼い主さんに提案します。

■犬や猫は自覚症状を言葉にできない、そこにカルテコの可能性が

 最後にカルテコの可能性について西康暢先生は、こう話します。
 
 「私たち人間で一般的に季節の変わり目で体調を崩すような自律神経の乱れがありますが、おそらく犬や猫も同じだと思います。しかし犬や猫は自覚症状を言葉にできないため、彼らの自律神経の乱れやストレスのサインを見落としてしまうことがあります。そういった場面で、カルテコが使えるかもしれません」

 さらに、今年春にリリース予定の猫の自律神経のバランスを計測できる機能に期待をしていらっしゃいました。猫ではストレスに関連して発症する病気がいくつかあります。特発性膀胱炎はその一つだと言われています。

 「猫のカルテコがローンチされたら、ストレスに起因した病気を発症する前に飼い主が愛猫のストレスに気づける可能性があります。そうなれば、カルテコの意義が評価されるかもしれません。自律神経のバランスを計測することで、その猫の住んでいる環境が本当にいいのか悪いのかを知ることができるかもしれません」

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