気付いてあげられていますか?ペットの体調の変化

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 自律神経は、心臓や血管、呼吸器官、消化器官などの内臓器官をコントロールする神経系です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれが対立的な働きを持ちます。交感神経はストレス反応や興奮状態に、副交感神経はリラックスや休息状態に関与しています。

 自律神経の働きは一日の中で時間帯により変化し、自律的にバランスを取りながら働いています。自律神経は心身の健康に欠かせない役割を果たしており、自律神経のバランスが乱れることで、さまざまな病気や不調が引き起こされることがあります。この働きは、犬や猫などのペットでも同様です。

 そこで獣医師の藤沼淳也さんに聞きました。

―犬や猫の自律神経のバランスが乱れると、どのような症状が出てきますか?

 下痢や便秘になる子が多いです。交感神経が優位な状態が続くと涙が減ってドライアイになったり、血糖値を上げるホルモンが出続けることで高血糖になり、糖尿病になったりすることがあります。また、朝方や夕方~夜にかけての交感神経と副交感神経の活動性が切り替わる時間帯は、不整脈が起こりやすくなる傾向があります。

―自律神経のバランスが乱れる原因にはどのようなことがありますか?

 引っ越しなどの環境の変化や、工事などの大きな音がストレスとなり、自律神経のバランスが乱れる原因になります。犬や猫は人間と違い、環境の変化や音の原因が理解できないため、ストレスを感じやすいです。また、猫の方がより敏感な子が多く、触られるだけでストレスになることもあります。物音でパニックになってしまうこともあるため、診察の時も音には気を付けていました。

―自律神経のバランスを整えてあげるにはどのようにしたらいいでしょうか?

 まずは環境を整えてあげることです。また、触れ合うことでリラックスしやすくなります。嫌がらなければ優しく撫でたり、お風呂に入れたり、マッサージをしたりすることは自律神経のバランスを整えるのに効果的です。

―自律神経の状態はどのように把握するのでしょうか?

 脈拍数や呼吸数を計測し、その値から自律神経の状態を把握します。

―正常な脈拍数・呼吸数を教えてください。

 安静時における脈拍数・呼吸数はそれぞれ以下の通りです。

・呼吸数 犬猫ともに10~30回/分 ※40回/分以上は呼吸が苦しい時
・脈拍数 小型犬:60~80回/分、大型犬:40~50回/分 子犬の場合は倍で、220回/分以下
     猫:140~220回/分

―自宅での脈拍数・呼吸数の測り方を教えてください。

 脈拍数は左胸に手を当てて測ります。呼吸数は、胸の動きを数えます。

―診察時に安静時の状態が分かりづらいことはありますか?

 動物病院の前を通るだけで嫌がったり、ケージから出てこなかったりと、ストレスを感じて脈拍数が高めになる傾向があります。自宅で測った脈拍数・呼吸数の数値があると、診察に役立ちます。

 「カルテコ」アプリでは、お腹や肉球などのピンク色の部位の動画を10秒間撮影するだけで、自律神経のバランス、脈拍数、呼吸数が計測できます。

https://www.mdv.co.jp/solution/personal/karteco/

※現在は犬に対応、猫向けは準備中です

監修者プロフィール

獣医師 藤沼 淳也 氏

獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。

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