帯状疱疹、7月から増える傾向

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 帯状疱疹ワクチンの定期接種制度が2025年4月、全国でスタートしました。対象は原則として65歳以上の高齢者で、生ワクチンと不活化ワクチンのいずれかを選択できます。帯状疱疹は多くの場合、小児期に感染する水痘ウイルスが原因で発症します。 

 水痘の治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏し、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化して発症に至ります。発症率は50代から上昇し、80歳までに約3人に一人が発症するとされています。発症時には皮膚の神経に沿って強い痛みを伴う赤い発疹や水疱が出現します。

  症状は主に胸部や背部、上肢に現れますが、顔面や頸部(首)にも生じることがあります。多くは2〜4週間程度で皮膚症状と痛みが改善するものの、神経損傷が残る場合には、痛みが数か月から数年にわたって持続することがあります。MDVのデータを用いて帯状疱疹の患者数推移(全体と月別)と男女・年齢別患者割合、治療薬別患者数の推移を調査しました。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で受診抑制があった2020年に一時的な患者数の減少がみられましたが、その後は増加傾向にあることがグラフから読み取れました。

 

 月別で詳しく見ると、2月は毎年、患者数が減少しその後、3月から春先にかけては増加する傾向が見られました。また、7月から10月にかけて患者数が増加する傾向にあり、夏から秋にかけて発症が増える季節性が認められました。これは、気温や湿度の変化、夏季の疲労蓄積、免疫力の低下などが関係している可能性があります。一方、11月から翌年1月にかけては、患者数がやや横ばい、あるいは減少傾向であることが分かりました。

■医師のコメント

社会医療法人慈生会(同足立区)等潤病院 
皮膚科 伊藤聖子 医師

 帯状疱疹は過去にかかった水痘(水ぼうそう)のウイルスが原因です。そのため初診時に血液検査をしてもすでに抗体を持っているので分かりません。

 間を置いて検査をすると抗体価が上昇して判断できることがあります。ただし、なるべく早く抗ウイルス薬を開始した方が合併症の予防に効果的なので、通常、血液検査はしません。

  最近は、皮疹である水ぶくれの中の汁を採取して確定診断するキットもでてきています。帯状疱疹は体の左右のどちらかに、帯状の皮疹が現れます。皮膚科の通常診療では、皮疹があるかどうかと、それに伴う痛みの範囲などの問診から、帯状疱疹かどうかを判断しています。例えば、二の腕あたりに皮疹があっても、指先にまで痛みが広がっていたりします。

 合併症である神経痛は通常、3週間程度で改善しますが、長期にわたり痛みが続くこともあります。その場合には、根気よく付き合っていく必要があります。

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