心不全について知る

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総合大雄会病院 副院長 寺沢彰浩医師

 日本人の死因の第一位はがんです。それに次ぐのが循環器疾患※1である心疾患です。その約40%は「心不全」によるものとされています。今後さらなる高齢化社会を迎えようとしている中で、心不全による入院数や死亡率は増加の一途をたどっています。そんな怖い病気「心不全」についてご説明いたします。

総合大雄会病院 循環器内科のサイトは以下です ↓

https://www.daiyukai.or.jp/department/junkanki/

▽心不全とはどんな病気ですか?

 心臓は、24時間休まず、酸素や栄養分を含む血液を全身へ送り出すポンプの役割を果たしています。日本循環器学会と日本心不全学会は心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。心不全はその原因、症状、重症度は人によってそれぞれ違います。

▽心不全の原因はなんですか?

 心不全にはさまざまな原因があります。心臓へ血液を送る血管(冠動脈)が詰まる心筋梗塞や狭心症、高血圧、心臓には血液を一方向に流れるように弁がありますが、その弁に障害を来たす弁膜症、心拍動が異常となる不整脈、心臓の筋肉自体が障害となる心筋症などがあります。

▽心不全になるとどんな症状がでますか?

 初期に見られる症状は運動時の息切れや、両足のむくみです。心不全になると心臓は体に必要な血液を送れなくなります。そのため、階段を登ったり、動いた時に息切れがしたりするようになります。疲れやすくなることもあります。

 また、腎臓への血液の流れが低下して、体に水分がたまり、足の甲やすねあたりがむくんだりします。さらに進行すると体の中で血流が滞る(うっ滞)がひどくなり、安静時でも息苦しくなったり、苦しくて横になれなかったりする起坐呼吸※2の状態になることもあります。息切れやむくみが出現するようでしたら、お近くの医療機関、かかりつけ医にご相談されることをお勧めします。

※1 循環器疾患とは、⾎液を全⾝に循環させる臓器である⼼臓や⾎管などが正常に働かなくなる疾患で、⾼⾎圧・⼼疾患(急性⼼筋梗塞などの虚⾎性⼼疾患や⼼不全)・脳⾎管疾患(脳梗塞・脳出⾎・くも膜下出⾎)・動脈瘤などに分類される。

(出典 厚生労働省 e-ヘルスネット)

※2 起坐呼吸(きざこきゅう):からだを横にすると、重力のために下半身にたまっていた血液が急に心臓にもどり、肺うっ血が強くなるため呼吸が困難になる。それに対して、体を起こして座ると心臓に戻る血液量が減り、心臓への負荷が軽減することで呼吸が楽になる状態を指す。

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