大腸がんになる人は40歳代から増え始め、国立がん研究センターの2019年のデータによると一生涯で男性は10人に1人、女性は12人に1人が診断されると推定されています。検診で要精密検査(要精検)と判定されても結局、医療機関を受診せず、早期治療の機会を逸しているケースもあるでしょう。
大腸がんの早期がん(ステージ1)で治療すれば5年相対生存率(全がん協生存率、2011年~2013年診断症例)は98.8%だが、進行がん(ステージ4)の段階では23.3%に低下します。
大腸がん検診で国が推奨しているのが便潜血検査です。大腸にがんやポリープなどがあると、便が動くのに伴って組織が擦れて出血することがある。その血液を調べることで大腸がんの発症リスクを判定します。
感度をより高くするために今は、2日間の便を採取する「2日法」が一般的となっています。科学的根拠(エビデンス)に基づく検査方法です。
知っておきたい便潜血検査
・1980年代後半、免疫便潜血検査法(便ヘモグロビン法)を国内で開発
・ヒト以外の動物ヘモグロビンにはほとんど反応しない(猿類を除く)
・ときに容器からあふれんばかりの糞便が検体として届けられるが、
説明書に記載されている程度の量を採便棒で採取を
・検体は採便棒で、糞便の表面を幅広くまんべんなくこすり取る
・2日法の1日目の検体採取後に、便秘などで採取できない場合でも、
両日分が検査日含め7日以内になるのが望ましい
・採取後は冷蔵保管が最も良いが室温保管の場合25℃以下の冷所保管。
(協力:福山臨床検査センター 金光弘幸・エフエムエルラボラトリー東京所長)
大腸がん検診受診率はここ数年で少しずつ上昇し、厚生労働省の2019年の国民生活基礎調査によると男性47.8%、女性40.9%ですが、検診受診率は従来の国の目標の50%に届いていません。2023年度から始まる国の第4期がん対策推進基本計画は新たな目標を60%としました。